TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

美術関係

普段使いの「美」を再発見!~柳宗悦「民藝とは何か」のご紹介と感想。

大正時代の終わりごろから昭和にかけての美術界で 民芸の素晴らしさというものを 世間に知らしめる 「民藝運動」 という一大ムーブメントがありました。 先日、その提唱者 柳宗悦(1889-1961)による 「民藝とは何か」 という本を読みましたので 今回は「民藝…

人の手による芸術は、今後AIに駆逐されてしまうのか!?

近頃、AIが飛躍的大発展を遂げ 一気に身近なものとなってまいりました。 以前から 「AIが発展・普及しすぎると、人間の様々な仕事がAIにとって代わられるようになるぞ!」 と言われてはきましたが 実際に良い感じの絵画や文章を書くAIが出現し、瞬く…

「作者の事情により作品の評価がそれまでと変わってしまう事」についての考察

モノ それ自体は変わらないのに ある事が判明した途端 それ以前と以後とでは 見る人の評価がガラッと変わってしまう。 そういうことって 結構ちょくちょく見かけますよね。 たとえば 一例を挙げてみますと ここに 一つの陶器があります。 これは とある巨匠…

新しい「美」の発見と、その一般への普及について考えてみました。

古今東西を通じて人間が普遍的に理想とし、求めるものとして 真・善・美 という三つの概念がありますが 今回はこの中の 美ということ について考えてみました。 美って一体、何なんでしょう? 世の中には 美しいものって色々ありますけれど 物それ自体に元々…

「魯山人陶説」~北大路魯山人の美意識や芸術観が窺える名著!

今回は 美食の芸術家・北大路魯山人(1883-1959)の 陶器にまつわる講演や随筆などを 彼に師事していた平野雅章さん(1931-2008)がとりまとめた本 「魯山人陶説」のご紹介をいたします。 大変な美食家で自らも料理を良く手掛けた芸術家(書家・画家・篆刻家・陶…

「奇想の絵師達」は作品はもちろん、その性格も超個性的!〜辻惟雄「奇想の系譜」のご紹介と感想。

近年、日本画の世界において 「おっ!?」 と一風変わった印象を与えられる感じの昔の絵 いわゆる 「奇想の画家」 と呼ばれる人たちの作品が人気になっていますよね。 今回はこの 「奇想の画家たち」の魅力を世間に広め ブームを巻き起こすきっかけとなった本 …

美食の巨人・北大路魯山人直伝、超簡単&リーズナブルに作れてしまう絶品雑炊!

私は今 美食の芸術家 北大路魯山人(1883-1959)による随筆 「魯山人の食卓」 という本を読んでいるのですが その中で魯山人が 家庭でも簡単に作れる雑炊のレシピ を披露してくれていましたので 今回はそれをご紹介しようと思います。 漫画「美味しんぼ」に出…

青山二郎「鎌倉文士骨董奇譚」~超ハイセンスでリッチな高等遊民の交遊録と美意識

今回は 装丁家、陶器の鑑定家として知られた 青山二郎(1901-1979)の随筆集 講談社文芸文庫刊の 「鎌倉文士骨董奇譚」 という本のご紹介をいたします。 鎌倉文士骨董奇譚 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:青山 二郎 発売日: 1992/12/03 メディア: …

お地蔵様と三角コーンが一体化!?鎌倉散策の折に見つけた「地蔵コーン」について調べてみました。

先日鎌倉に行ったおり、4~5mあるのでは?と思われる 巨大な皇帝ダリアに遭遇し、大変に驚かされたのですが その時の記事はコチラ ↓ todawara.hatenablog.com 実はその日にビックリさせられたものは それだけにはとどまりませんでした。 こ……、これは……!?…

岡倉天心「茶の本」のご紹介〜茶の湯の美は老荘思想と禅にあり。

今回は 思想家岡倉天心が1906年に英文で著し 「The Book of Tea」 として出版された名著 「茶の本」(村岡博訳) のご紹介をいたします。 「茶の本」というタイトルではありますが こちらの本は、茶道の細かい作法を記したものではなく 茶道というものを通して…

