先ほど辞書を見ていましたところ
「ほとけのざ」の説明に、このように書いてあったので、ちょっと驚いてしまいました。
①しそ科の一年草または二年草。四、五月ごろ、紅紫色の細長いくちびる形の花がさく。(同)かすみそう。
②【季・新年】たびらこの別名。きく科の二年草。春のはじめ黄色の花がさく。春の七草の一つ。
(角川国語辞典 新版 389版より)
私が子供のころ、良く摘んで遊んだり
花の蜜を吸ったりしていた
ホトケノザ
はこちらの赤紫の花だったので
春の七草もてっきりこちらの花の事かとばかり思っていました。
現在「ホトケノザ」と言えば
ほぼ、この赤紫の花の事を指すのですが
ずーっと昔は「タビラコ」という黄色い花が
「ホトケノザ」と呼ばれていたんだそうです。
こちら、赤紫のホトケノザは
あんまり美味しくないので食用には不向き……という事で
七草粥になど、到底入れられるようなものではないみたいです。
(これそっくりのムラサキケマンは毒があるので注意!)
花言葉は「輝く心」
茎についている葉っぱが仏の蓮華座に似ているから
「仏の座」と呼ばれていますが
葉っぱが段々になっている所から
「三階草」という別名もあります。
ところで、この花に
「かすみそう」という別名まで付いているなんて、全く知りませんでした。
一般的に良く知られている
カスミソウはこちらですよね。↓
カスミソウと言えば
ヤクルトスワローズの往年の大打者
故大杉勝男さんが引退の時に詠んだ
「さりし夢 神宮の杜に かすみ草」
という句が思い出されます。
(王さん長嶋さんがヒマワリの花なら、自分は月見草だと言った野村克也さんの言葉に対し、大杉さんは「だったら自分はカスミソウだ」と思ったそうです)
「親切」
───と
脱線してしまいましたが
本家本元
実はこちら
タビラコ(田平子)です。↓
現在はほとんどホトケノザとは呼ばれておらず
コオニタビラコ(小鬼田平子)
と呼ばれています。
田んぼとかあぜ道とかの、湿っぽい所に生えているこの草は
羽のような形の葉っぱが田の地面に広がって生える、という所から
田平子という名前が付けられました。
この葉っぱが、見ようによっては仏の台座のようでもあるので、
昔はホトケノザと呼ばれていたんですね。
しかし
あっちの赤紫の花の方が
「もっと仏の座っぽ~い!」
ということで、
いつのまにか、こちらはその名を譲ったような感じになっちゃったみたいです……。
タビラコの若い葉っぱは、昔から食用とされていました。
胃腸や高血圧予防に良い成分が入っているそうですよ。
花言葉は「秘かな楽しみ」
このタビラコさん
実は名前に関しては
「ホトケノザ」という名前を譲る事になった以外にも
さらに気の毒な話があるんです。
タビラコは湿地を好んで生えているのですが
水田が段々減ってくる、などの事情により、次第に見る機会が減ってしまいました。
そうこうしているうちに
道端などにタビラコそっくりの花をつける
こんな植物が良く見られるようになってきました。↓
こちらは背丈が結構高く、20㎝~1mくらいになります。
大きいタビラコということで
こちらは
オニタビラコ(鬼田平子)
という名前が付けられました。
(でも、全く別の植物)
「仲間と一緒に」
一応食べられるらしいですが
タビラコとは全く別の植物です。
ところが
オニタビラコが人々の目にたくさん触れるようになるうちに、
本家本元のタビラコの影が
段々薄くなって行ってしまいました。
そして、気が付いてみたら
本家本元のタビラコは
「小さいオニタビラコ」という事で
「コオニタビラコ」
などと呼ばれるようになってしまっていたのです。
気の毒だぁ~……。(T_T)
実はタビラコの受難は
そればかりではありません。
「タビラコ」と呼ばれる花が
他にもあったりするんです。
それがこちらの
(別名タビラコ) ↓
ワスレナグサに似ている、2㎜くらいのとても小さな花です。
茎や葉を揉むとキュウリの匂いがするから
「胡瓜草」と呼ばれ、
若い茎は食用にもなるそうです。
花言葉は「愛しい人へ」
ということで
まとめますと
七草がゆに使われる
現在、一般的にホトケノザと呼ばれている
こちら ↓ ではなく、「タビラコ」の事なのですが
「タビラコ」と呼ばれる事もある
こちら ↓ のキュウリグサではなくて
こちら ↓ のコオニタビラコということになります。
大変ややこしいのですが
お間違えの無いように。
ちなみに
現在「春の七草」として知られている7種の植物の組み合わせは
1362年頃(南北朝時代)に書かれた四辻善成(よつつじのよしなり)の
「河海抄(かかいしょう)」という
「源氏物語」の注釈書に見られるのが最も古く
そこに
「芹、なづな、御行、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七種」
とあるそうです。
(この歌の作者は今のところ不詳)
七草として言われる時って
植物の名前が、普段使っているのと若干違う呼び方をされるので、わかりづらいのですが
これを普段使っているような名前で言うと
セリ→セリ
ナズナ→ペンペン草
スズナ→カブ(ノビル説もあり)
と、なります。
その辺に生えてる野草だけど、食べられるんですねえ。
炒めてパスタとかに入れたら、美味しそうな感じしますね~。
(すいません、完全にイメージだけで言ってます)
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