詩歌
岩波文庫の 「新訂 一茶俳句集」(丸山一彦校注)を読んでいたところ 可愛いらしい俳句を見つけましたので 今回はそれをご紹介しようと思います。 新訂 一茶俳句集 (岩波文庫) 作者:小林 一茶 岩波書店 Amazon その句は文化11(1814)年 小林一茶が52歳の時に詠…
「大鏡」(平安時代後期に成立したと思われる、藤原摂関家を中心とした歴史の記録)を読んでいた所 和泉式部の恋人として有名な 敦道親王(冷泉天皇の第四皇子)の最初の奥さま が出て来たんですが その方のキャラクターが余りにもぶっ飛んでいましたので ここに…
先日、こちらの 「新版 百人一首」(島津忠夫訳注)という本を読んだ折 撰者・藤原定家の歌の解説で 「ほほぉ……」 と感じた所がありましたので 今回はそのことについて書いてみます。 新版 百人一首 (角川ソフィア文庫) KADOKAWA Amazon 権中納言 藤原定家(116…
先日 角川ソフィア文庫から出ている 「新版 百人一首」(島津忠夫訳注) という 百人一首の解説本を読んだのですが この中で ちょっとビックリしてしまうような話がありましたので 今回はそのことについて、書いてみようと思います。 新版 百人一首 (角川ソフ…
今回は 愛と革命の抒情詩人 ハインリヒ・ハイネ(1797-1856)の詩の中から 私が特に「素敵だな」と思うものをご紹介いたします。 ハイネと言いますと 「♪ 春を愛する人は ~」で知られる 『四季の歌』(作詞・作曲 荒木とよひさ) という歌の中で 「愛を語るハイ…
愛猫のミータを腎不全で亡くしてしまってから、明日で一月になるのですが 悲しさや寂しさは、まだ一向に薄れることが無く 彼が使っていた首輪や、封を切って食べ掛けていたオヤツなどを目にしては、思わずボロ泣きしてしまう……という毎日です。 この苦しい気…
小倉百人一首の中に わたの原八十島(やそしま)かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り船 (現代語訳) 大海原にある幾多の島を目指し 私は船出したと 人々に伝えてくれ 海人の釣り船よ という歌があります。 これは平安時代初期の貴族 小野篁(おののたか…
今回は漂泊の俳人 種田山頭火(1882-1940)の、俳句とその人生のご紹介をいたします。 大酒と自堕落に身を持ち崩しながらも 俳句の道に全霊を注ぎ 九州から東北までの日本各地を行乞して歩いた、明治生まれの俳人 種田山頭火 漂泊の俳人であった事から 世間的…
奈良時代の末に編まれた わが国最古の和歌集 「万葉集」 そこにおさめられた4516首もの歌の中には 遥か遠い時代に生きていた人々の 哀歓や息遣いが タイムカプセルの様に封印されています。 (ロマンですねえ~……) 今回は その膨大な歌群の中から私が 「素敵…
草木が芽吹き始め、桃の節句が近づいてまいりますと、色々な所で 「♬ あかりをつけましょぼんぼりに」 という歌が聴かれるようになります。 これは 作詞 サトウハチロー(1903-1973) 作曲 河村光陽(1897-1946) により作られ、 昭和11(1936)年に発表された 「…
今回は マラルメ、ヴェルレーヌと並んで フランス象徴派の三大詩人に数えられている 放浪の天才少年 アルチュール・ランボー(1854-1891) の詩を2編ご紹介いたします。 ランボーの詩は現在、多くの人の手によって翻訳されているのですが 今回は新潮文庫から出…
師走も半ばになり、黄色や赤に色づいた木の葉が、風に吹かれて散っています。 自転車に乗っていたら、その光景があまりにも綺麗だったので 「あかしやの 金と赤とが ちるぞえな……」 という 北原白秋の詩が心に浮かんできました。 片恋 あかしやの金と赤とが…
東京の小石川に六義園と言う庭園があります。 徳川5代将軍綱吉の側用人・柳沢吉保によって造られた、大変見事な大名庭園ですが この「六義園」という名前 詩経の「六義」や和歌の「六義」にちなんで付けられたものだと言われてます。 さて この 「六義(りく…