まちかどパンダコレクション1~横浜弘明寺&横須賀中央編

先ほど書き上げて投稿したばかりの こちらの記事が todawara.hatenablog.com どういうわけだか 3か月近くも前の「4月8日の記事」としてブログに認識されてしまいました。 (;・∀・) (1年以上もブログを書いていながら、いまだに仕組みが良くわかっていないの…

ほっと安らぎたい気分のときには、絵本を開くのも良いですよね。

日々の生活で、なんとなく心に疲れを感じる時。 美味しいものを食べたり 音楽を聴いたり 綺麗な風景を眺めたりすると 心がほっと安らぎますよね。 「心のコリをほぐしたいな」 と感じる、そんな時には 絵本を開いてみる というのもお勧めですよ。 かわいらし…

「芸術とは何か!?」という問いに哲学者たちがズバリ答えます~マーカス・ウィークス著「毎日使える、必ず役立つ哲学」の感想とご紹介

今回は、作家で音楽家でもある マーカス・ウィークス氏が書いた 「毎日使える、必ず役立つ哲学」(矢羽野薫訳) という本のご紹介をいたします。 こちらの本は副題に 「教えてニーチェ、 なるほどソクラテス!」 とありますように 日常生活を送る中で、ふと感…

自分を捨てた恋人の等身大の人形を作って連れ歩く!!オーストリア近代美術の巨匠オスカー・ココシュカの恋

今回は グスタフ・クリムトやエゴン・シーレと並んで オーストリア近代美術を代表する画家 オスカー・ココシュカ(1886-1980) について書かせていただきます。 この夏 私は国立新美術館で行われた 「ウィーン・モダン クリムト・シーレ 世紀末への道」 という…

戦前の「缶詰ラベルコレクション」を見たことをきっかけにして、つい先ごろまでスズメが普通に食べられていた事を知りました。

今回ご紹介いたします本 「缶詰ラベルコレクション」 は日本缶詰協会が所蔵する2500点あまりもの缶詰ラベルの中から 1877(明治10)年~昭和初期までに国内で製造された 550点分のラベルを選り抜いて掲載したものです。 この頃の日本にとって 缶詰は主要な輸出…

江戸時代末期の慶応2年(1866年)6月9日、大坂城のお堀に謎の巨大生物が出現していたらしい!

先日、三井記念美術館に 「日本の素朴絵展」を見に行った際 実は大変に気になる絵がありました。 それは 日本妖怪博物館から出展されていた こちらの絵なのですが 幕末 ───大政奉還が成る1年ちょい前の 慶応2年6月9日 大坂城の内堀に こんな怪獣が 現れたん…

脱力系の愛らしさ「日本の素朴絵展」を観てきました~地獄の獄卒に責められる亡者たちの余裕っぷりが素敵です。

「メスキータ回顧展」を見に行った同じ日に 日本橋の三井記念美術館で開催されていた 「日本の素朴絵」 という展覧会も観てきました。 「素朴絵」という言葉は 跡見学園女子大の矢島新教授が創出されたもので 「リアリズムを目指さない素朴でおおらかな具象…

「メスキータ回顧展」に行ってきました~エッシャーとの師弟愛に思わず胸が熱くなる!

東京ステーションギャラリーで開催していた 「メスキータ回顧展」に行ってきました。 赤煉瓦の中にある美術館 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は 19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した オランダの芸術家(画家、版画家)です。 「マント…

後世に残るほどの作品を作ろうと思うのなら「独自の世界」の確立は不可欠だと思います。

先日、クリムト展に行ってきました。 話題の展覧会とあって 平日だというのにも関わらずチケットを買うのに10分超の行列。 さらに入場するまでに30分も並びました。 アールヌーボーとかユーゲントシュティールといった19世紀末から20世紀初頭にかけての美術…

「新聞錦絵の世界」~残酷場面と題字を掲げる天使のギャップがものすごい。

先日 高橋克彦著「新聞錦絵の世界」 という本を読みまして 私は多大なる衝撃を受けてしまいました。 ───ということで 今回はその 新聞錦絵についてご紹介をいたします。 新聞錦絵の世界 (角川文庫) 作者: 高橋克彦 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1992/0…