現状に満足し、ぬくぬくと幸せ気分に浸ってい所に
いきなり他人から
「それじゃ駄目だ」
みたいなことを言われてしまい
「えっ、これじゃ駄目なの?」
って思わされてしまう事って
ままありますよね。
そんな時 ───
私なんか反射的に
「余計なお世話だよ!!」
と反発を感じてしまうんですけど
そうは言っても
そんな指摘があったおかげで自分の弱点や欠点を見つめなおすことが出来て
その先ググっと成長する
なんて事もあったりするわけで……
一概に善し悪しは決められないなあ……
と思います。
─── こんな事を思うのは
昨夜大河ドラマの「いだてん」を観たせいなのですが
このドラマの中において
戦前に行われたロサンゼルスオリンピックで
大量の金メダルを獲得した日本の水泳選手団は
国民の歓呼の声に迎えられながら
意気揚々と帰国します。
祝賀会の会場にも
「よくやった!」
という陽気なムードが漂う中
女子水泳選手として初の銀メダリストとなった前畑秀子選手に向かって
いきなりこんなことを言い出したのでした。
「どうしてもうちょっと頑張れなかったの?
たった0.1秒差じゃないの。
悔しいね。実に悔しい!
次のオリンピックではぜひとも金メダルを頼むよ」
この言葉は、前畑選手の心を激しく動揺させました。
前畑選手自身も選手仲間もコーチや監督も
日本水泳女子初の銀メダルを
誇りにこそ思え
不甲斐無いだなんて
ちっとも思っていなかったのです。
それなのに
市長からだしぬけにそんな事を言われてしまい
彼女は酷く心が傷つけられてしまったのでした。
見かねた日本体育協会の岸会長が
「いくらなんでもそんな言い方はないだろう!」
と市長に食って掛かり
市長は「すまん、すまん」と謝ったのですが
「でもね、
日本国民の多くが私と同じ気持ちでいるんだよ」
という市長の言葉は
とどめの一撃のように
前畑選手の心に
ズーンと突き刺さって来たのです。
銀メダルを獲得したことを有終の美と考え
次のオリンピックに出場する事など全く考えていなかった前畑選手は
一転して
「私は不甲斐なかったの?
このまま終わっちゃいけないの?」
という気持ちに苛まれてしまいます。
あげく
今は亡き両親までが夢の中に出てきて
「次は金メダルだね!」
なんてことを言い出す始末……。
「うわぁぁぁ!!」
と追い立てられるような精神状態になった前畑選手は
「次は金メダルを取らなきゃいけない!」
というモードにシフトチェンジ。
それからというもの
目の色を変えて
猛練習に励むことになったのです。
前畑選手が東京市長の言葉で発奮したというのは
実際にあった話らしく
これが
ベルリンオリンピックでの金メダル獲得へとつながって行くのですが
─── ただ
これが誰にでも通用するような話かというと……
う~~~ん……
「足る事」を知って現状に満足をすること
と
向上心を持つこと
このバランスを保つのって
難しいですよねぇ~……。
もっともっとという向上心は確かに
人を成長させる大切な要素なんですけれど
そればかりになってしまうと
「幸せ」はいつまでたっても
その先にあるもの
っていう位置づけになってしまう……。
市長の言葉は前畑選手を発奮させ
結果、飛躍に繋がったわけだけれども
これって実際の所
その人その人の個性によりますよね……。
中にはプレッシャーに潰されて
苦しくなっちゃう人だって
少なからずいるだろうし……。
そう思うと、やっぱり
一概にこれが良いとか悪いとかは言えない気がするんですよね。
受験とか仕事とかダイエットとか
そういったものでも
自分では
「この辺でいいかな」
と満足に思っているのに
他人から
「全然ダメ」
なんて駄目出しされて
自尊意識が傷つけられることがありますよね。
そこで発奮して
さらなる高みを目指す!!
そんな気分になるのも良いけれども
そうはならずに
「私はこれで満足なんです。
このままで充分幸せなんです」
と堂々開き直って言えるのなら
それはそれでアリなんじゃないの?
それも結構カッコいいよ!!
─── なんて
私は思うのですが
みなさんはいかが思われますか?
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「幸せ」について考えてみました。
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