ところで 私などもまあ 小説本をkindleから出したりしているわけなのですが(完全なる無名作家です) 文芸などの活動をされている方はプロアマ問わず 「無名のくせに」 なんていう言葉に カチンと来た経験を 大なり小なりお持ちなのではないかと思います。 で…
日々暮らしていると どうにも憂鬱になってしまって どうしようもない時ってありますよね。 あまりにもテンションの低下したそういう時って 「元気出しなよ!」(^O^)/ なんて励まされるのも 却って疲れが増してしまう感じで むしろ どっぷりブルーな気分に浸…
今回は 「万葉集に収録されている変な歌」の第2弾 をお届しようと思います。 前回の歌に引き続き、今回もまた かなりのお下品ネタとなってしまう事をご了承ください。 <(_ _)> それではご紹介します。 万葉集 巻十六に収められている No.3828のこちらの歌で…
人はだれしも 幸せになりたいと願っているのでしょうが みなさんは「幸せ」って どういう状態だと思いますか? 私は今のところ 幸せって 心が穏やかで、満ち足りている状態 なんじゃないかな……と 漠然とですが思っているところです。 でも、この 「心が満ち…
私が敬愛している作家吉川英治は 小説以外にも素晴らしい俳句や短歌をたくさんつくっています。 (それに関する記事はコチラ) ↓ todawara.hatenablog.com 波騒は世の常である。 波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る。けれど、誰か知ろう、百尺下…
今回は 私が最も尊敬している小説家 吉川英治の作った詩歌 をご紹介いたします。 吉川英治と言えば 「宮本武蔵」や 「三国志」 「新・平家物語」などの 大河小説を書いた作家として有名ですが 彼の文芸創作への入口となったのは 幼い頃から親しんでいた俳句…
以前、島崎藤村の詩のご紹介記事を書いた時に 「この詩が、ものすごくドラマチックで良いんですよぉぉ~!」 と言っておススメしたものの ブログに引用して載せるにはちょっと長すぎるかなあ? と思ったため タイトルだけのご紹介になってしまっていた 「鶏…
今回は 与謝野晶子(1878-1942)が自らの歌を選び 昭和13年(60歳の時)に刊行した 「与謝野晶子歌集」 のご紹介をいたします。 本名は「志よう」。大阪の和菓子屋「鳳」家の三女として生まれました。 与謝野晶子と言えば 「みだれ髪」 での情熱的、官能的な歌や…
今回は 平安時代中期の女流歌人・和泉式部による恋物語 「和泉式部日記」 のご紹介をいたします。 -------- 「和泉式部日記」 あらすじ 恋人だった為尊(ためたか)親王が26歳という若さで亡くなってしまった後 和泉式部は傷心と追憶の日々を送ってい…
彼岸花の美しい季節ですね。 秋のお彼岸の時期(9月半ば過ぎ頃)に咲く事から名づけられた「彼岸花」という名称には 毒草であるために 「これを食べたら彼岸(あの世)に行ってしまう」 ということに由来している ──── と言う説があります。 また この花が水田の…
今回は 鎌倉時代後期の弘安3年(1280年)ごろに成立したと考えられている 阿仏尼の 「十六夜(いざよい)日記」 をご紹介いたします。 この日記が書かれた背景を一口で申しますと 歌道の大家亡き後に勃発した 嫡男VS側室(年少の息子の代理) の 相続争いという…
「令和」という元号の出典となった事もあり 最近、とみに注目を浴びている 「万葉集」 万葉集に描かれた美しき日本の姿 というような本も 次々に出版されていますが 数多くの歌が収録されている中には 一体なぜ どのような意図があって このような歌を選んだ…
せわしない日々を送りながら 心が 「ふっ」 と、安らぎを求めるとき。 そんな時には 島崎藤村の詩をおすすめします。 まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり 「初恋」 「破戒」「夜明け前」などを書いた小説家…
この物語詩は遥か昔 20歳くらいの時に 友人たちとやっていた文学同人誌に発表したものを元にしております。 月影五番街 一 かれらは街を棄ててゆく 風に吹かれた落葉のように 春に散り行く桜のように。 ここでは得られぬ なにかを求め ぞろぞろ ぞろぞろ 列…