TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

春の七草の「ホトケノザ」は「コオニタビラコ」の事だった!~ホトケノザとタビラコの名前をめぐるややこしい関係

先ほど辞書を見ていましたところ

ほとけのざの説明に、このように書いてあったので、ちょっと驚いてしまいました。

 

ほとけのざ

 

①しそ科の一年草または二年草。四、五月ごろ、紅紫色の細長いくちびる形の花がさく。(同)かすみそう。

 

②【季・新年】たびらこの別名。きく科の二年草。春のはじめ黄色の花がさく。春の七草の一つ。

 

(角川国語辞典 新版 389版より)

 

私が子供のころ、良く摘んで遊んだり

花の蜜を吸ったりしていた

ホトケノザ

はこちらの赤紫の花だったので

春の七草もてっきりこちらの花の事かとばかり思っていました。

 

f:id:TODAWARA:20200808081716j:plain

 

現在ホトケノザと言えば

ほぼ、この赤紫の花の事を指すのですが

 

ずーっと昔はタビラコという黄色い花

ホトケノザ」と呼ばれていたんだそうです。

 

 

f:id:TODAWARA:20200808130253j:plain


 

こちら、赤紫のホトケノザ

あんまり美味しくないので食用には不向き……という事で

七草粥になど、到底入れられるようなものではないみたいです。

(これそっくりのムラサキケマンは毒があるので注意!)

 

花言葉「輝く心」

 

f:id:TODAWARA:20200808133535j:plain

 

茎についている葉っぱが仏の蓮華座に似ているから

「仏の座」と呼ばれていますが

葉っぱが段々になっている所から

「三階草」という別名もあります。

 

ところで、この花に

「かすみそう」という別名まで付いているなんて、全く知りませんでした。

 

一般的に良く知られている

カスミソウはこちらですよね。↓

 

f:id:TODAWARA:20200808081859j:plain

 

カスミソウと言えば

 

ヤクルトスワローズの往年の大打者

大杉勝男さんが引退の時に詠んだ

「さりし夢 神宮の杜に かすみ草」

という句が思い出されます。

 

(王さん長嶋さんがヒマワリの花なら、自分は月見草だと言った野村克也さんの言葉に対し、大杉さんは「だったら自分はカスミソウだ」と思ったそうです)

 

f:id:TODAWARA:20200808111137j:plain

 

こちらナデシコ科のカスミソウの花言葉

「親切」

 

f:id:TODAWARA:20200808134133j:plain

 

 

───と

脱線してしまいましたが

 

 

本家本元

春の七草に入っているホトケノザ

実はこちら

 

タビラコ(田平子)です。↓

 

f:id:TODAWARA:20200808082134j:plain

 

現在はほとんどホトケノザとは呼ばれておらず

 

コオニタビラコ(小鬼田平子)

と呼ばれています。

 

田んぼとかあぜ道とかの、湿っぽい所に生えているこの草は

羽のような形の葉っぱが田の地面に広がって生える、という所から

田平子という名前が付けられました。

 

この葉っぱが、見ようによっては仏の台座のようでもあるので、

昔はホトケノザと呼ばれていたですね。

 

しかし

 

あっちの赤紫の花の方が

「もっと仏の座っぽ~い!」

ということで、

いつのまにか、こちらはその名を譲ったような感じになっちゃったみたいです……。

 

f:id:TODAWARA:20200808134439j:plain

 

タビラコの若い葉っぱは、昔から食用とされていました。

胃腸や高血圧予防に良い成分が入っているそうですよ。

 

花言葉「秘かな楽しみ」

 

f:id:TODAWARA:20200808131123j:plain

 

このタビラコさん

実は名前に関しては

 

ホトケノザ」という名前を譲る事になった以外にも

さらに気の毒な話があるんです。

 

 

タビラコは湿地を好んで生えているのですが

水田が段々減ってくる、などの事情により、次第に見る機会が減ってしまいました。

 

そうこうしているうちに

道端などにタビラコそっくりの花をつける

こんな植物が良く見られるようになってきました。

 

f:id:TODAWARA:20200808093737j:plain

 

