TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

日本の古典

小林一茶の猫の俳句と松浦佐用姫の悲恋伝説

岩波文庫の 「新訂 一茶俳句集」(丸山一彦校注)を読んでいたところ 可愛いらしい俳句を見つけましたので 今回はそれをご紹介しようと思います。 新訂 一茶俳句集 (岩波文庫) 作者:小林 一茶 岩波書店 Amazon その句は文化11(1814)年 小林一茶が52歳の時に詠…

藤原氏にまつわるエピソードが満載!平安時代の歴史物語「大鏡」のご紹介

今回は 藤原摂関家にまつわる権力闘争と栄華の歴史を 紀伝体で鮮やかに描き出した歴史文学作品 「大鏡」のご紹介をいたします。 大鏡 全現代語訳 (講談社学術文庫) 作者:保坂 弘司 講談社 Amazon 平安時代から室町時代にかけて成立した 「~鏡(かがみ)」とい…

トンデモなくぶっ飛んだ平安時代のお姫様!~敦道親王の奥様(藤原道隆三女)について。

「大鏡」(平安時代後期に成立したと思われる、藤原摂関家を中心とした歴史の記録)を読んでいた所 和泉式部の恋人として有名な 敦道親王(冷泉天皇の第四皇子)の最初の奥さま が出て来たんですが その方のキャラクターが余りにもぶっ飛んでいましたので ここに…

「来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに……」藤原定家の歌に因まれた悲しい恋の物語。

先日、こちらの 「新版 百人一首」(島津忠夫訳注)という本を読んだ折 撰者・藤原定家の歌の解説で 「ほほぉ……」 と感じた所がありましたので 今回はそのことについて書いてみます。 新版 百人一首 (角川ソフィア文庫) KADOKAWA Amazon 権中納言 藤原定家(116…

「音にきく たかしの浜の あだ波は」~女流歌人・紀伊のビックリ話

先日 角川ソフィア文庫から出ている 「新版 百人一首」(島津忠夫訳注) という 百人一首の解説本を読んだのですが この中で ちょっとビックリしてしまうような話がありましたので 今回はそのことについて、書いてみようと思います。 新版 百人一首 (角川ソフ…

牛車の乗り心地は結構悪い~「今昔物語集」から頼光四天王の面々が牛車で酷い目に遭った話

平安時代の貴族などが使っていた 牛車(ぎっしゃ) という乗り物がありますよね。 なんとなく まったり・のんびりしたイメージがありますが 実際の所乗り心地はどうだったんでしょう? 現代のようにきちんと平らに舗装されているわけではない 平安時代のボコボ…

遣唐使の任務を「嫌だ!」と拒否した小野篁&頑張って遂行した藤原常嗣のお話

小倉百人一首の中に わたの原八十島(やそしま)かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り船 (現代語訳) 大海原にある幾多の島を目指し 私は船出したと 人々に伝えてくれ 海人の釣り船よ という歌があります。 これは平安時代初期の貴族 小野篁(おののたか…

「万葉集」から、素敵な歌を5首ご紹介いたします。

奈良時代の末に編まれた わが国最古の和歌集 「万葉集」 そこにおさめられた4516首もの歌の中には 遥か遠い時代に生きていた人々の 哀歓や息遣いが タイムカプセルの様に封印されています。 (ロマンですねえ~……) 今回は その膨大な歌群の中から私が 「素敵…

現代にも充分通用する健康長寿の秘訣本〜貝原益軒「養生訓」のご紹介

今回は江戸時代の儒学・本草学者であった 貝原益軒(1630-1714)が83歳の時に著した健康長寿の秘訣本 「養生訓」 のご紹介をいたします。 貝原益軒とはどのような人か と言いますと 1630(寛永7)年 福岡藩の祐筆(事務官僚)貝原寛斎の5男坊として生まれました。 …

無名を侮るべからず!~「よみ人知らず」の素敵な歌を「古今和歌集」からご紹介

ところで 私などもまあ 小説本をkindleから出したりしているわけなのですが(完全なる無名作家です) 文芸などの活動をされている方はプロアマ問わず 「無名のくせに」 なんていう言葉に カチンと来た経験を 大なり小なりお持ちなのではないかと思います。 で…

ブルーな気分に寄り添うブルーな和歌~「古今和歌集」巻第十八雑歌下から

日々暮らしていると どうにも憂鬱になってしまって どうしようもない時ってありますよね。 あまりにもテンションの低下したそういう時って 「元気出しなよ!」(^O^)/ なんて励まされるのも 却って疲れが増してしまう感じで むしろ どっぷりブルーな気分に浸…

万葉集にある変な歌 Part2~それにしても、本当にそんな場所で魚を獲って食べたりしてたんでしょうかね?

今回は 「万葉集に収録されている変な歌」の第2弾 をお届しようと思います。 前回の歌に引き続き、今回もまた かなりのお下品ネタとなってしまう事をご了承ください。 <(_ _)> それではご紹介します。 万葉集 巻十六に収められている No.3828のこちらの歌で…

井原西鶴「諸艶大鑑/好色二代男」から~長山太夫が恋人の敵討ちを果たすお話「惜しや姿は隠れ里」のご紹介

今回は井原西鶴が 1684(貞享元)年、43歳の時に世に送り出した遊里説話集 「諸艶大鑑/好色二代男」 をご紹介いたします。 これに先立つこと2年前 1682(天和2)年に出版された西鶴の小説デビュー作 「好色一代男」は それまで俳諧師であった西鶴を41歳にして小…

堤中納言物語~ホントウは「堤中納言兼輔」とは全く関係のない10編の短編小説集

今回は 平安時代から南北朝時代までにつくられたお話10編を 1冊の本にまとめた短編物語集 「堤中納言物語」 をご紹介いたします。 「堤中納言物語」と言えば 毛虫好きの風変わりなお姫様の話 「虫愛ずる姫君」 が収載されている事で良く知られているのですが…

鶴屋南北「東海道四谷怪談」~怨霊パワーで悪人どもをやっつける!お岩&小平の最恐タッグ!!

