月下氷人という言葉があります。
なんとなくロマンチックな響きが感じられる言葉ですが
月下氷人って
みなさん
どんな人だと思いますか?
月の下に咲く
月下美人の花みたいな
どこか神秘的な雰囲気の漂う人……?
たとえば
こんなイメージとか……?
な~んて思うかもしれませんが
月下氷人というのは
実は
恋(結婚)の仲立ち、縁結びをする人
つまり
仲人(なこうど)さんの事を指す言葉なんです。
この言葉は
「月下」の部分と
「氷人」の部分
それぞれ2つの昔話からなる言葉が合体して出来ています。
まず一つめ
「月下」の部分のお話は
どんなものかというと───
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昔々、中国が唐だった時代。
韋固(いこ)という独身青年が、宋城という地を旅していました。
ある夜のこと
彼は、月光の下で大きな袋にもたれながら読書をしているお爺さんに出くわします。
韋固がお爺さんに、袋の中から出ている赤い縄について尋ねたところ
「これは縁結びの縄じゃ~。これで足を繋がれた男女は必ず夫婦になるんじゃよ~」
お爺さんはそう言って、彼の未来の妻となる少女を教えてくれました。
そして、その数年後
韋固は本当に、その少女と結婚する事になったそうです。
この話は
李復言が著した唐の伝奇小説集
「続玄怪録」(続幽怪録ともいう)が出典となっています。
このことから
中国では男女の仲を取り持つ人が
月下老人
と呼ばれるようになりました。
そして、二つ目
「氷人」の部分のお話は
次のようになります。
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晋の時代に狐策(こさく)という人がいました。
あるとき、彼は
氷の上に立ち、氷の下にいる人と話をしている
──という不思議な夢を見ました。
……変な夢だなあ。一体、どんな意味があるんだろう?
そう思った彼は
有名な占い師索紞
この夢の意味を解いてもらうことにしました。
「氷の上と下は陰陽をあらわしております──これはあなたが結婚の仲立ちをする、という予兆ですな。して、氷が溶ける頃合いには、その結婚は成立することでしょう」
果たしてその言葉通り
狐策はその後、太守の息子の仲人をすることになり
その結婚は無事に成立したという事です。
こちらの話は
唐の時代に成立した晋朝の歴史書
「晋書」
の中に書かれています。
月下老人と同じように
氷人という言葉にも
仲人・媒酌人などの意味がありまして───
───つまり
月下老人も氷人も
そして、それを合体させた
月下氷人も
み~んな
仲人さんってことなんですね!(^^)
ところで
韋固君の未来のお嫁さんを言い当てた
月下老人さん
この方は
縁結びの神様として
中国、台湾、韓国で篤く信仰されています。
日本においても
たとえば
横浜中華街にある媽祖廟(まそびょう)とかにも祀られていて
恋愛方面のご縁は
もちろんのこと
様々なご縁を
良い方向に結びつけてくれる
ということですよ!
ありがたや~~~……!!!!
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