こちらは背丈が結構高く、20㎝~1mくらいになります。

タビラコとは違い、種はタンポポみたいに綿毛になります。

 

大きいタビラコということで

こちらは

オニタビラコ(鬼田平子)

という名前が付けられました。

 (でも、全く別の植物)

 

オニタビラコ花言葉

「仲間と一緒に」

 

f:id:TODAWARA:20200808131551j:plain

 

一応食べられるらしいですが

タビラコとは全く別の植物です。

 

f:id:TODAWARA:20200808093903j:plain

 

ところが

 

オニタビラコが人々の目にたくさん触れるようになるうちに、

 

本家本元のタビラコの影が

段々薄くなって行ってしまいました。

 

f:id:TODAWARA:20200808131943j:plain

 

そして、気が付いてみたら

本家本元のタビラコ

「小さいオニタビラコという事で

 

コオニタビラコ

などと呼ばれるようになってしまっていたのです。

 

気の毒だぁ~……。(T_T)

 

f:id:TODAWARA:20200808132334j:plain

 

実はタビラコの受難は

そればかりではありません。

 

タビラコと呼ばれる花が

他にもあったりするんです。

 

それがこちらの

 キュウリグサ

(別名タビラコ) 

 

f:id:TODAWARA:20200808082242j:plain

 

道端などに生えているムラサキ科一年草で、

ワスレナグサに似ている、2㎜くらいのとても小さな花です。

 

茎や葉を揉むとキュウリの匂いがするから

「胡瓜草」と呼ばれ、

 若い茎は食用にもなるそうです。

 

花言葉「愛しい人へ」

 

f:id:TODAWARA:20200808133030j:plain

 

ということで

まとめますと

 

七草がゆに使われる

春の七草」のホトケノザ

 

f:id:TODAWARA:20200808082355j:plain

 

現在、一般的にホトケノザと呼ばれている

こちら  ではなく、タビラコの事なのですが

 

f:id:TODAWARA:20200808082515j:plain

 

タビラコと呼ばれる事もある

こちら  のキュウリグサではなくて

 

f:id:TODAWARA:20200808082646j:plain

 

こちら  のコオニタビラコということになります。

 

f:id:TODAWARA:20200808082820j:plain

 

大変ややこしいのですが

お間違えの無いように。

 

 

ちなみに

現在春の七草として知られている7種の植物の組み合わせは

 

1362年頃(南北朝時代)に書かれた四辻善成(よつつじのよしなり)

「河海抄(かかいしょう)」という

源氏物語」の注釈書に見られるのが最も古く

 

そこに

「芹、なづな、御行、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七種」

とあるそうです。

(この歌の作者は今のところ不詳)

 

 

七草として言われる時って

植物の名前が、普段使っているのと若干違う呼び方をされるので、わかりづらいのですが

 

f:id:TODAWARA:20200808124549j:plain

 

 

 これを普段使っているような名前で言うと

 

セリセリ 

ナズナペンペン草

ゴギョウ→キク科のハハコグサ

ハコベラナデシコ科のハコベ

ホトケノザコオニタビラコ

スズナカブ(ノビル説もあり)

スズシロ大根(ヨメナ説もあり)

 

と、なります。

 

タビラコだけでなく、ナズナとかハコベとかハハコグサとか、

その辺に生えてる野草だけど、食べられるんですねえ。

 

炒めてパスタとかに入れたら、美味しそうな感じしますね~。

 (すいません、完全にイメージだけで言ってます)

 

 

 

f:id:TODAWARA:20200808124819j:plain

 

 

 

 

関連記事のご案内

 

 

ドウダンツツジの漢字名「満天星」って、なんか素敵!

todawara.hatenablog.com

 

 

可愛いけど厄介そうなヒメツルソバ

todawara.hatenablog.com

 

 

 

 

こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。

 

f:id:TODAWARA:20200808213908j:plain

 

 

台風スウェル

台風スウェル

 

f:id:TODAWARA:20200920095138j:plain

 

 

f:id:TODAWARA:20200719163007j:plain