今回は 1825年(文政8年)に 鶴屋南北(当時71歳)が 江戸中村座のために書き下ろした芝居台本 「東海道四谷怪談」 をご紹介いたします。 「四谷怪談」と言えば お岩さんが出て来ることで非常に有名な怪談話ですが 「お岩さんという女性が伊右衛門という夫に浮気…

恋多き才女がどうしても書き残しておきたかった、若き日の美しい恋の思い出「和泉式部日記」

今回は 平安時代中期の女流歌人・和泉式部による恋物語 「和泉式部日記」 のご紹介をいたします。 -------- 「和泉式部日記」 あらすじ 恋人だった為尊(ためたか)親王が26歳という若さで亡くなってしまった後 和泉式部は傷心と追憶の日々を送ってい…

「一遍上人語録」「播州法語集」の感想~努力・善行など一般的に「良い」と言われている事にも思わぬ落とし穴がある。

今回は 鎌倉時代中期に活躍した時宗の開祖 一遍上人の教えをまとめあげた 「一遍上人語録」と「播州法語集」の感想 を書かせていただきます。 -------- 《一遍智真上人の生涯》 1239年(延応元年) 伊予の国松山に生まれました。 生家は瀬戸内海きって…

阿仏尼「十六夜日記」~タイトルの美しさとは裏腹な和歌名家のドロドロした相続争い

今回は 鎌倉時代後期の弘安3年(1280年)ごろに成立したと考えられている 阿仏尼の 「十六夜(いざよい)日記」 をご紹介いたします。 この日記が書かれた背景を一口で申しますと 歌道の大家亡き後に勃発した 嫡男VS側室(年少の息子の代理) の 相続争いという…

「遠野物語」とか「耳嚢」とか読むと幽霊って本当にいるんだろうなあって思います……。

今回は柳田国男(1875-1962)の名著 「遠野物語」と 江戸時代に書かれた巷話集 「耳嚢」とに ちょっと似通った幽霊譚 がありましたので それをご紹介いたします。 まずは「遠野物語」の概略と感想を ─── 民俗学者柳田国男が35歳(明治43年)の時に著したこの説話…

色男をめぐって繰り広げられる美女たちの愛憎劇~為永春水「梅暦」ワールド

今回は 江戸の天保年間に出版されて大評判となり 当時の女性達を熱狂させたという 為永春水作の人情本 「梅暦」(うめごよみ)シリーズ のご紹介をいたします。 -------------- 「春色梅児誉美」 (しゅんしょくうめごよみ) あらすじ 遊女屋「唐…

「耳嚢」から~江戸時代、箱根の山上に未確認飛行物体が現れたという話

今回もまたまた お奉行様根岸鎮衛(やすもり)が集めた江戸時代の巷話集 「耳嚢」から不思議なお話 をご紹介いたします。 今回はなんと 根岸鎮衛本人が怪しい未確認飛行物体と遭遇した!? とも取れる内容となっております。 参考文献は角川ソフィア文庫から出…

「耳嚢」から~ネズミの健気な罪ほろぼしのお話。

今回も 江戸時代のお奉行様根岸鎮衛(やすもり)が集めた巷話集 「耳嚢」(みみぶくろ)からのお話をご紹介いたします。 今回ご紹介いたしますのは ネズミと人間の間にうまれた美しい絆の物語。 参考文献は角川ソフィア文庫刊の 「耳袋の怪」です。 耳袋の怪 (角…

「耳嚢」から~「粗暴すぎる侍と狐の神様のお話」のご紹介

今回もまた お奉行様根岸鎮護(やすもり)の集めた巷話集 「耳嚢」から怪異譚をご紹介いたします。 ───とは申しましても、今度のお話は怪談話ではなく 神として崇められる霊獣であっても粗暴過ぎる者にはかなわないという 稲荷狐にまつわるお話です。 ーーーー…

夏なので怪奇話をご紹介~お奉行様がしたためた巷話集「耳嚢」より「菊虫の話」

江戸時代の中頃 根岸鎮衛(ねぎしやすもり) という旗本がいました。 佐渡奉行、勘定奉行、南町奉行を歴任した彼は 天保から文化まで 33年もの月日をかけて 知人や古老などから巷に伝わる話を聴き取り それを 「耳嚢」(みみぶくろ)という書物にまとめあげまし…

万葉集にある変な歌~本当にこんな解釈で合っているのか、専門家の人にぜひとも解説していただきたいです。

「令和」という元号の出典となった事もあり 最近、とみに注目を浴びている 「万葉集」 万葉集に描かれた美しき日本の姿 というような本も 次々に出版されていますが 数多くの歌が収録されている中には 一体なぜ どのような意図があって このような歌を選んだ…

柳生宗矩「兵法家伝書」からの教え〜心は常に平常心を保つべし。決して感情に影響されるべからず。

生きていると 色々理不尽なことや不愉快なことに行き当たったりして 心がザワザワ波立つことが避けられませんよね。 もう、どうしようもない位に腹が立ったときなど その怒りの勢いで ついつい人にキツい事を言ってしまったり とんでもなく乱暴な事をやって…