「醂す」という言葉があります。
手持ちの辞書(「角川 国語辞典」)には
意味は
酒で中和させて柿の渋みを抜く事
とあり
読み方は「あわす」「さわす」と書いてありました。
膨大な言葉がある中で
柿の渋みを抜く事だけに限定して
わざわざこんな言葉が
用意されているの!?
と
ちょっと驚いてしまいました。
(いくら何でも細かすぎるだろ~)
そこでネット上を調べてみましたところ
goo辞書さんのサイトでは
「デジタル大辞典」(小学館)の出典で
このように書いてありました。
1. 渋柿の渋みを抜く。
例「柿を醂す」
2. 水に浸してさらす。
例「布地を流れに醂す」
3. 黒漆をつやの出ないように薄く塗る。
例「醂したお盆」
どうやら
これを見ると、柿だけではなく、
布地や黒漆にも使う場合があるようですね。
読み方は
「あわす」
「さわす」
の二通りあるのですが
ネット上をざっと見た感じでは
「さわす」
という読み方で使われるほうが、どちらかといえば多いようです。
「醂」
という字には
リン・ラン・さわす・あわす
という読み方があり
この字自体に
柿の渋を抜く、渋を抜いた柿
という意味があるそうです。
また
調理用酒である「味醂」にも
この字が使われています。
実は、渋抜きした柿には
「さわし柿」
などという
立派な呼び名が付けられているそうです。
そして、木に付いたまま甘くなる甘柿には
「木ざわし」(きざわし)
などという名も。
柿を醂(さわ)す方法としては
水やお湯に浸して醂す
という方法もありますが。
焼酎を使って醂すのが簡単みたいです。
渋柿のヘタの部分に焼酎をつけて
ビニール袋に入れて密閉し
冷暗所に1週間くらいおいておくと
醂すことができるそうですよ。
醂の字が
酒という字に似ている所や
果実を美味しくする所などから
もしかして
「醂す(さわす)」は
「サワー」
と何らかの関係があるのでは!?
(・_・;)
などと思ったのですが
サワーは元々
「酸味のある」「酸っぱい」
という意味の
英語「sour」
なので
全く関係が
ありませんでした。
(._.)
蒸留酒に柑橘系のジュースや砂糖などの甘み成分を混ぜたカクテルが
欧米ではsour(サワー)と呼ばれているのですが
日本では焼酎割や酢入りのドリンクが
サワーと呼ばれているそうです。
また
「さわす」には
「淡す」
という字をあてる事もあるそうで
この場合もやはり
「あわす」という読み方があるみたいです。
この言葉を使った
「猿が柿淡す(さるがかきあわす)」
なんていう
ことわざまであるんですよ。
意味は
猿が柿を食べようとして渋を抜こうとするのだけれど
せっかちなため、何度も戻したり食べたりを繰り返し、満足に甘くならない事から
せっかちすぎて
完成するまで待てない例え
なんだそうです。
カップラーメンの3分が待ちきれない!
なんて時もありますよね。
きっとそんな時に使うんでしょうね……。(^^;)
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