TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

青山二郎「鎌倉文士骨董奇譚」~超ハイセンスでリッチな高等遊民の交遊録と美意識

今回は 装丁家、陶器の鑑定家として知られた 青山二郎(1901-1979)の随筆集 講談社文芸文庫刊の 「鎌倉文士骨董奇譚」 という本のご紹介をいたします。 鎌倉文士骨董奇譚 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:青山 二郎 発売日: 1992/12/03 メディア: …

ダッフルコートが売られていない……。(2020年冬)

子供の通学姿があまりにも寒そうだったので 近所の大型スーパーにコートを買いに行ってきました。 「中高生のコートと言えば 定番のダッフルコートでしょう!」 と思っていたのですが スーパーの衣料品売り場にも テナントに入っている洋服屋さんにも ダッフ…

「醂す(あわす・さわす)」という言葉について

「醂す」という言葉があります。 手持ちの辞書(「角川 国語辞典」)には 意味は 酒で中和させて柿の渋みを抜く事 とあり 読み方は「あわす」「さわす」と書いてありました。 膨大な言葉がある中で 柿の渋みを抜く事だけに限定して わざわざこんな言葉が 用意…

写実主義の名作フローベール「ボヴァリー夫人」の感想とご紹介〜めくるめくロマンスとガサツな日常との落差がすご過ぎ。

今回はフランスの作家 ギュスターブ・フローベール(1821-1880)によって書かれ リアリズム(写実主義)文学の先駆け的な作品と言われている名作 「ボヴァリー夫人」 の感想とご紹介を書かせていただきます。 この小説の内容を簡単にまとめてみますと 以下のよう…

「飴チョコさん」という歌と「飴チョコ」について。

先日、ふとした拍子に、幼い頃歌っていた 「飴チョコさん」の歌 が頭の中でグルグルと巡りだし 止まらなくなってしまいました。 ♪ 飴チョコさん 飴チョコさん いっぱい並んでコーロコロ あーまいお目目でコーロコロ 幼い頃の私は、この「甘いお目目」が 「な…

色づいた木の葉舞い散るこの季節、北原白秋の詩を想います。

師走も半ばになり、黄色や赤に色づいた木の葉が、風に吹かれて散っています。 自転車に乗っていたら、その光景があまりにも綺麗だったので 「あかしやの 金と赤とが ちるぞえな……」 という 北原白秋の詩が心に浮かんできました。 片恋 あかしやの金と赤とが…

「虎渓三笑」の故事から思った事~「継続は力」だけれども「継続させるため」には力を抜くこともきっと必要。

先日私は 「虎渓三笑」(こけいさんしょう) という言葉と その由来となる話を知り 「なるほど、良い話だなあ……」 と感じる所がありましたので ここに、それをご紹介したいと思います。 昔むかしの中国 五胡十六国時代(304-439)のお話です ── 東晋の高僧慧遠(…

「天使のラッパ」は取り扱い要注意!~かぐわしくも危険な花、エンジェルトランペット(キダチチョウセンアサガオ)

先日、散歩をした折に 木の枝に沢山の花をぶら下げているこのような植物を見つけたので 「わぁ、綺麗!」 と写真に収めてきました。 暦の上ではすでに初冬の12月なのですが 晴れ渡る青空を背景にした、黄色いラッパ状の花からは 南国的なエキゾチックさが感…

kindle小説家の場合、既刊本の冊数で売れ行きが変化する事はあまり無さそうなので、創作も出版もマイペースで良いんじゃないかな~と思います。

本を出版する際のアドバイスとして 「できれば1冊だけではなく、なるべく間を置かず2冊3冊と出した方が良い」 というような事って昔から良く言われますよね。 でもそれって 出版社が新人作家を一生懸命育成して シッカリ宣伝もしてくれて そして 1冊目がちゃ…

吉川英治「鳴門秘帖」について〜お十夜孫兵衛の着物が「縮緬ぞッき」って一体どういう事!?

上下黒ぞっきの着流しに 顔を覆ったお十夜頭巾 チャラリチャラリと雪駄で歩く 剣の達人にして女好きの辻斬り浪人 お十夜孫兵衛 ──── 吉川英治の出世作 「鳴門秘帖」 に出て来るダークヒーロー お十夜孫兵衛ですが 彼の服装の描写でよく出てくる 「黒ぞっき」…