TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

「ロビンソン漂流記」~この世をサバイバルするための知恵が満載!

今回は、イギリスの作家

ダニエル・デフォー(1660-1731)

が59歳にして初めて書いた小説

「ロビンソン漂流記」(1719年刊)

をご紹介いたします。

 

 

《内容》

 

中流家庭に生まれ、それなりの商才や経営の才に恵まれながらも

冒険心があまりにも強すぎて、安定した境遇に落ち着くことができないロビンソン・クルーソー青年。

 

そのせいでこれまでにも何度も手痛い目にあった───にもかかわらず

再び性懲りもなく危険な航海に乗り出し

挙句の果てに

難破して無人島に漂着

 

そこで二十数年にも及ぶ

孤独なサバイバル生活を送り

 

五十代半ばにして英国船をつかまえ

ようやく島を後にする

(英国船に乗るまでも、ヨーロッパ世界に戻ってからもハラハラものの冒険の連続)

───というお話です。

 

 

もし自分が、たった一人

どこか知らない島に漂着したとしたら?

 

たとえどんなに好奇心が強く

人一倍の度胸を誇っていたとしても

すぐに

「探検だ~」

なんてフラフラ無防備に出歩いちゃダメですよ!

 

獰猛な野獣がいるかもしれない!

 

足場や頭上が危険な所かもしれない!

 

猛毒植物が生えているかもしれない!

 

常に「~かもしれない」を心に留めて

ありとあらゆる危険を想定して行動しないといけません。

(車の運転と同じです)

 

「かもしれない運転」で、常に安全を心がけましょう。

 

また

 

もし、が手に入ったとしても

舟さえあれば脱出できるってわけじゃないんですよ。

 

季節や時間帯によって刻々と変わりゆく潮流だとか

海底にある岩礁の位置

なんてものも

ちゃんと抑えておかないと

 

海に乗り出した途端

今度こそ本当に

一巻の終わりとなってしまいます!

 

そして

 

大きな船が近くに来たからと言って

それが必ずしも救いになるとも限らないんです

 

だって

 

それに乗っているのが

善人だとは限りませんから……。

 

 

ロビンソンもそうなんですけど

 

冒険家って実際の所

ものすご~く慎重です。

 

危険で壮大な大冒険を企てたりはしますけど

その実行にあたっては

これでもかってほど、細心の用心を重ねます。

 

だって、そうでないと

すぐに死んでしまって

冒険はそこで終了してしまいますから……。

 

何の危険があるはずもないのに、危険の予感が生じた時は、我々は決してそれを軽視してはならない。

そういう経験は物事を少し弁えている人間であるならば、誰にでもあることと思うが、それがある一つの、我々が知らない世界からの知らせであり、何等かの霊的な存在の呼びかけであることを疑う事はできない。

 

「ロビンソン漂流記」より

 

 

ロビンソン青年

孤島でのサバイバル生活を

二十年以上にわたって地道に続け

 

難破船から逃れた(の子孫)

そして

現地で捕まえたオウム家族として

 

穏やかで満ち足りた生活を送る

ロビンソンおじさんになりました。

(人間とは一切交流しなくても、犬と猫とオウムがいるから全然寂しくないそうです)

 

実は、猫は殖え過ぎてしまったために、ちょっと悲惨な事になったりもしたんですが……。

 

船から持ち出した聖書を心の拠り所とし

自暴自棄に陥らず

神の摂理をひたすら信じ───

 

という

精神的な所も

とても深いものがあって、考えさせられる所が多かったのですが

 

生き延びるためには

何をどうしたら良いのか

 

という

実際的な技術面

非常にたくさん、こと細かに書かれていますので

 

これ、本当にサバイバル生活を送るようになった時には、かなり参考になるんじゃないですかね!?

 

 

あまりにも真に迫った内容だったので

絶対に

作者の実体験でしょ!

思ってしまったのですが 

 

この物語は

実話ではなくフィクションです。

 

ダニエル・デフォー(1660-1731) ロンドンの新興ブルジョア階級出身。メリヤス商や煉瓦製造業など様々な仕事につき、大もうけしたり破産したりしました。政治好きで血の気の多そうな性格。ジャーナリストとして活躍。

 

とはいっても

 

全くの空想、というわけではなく

色々な人の無人島漂着体験談を素として作られた物語なんだそうです。

 

素材となった漂流体験者の中でも

スコットランド生まれの船乗り

アレキサンダー・セルカーク(1676-1721)

は殊に有名で

 

現在

ロビンソン・クルーソーのモデル」

として、よく語られている存在です。

 

(セルカークが無人島で4年間を過ごした体験談は本書「ロビンソン漂流記」より7年前になる1712年に発表されています)

 

 

「ロビンソン漂流記」の舞台となっている

こちらのモデルは

 

カリブ海に浮かんでいる

トバゴ島(トリニダード・トバゴ)

という説が有力なのですが

 

アレキサンダー・セルカークがサバイバル生活を送った

チリ沖合の島(ファン・フェルナンデス諸島で2番目に大きな島)

マサティエラ島という島が

 

1966年、チリ政府によって

ロビンソン・クルーソーと名付けられています。(観光のため)

 

 

この本が刊行された1719年

日本で言えば

江戸時代の享保4年となります。

 

まだアメリカが建国される、ずっと以前のお話です。

(アメリカ独立宣言は1776年)

 

初版の正式タイトルは以下の通り。

 

「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」

(The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner:Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un‐inhabited Island on the Coast of America, near the Mouth of the Great River of Oroonoque;Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. With An Account how he was at last as strangely deliver’d by Pyrates)

 

───って

長すぎるだろ!

ラノベか!!

 

 

この物語が世に出てから7年後の

1726年

同時代人ジョナサン・スウィフト(1667-1745)による

ガリヴァー旅行記

が出版されました。

 

こちらの正式な題名タイトルは

 

「船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇」

Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of Several Ships

 

ジョナサン・スウィフト(1667-1745) アイルランドのダブリン生まれ。性格はナカナカ難しそう。

 

スウィフトデフォーより7つ年下なんですが

二人とも血の気が多い上に政治好き

代表作となる小説の骨組みも

 

冒険好きな主人公が航海の旅に乗り出し

船が遭難した挙句

見知らぬ場所に一人で漂着~。

非常に似たところがあります。

 

しかしながら

実録風

「ロビンソン漂流記」

奇想天外

ガリヴァー旅行記

 

内容は極めて対照的

 

皆さまはどちらがお好みでしょうか?(^_^)

(私は、物語はどちらも好きですが、お友達になるならデフォーがいいです)

 

そして、もう一つ

対照的なことと言えば

 

同じ島国でありながら

ガンガン海外に進出しまくっていた

この当時のイギリス

鎖国政策を敷いていた

当時の日本

 

これもまた

非常に対照的で、面白いですよね。

 

 

 

 

 

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