帰納法と演繹法の違いが良くわからない。
何度説明を読んでみても覚えられないし
覚えてもすぐに忘れてしまう。
そういう方は、結構、多いのではないでしょうか。
そこで今回は
なるべくわかりやすくご説明をしようと思います。
《帰納法とは》
「帰納」という言葉の意味
帰納(きのう)というのは
一つ一つの具体的な事実から
一般的な法則や原理を導き出す事を言います。
・こういう事実Aがある
・こういう事実Bがある
・こういう事実Cがある
ABCを考え合わせて見た所から
〇〇〇であると考えられる(帰納される)。
※(〇〇〇に入るのは、ABCに共通して見られた原理)
というようにして使われます。
帰納法とは
実験や観察によりわかった個々の事実から
法則性を発見する方法のことを言います。
ここで一例を挙げて見ましょう
会社帰りの花子さんを観察していた所
次のような行動が見当たりました。
・花子さんがコンビニでプリンを凝視していた。
・花子さんがケーキ屋の前で匂いを嗅いでウットリしていた。
・花子さんがチョコレートの本を眺めてニヤニヤしていた。
プリンもケーキもチョコレートも甘い物という事で共通していますよね。
したがって
花子さんは甘い物が好きなんじゃないか?
という事が帰納されます
《演繹法とは》
「演繹」という言葉の意味
演繹(えんえき)とは
「意味を広げて説く」という事です。
一つの事柄から個々の事柄へと話を広げて述べる事や
前提となる原理や法則から個々の事象を予想したり説明したりする事を
「演繹する」
と言います。
(例)
花子さんは甘いものが好きである。(前提)
花子さんは
・チョコレート(=甘い)が好きである。
・プリン(=甘い)が好きである。
・ホットケーキ(=甘い)が好きである。
帰納が
個々別々の事柄から一つの原理を導き出していったのとは反対に
演繹は
一つの前提から個々の事柄に広げていく形になります。
演繹法とは
演繹法というのは
演繹を使って答えを導き出す物の考え方の事です。
(例)
花子さんは甘いものが好きである。(前提)
カステラは甘いものである。
── とすると
花子さんはカステラ(=甘い物)が好きだと思われる。(結論)
これが演繹法です。
ただし
演繹法でものを考える時には
前提が正しくないと正しい結論が得られない
ということになるので要注意です。
花子さんが
「甘いものなら何でも好き!」
というわけじゃない場合には
必ずしも
「カステラが好き」
とは限りませんものね。
演繹法の応用としてよく使われるのが
前提を二つ以上とする
三段論法です。
この考え方は
「大前提と小前提から結論を導き出す」
という形になっています。
(例)
(大前提)
全てのお菓子は食べ物だ。
(小前提)
チョコチップクッキーはお菓子だ。
ゆえに
(結論)
チョコチップクッキーは食べ物だ。
三段論法の例を
もうひとつあげておきましょう。
甘いものを食べ過ぎて体重が増えてしまった花子さん ──
ダイエットに取り組み始め
しばらくの間は
甘いデザートは禁止ということに決めました。(大前提)
プリンアラモードに心惹かれるものの
甘いデザートです。(小前提)
ゆえに、導き出された結論は
ダイエット中に
「プリンアラモードを食べるのは禁止である」
以上が
三つのものの考え方です。
言葉のイメージが何やらムツカシそうなので、ちょっと身構えてしまう所があるのですが
こうしてみると、意外と日常的に使っているようなものの考え方ですよね。
ときどき
「今のって帰納だったな」
とか
「演繹だったな」
とか振り返って意識してみたら
知らぬ間に覚えちゃうかもしれませんね。
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