TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

「ジャンボ旅客機99の謎」のレビュー~ベテラン整備士が明かす「飛行機のバキュームトイレに腸を吸い込まれてしまった乗客がいた」という話

今回は

タイ国際航空リペアマン・スーパーバイザーをしておられる

エラワン・ウイパー氏の著書

「ジャンボ旅客機99の謎」~ベテラン整備士が明かす意外な事実~

という本のレビューと

 

その中から特に

意外!!

と思われるであろう事実をいくつかご紹介いたします。

 

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サービスの質の高さはもちろんのこと

機材の新しさや整備技術の高さにも定評があり

航空会社の安全度ランキングでは「A」をマークしている

タイ王国フラッグ・キャリア

タイ国際航空

 

 

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そのタイ国際航空20年以上(この本が出された2004年時点)

整備の仕事を続けてこられた

エラワン・ウイパー氏によるこの本には

 

表題にあるジャンボ機(ボーイング747)だけではなく

広く旅客機一般に関しての

素朴な疑問への答えや整備士の仕事についてのあれこれが

 

かなり詳しく丁寧に

かといって難し過ぎず

ほどよい塩梅でつづられています。

 

 

飛行機の構造を隅から隅まで知り抜いている

整備のプロフェッショナルが教えてくれる話は

どれも意外な事ばかりで

 

飛行機好きの人であれば

楽しめる事間違いなしの一冊です。

 

 

 

意外な話その1

旅客機の燃料タンクは翼の中にある!

 

大型機の場合、総重量の約40%も占めるというジェット旅客機の燃料(ケロシンという灯油のようなもの)

 

そんなに重たいものが

なんと

あの翼の中に入ってるんですよ!

 

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主翼の中の空間というのは意外に大きいので

そこを燃料タンクとして利用するのはとても効率が良いんです。

 

また、飛行中の翼というのは揚力により上向きにしなるので

どうしても主翼の付け根部分に負担がかかってしまいます。

 

 

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翼が軽いと、こんな風にしなりますので……

 

 

燃料を翼の中に入れ、それを重しにすることにより

「しなり」をより小さくし、付け根の部分にかかる負担も軽くできるんです。

 

 

 

意外な話その2

緊急着陸しなくてはならない場合、燃料を空中に捨てる事がある!

 

旅客機が降下したり着陸したりするときには、着陸装置や主翼の付け根部分にかなりの荷重がかかってくるので、機体が破損してしまう恐れがあります。

 

そのため、下りる時には重量をなるべく軽くしておかなくてはなりません。(最大着陸重量というのが決まっていて、それ以上重いと着陸できないんです)

 

だから

 

何らかのトラブルがあって予定外に着陸しなくてはならなくなった時などには

燃料を使い切るために、ずっと飛行を続けるか

そんな時間的余裕がない場合は

最大着陸重量以下になるまで、燃料を捨てる必要が生じます。

 

どうやって捨てるかと言うと

 

燃料タンクのバルブを開き、空中に放出してしまうんです。

 

そんな事したら、地上に燃料の雨が降って来るじゃないか~!

とご心配になるかもしれませんが

 

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ジェット燃料は揮発性が高いので

空中に放出されるとすぐに霧状に拡散し蒸発してしまうのだそうです。

 

 

 

意外な話その3

エンジンが全て止まってしまったとしても、必ずしも墜落すると決まっているわけではない。

 

1983年7月23日

 

モントリオールを飛び立ちエドモンドに向かっている

エアカナダのボーイング767型機

カナダ本土モントリオールの上空4万1000フィートで燃料切れを起こし、二つのエンジンが完全に停止してしまいました。

 

燃料切れの警報が鳴ってから29分の間

乗客乗員69名を乗せた132トンもの機体は

毎分2000フィートの速度で降下していきながら、グライダー状態で空中を迷走し

 

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約19キロ先にあったオートレース場

無事、緊急着陸出来たんだそうです。

 

その時、オートレース場ではカーレースが開催されている最中だったのですが

その観客も、飛行機の乗員乗客も、全員無事だったという素晴らしさ。

 

 

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「ブラボー!!」  ※イメージです

 

このオートレース場が元空軍のギムリー基地であったことから

ギムリーグライダー」として語り継がれている

奇跡の生還劇です。

 

このトラブルの原因となった燃料切れは

 

フライト前に、燃料の必要量を「キログラム」「ポンド」に間違えて計算していたため、燃料が必要量の半分以下しか積まれていなかった

──── という

うっかりミスから引き起こされた事でした。

 

助かったから良いようなものの

一歩間違ったら

「うっかり」では済まされない所でしたよね……。

 

 

 

意外な話その4

かつてトイレの便座に内臓を吸いこまれてしまった乗客がいる!!

 

旅客機のトイレは1980年代から

「バキューム式」という

少量の水しか使わず、勢い良く空気を吸いとる、という方式が採用されています。

 

バキューム方式では、トイレと汚物タンクをつなぐパイプが機外に通じる構造になっており、ふだんはパイプのバルブが閉じているが、汚物を流すときにフラッシュボタンを押すと、このバルブが一時的に開くしくみになっている。

 

バルブが開いた瞬間、機内外の気圧差(機内は0.8気圧、機外は0.2気圧)のために、便器の中の汚物が空気と一緒にパイプを通り、猛烈な勢いで吸い出されるのである。

 

問題の乗客はおそらく体格のよい人で、腰掛けたとき、大きなお尻が便座の穴をふさいでしまったのだろう。

 

その状態のままフラッシュボタンを押したために、一瞬にして便器のなかは真空状態になり、体の内臓までが一緒に吸い込まれてしまったということだ。

 

 

「ジャンボ旅客機99の謎」より

 

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「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

ひぇぇぇぇー!!

恐ろし過ぎる!!

 

実はこの話については

ネット上やテレビなどでも

「そんなの都市伝説だよ~(笑)」

というように語られがちであるので

 

航空機整備のスペシャリスト

エラワン・ウイパー氏ご本人が

「本当にあった話」

として語っている文章を

そのまま引用させていただきました。

 

この文章だけでは

この内臓を吸い込まれた方が

怪我だけで済んだのか

お亡くなりになってしまったのか

わかりませんが…………

 

想像するだけでも

眩暈を感じるくらいに

怖い話ですね……。

 

ここまで酷い事態にならないまでも

便座からお尻の抜けなくなる乗客はそれまでにも少なからずいたのだそうで

 

その時に何らかの対処をしておけば

こんな悲劇は起こらなかったのにぃぃ……(T_T)

 

今では

 

お尻がぴっちり便座を塞いでしまうO型便座ではなく

U型便座に換えられたので

 

こんな恐ろしい事態はもうおこらないそうです。

 

 

エラワン・ウイパー氏も

 

「安心して用を足していただきたい」

 

と語っておられました。

 

 

 

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