ここ近年の日本の夏は正直
あまりにも暑過ぎて、げんなりしちゃうのですが
でも
青い空!青い海!眩しい太陽!
といった
夏のイメージって
やっぱりなんか良いですよね~。
さて
そんな夏のイメージを代表する音楽のひとつが
私はその昔、10代の頃
3つ年上の姉に教えてもらった時から
ビーチボーイズの曲が大好きです!
「Surfin' U.S.A」や
「Do You Wanna Dance?」を聴くと
「ビーチボーイズの曲で英語を勉強しよう!」
と思い立ちながらも
実際の所
今一つ英語の成績向上には繋がらなかった高校生時代を思い出します。
さて
ビーチボーイズの曲の中に
Sloop John B (スループジョンB)
という
帆船に乗り込んで旅をしている人の歌があって
私も大好きな曲なのですが
この日本語タイトルがどういうわけか
「ジョンB号の遭難」
となっている事が
私は以前からずっと気になっていました。
ビーチボーイズの演奏による
「Sloop John B」は
白く大きな帆をはためかせる海風のように
爽やかなイメージなのに
その歌詞は
よくよく聴いていると
「もう帰りたい~、お願いだからもう帰らせて~、こんな酷い航海は生まれて初めてだよ~」
と
かなり情けない愚痴みたいな感じなんです。
こんなにカッコ悪い歌詞を
どうしてこんなに爽やかに歌っているのか
そのアンバランスさが何だか可笑しくなってくるのですが
その歌詞の内容というのは
こんな感じになっています。
-------
♫
おれたちはジョンB号に乗って航海に出たんだ
うちの爺様と一緒にね。
ナッソーのあたりを航海したさ
一晩中酒を飲み明かした。
喧嘩もしたよ。
滅茶苦茶に落ち込んだ気分だ
もう家に帰りたい。
※ ♫ ♫
ジョンB号の帆をあげろ
メインセイルを確認するんだ。
陸に行っちまってる船長を呼び戻して来てくれ
おれはもう家に帰りたいんだ。
心がすっかりめげちまってる
もう家に帰りたい。
♫
一等航海士は酔っぱらった勢いで
船長室を壊しやがった。
警官が来てヤツを引っ張って行った。
保安官のジョン・ストーンさんよ
おれの事は放っておいてくれよ
もうホント落ち込んでるんだから。
家に帰りたい。
※♫ ♫
くりかえし
♫
馬鹿コックはヒステリーを起こし
おれの粥を放り投げ
おれのトウモロコシを全部食っちまいやがった。
家に帰りたいよ。
なんで家に帰らせてくれないんだよ
こんな最低最悪の旅
おれ、生まれて初めてだよ。
※♫ ♫
くりかえし
-------
実は
かなり気の毒な状況を訴えている歌詞だったのですが
この歌は元々
バハマに伝わっていた民謡で
国民的に大変人気のある
陽気な船乗り歌みたいなものだったそうです。
英語のタイトルは単に船名をあらわす
「Sloop John B」
であって
どこにも「遭難」らしき言葉はついていないのに
日本語タイトルにはどうして
「遭難」
なんて言葉がついているんでしょう?
もしかして…………
これは
実在の海難事故を題材にとった歌で
ひたすら
「家に帰りたい」と願い続けていたこの気の毒な主人公は
この後
遭難してしまう運命だった……
──── って事なんでしょうか?
そう思うとどうにも気になってしまい
色々とネット上を調べてみたのですが
実際に
「Sloop John B」
という船が遭難した事故があったのかどうかは
全然情報が見当たらなくて
結局わかりませんでした!
それどころか
カントリーフォークグループの
キングストン・トリオが
「Pet Sounds」(1966年)でこの曲を取り上げたのに先立つこと8年前
1958年に発表したアルバム
「THE KINGSTON TRIO」でこの曲を取り上げていて
その時につけられていた日本語タイトルが
「ジョン・B号の難破」
と
一層気の毒な事になっている事実が
判明してしまいました……。
可哀想に……
主人公はあんなにも家に帰りたがっていたのに
あの後、彼の乗った
ジョンB号は
難破しちゃったんですかねえ~……。
(´;ω;`)
しかし
英語のタイトルにも歌詞の内容にも
そんな悲劇を匂わせるような言葉は少しも出てこないのに
この「遭難」とか「難破」といった言葉は
一体どこから出ているんでしょうね……?
ネット上を調べてみても今の所
あんまり納得のいく答えは得られなかったのですが
その中に
この場合の遭難というのは
船が事故に遭うという意味ではなくて
主人公が悲惨な目(難)に遭っている
という意味の遭難なんです。
という説がありました。
なるほど~!!
この説であれば気分的に
「悲しい事故の歌じゃなくて良かった~」
と救われたような気がします。
私としても
この説を断然支持したい
ところです!
──── ただ
ちょっと引っかかってしまうのは
辞書を引いてみると
「遭難」という言葉の意味は
「生命にかかわるような災難に遭う事」
ってなってるんですよね……。
彼が置かれている状況は確かに悲惨には違いないけれど
生命にかかわるほどのレベルかな?
なんて思うと…………
うーーーーん
どうなんだろ。
でも
まわりはみんな飲んだくれの乱暴者ばかり。
船長は戻ってこない。
一等航海士は船長室を破壊する。
コックは発狂して食料をまともによこさない。
これじゃあ確かに
生命の危険を感じてもおかしくないレベルかもしれませんね。
それにしても
こんな
どうしようもないほどグタグダな内容だというのに
ものすごく爽やかなコーラスで聴かせてくる所が
なんだか笑えてきてしまう所ですね。
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