本の紹介
今回はアメリカの文豪 ジョン・スタインベック(1902-1968)が 1937年に発表した中編小説 「ハツカネズミと人間」について 感想とご紹介を書かせていただきます。 こちらの作品は1992年に映画化されています。主人公のレニー役はジョン・マルコヴィッチ。 二十…
今回は 福井県教育委員会が編集・発行し 平凡社から出ている 小学生向け漢字解説本 「白川静博士の漢字の世界へ」 という本のご紹介をいたします。 こちらの本は、福井県が誇る偉大なる漢文学者 白川静博士(1910-2006)の 古代漢字研究に基づき 小学校で習う…
本屋さんだけではなく、いまやネット上の世界でも たくさんの小説に出会える時代となりましたが 小説の良し悪しの判断って、 正直ちょっと良くわからない所ありますよね。 さすがに てにをはが滅茶苦茶だとか、誤字や言葉の間違いが多すぎる、なんてレベルだ…
先日 「いまだ解けない日本史の中の怖い話」 (三浦竜著 青春出版社刊) という本を読みました。 この本では 奈良時代の怨霊話から始まり 江戸、明治にいたるまで 日本の歴史の暗黒面を怪しく彩る ドロドロとした怨念話だとか 呪詛、外法などの超能力話だとか…
私は先日 サン・テグジュペリ(1900-1944)の 「戦う操縦士」(1942年刊)を読みました。 「星の王子様」で有名なフランスの作家 サン・テグジュペリによるこの本は 第二次世界大戦が始まって2年目の 1940年5月 ドイツ軍に侵攻され、敗色濃厚なフランス軍で 偵察…
私は今 美食の芸術家 北大路魯山人(1883-1959)による随筆 「魯山人の食卓」 という本を読んでいるのですが その中で魯山人が 家庭でも簡単に作れる雑炊のレシピを披露してくれていましたので 今回はそれをご紹介しようと思います。 漫画「美味しんぼ」に出て…
今回は マラルメ、ヴェルレーヌと並んで フランス象徴派の三大詩人に数えられている 放浪の天才少年 アルチュール・ランボー(1854-1891) の詩を2編ご紹介いたします。 ランボーの詩は現在、多くの人の手によって翻訳されているのですが 今回は新潮文庫から出…
今回は 装丁家、陶器の鑑定家として知られた 青山二郎(1901-1979)の随筆集 講談社文芸文庫刊の 「鎌倉文士骨董奇譚」 という本のご紹介をいたします。 鎌倉文士骨董奇譚 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:青山 二郎 発売日: 1992/12/03 メディア: …
今回はフランスの作家 ギュスターブ・フローベール(1821-1880)によって書かれ リアリズム(写実主義)文学の先駆け的な作品と言われている名作 「ボヴァリー夫人」の 感想とご紹介を書かせていただきます。 この小説の内容を簡単にまとめてみますと 以下のよう…
師走も半ばになり、黄色や赤に色づいた木の葉が、風に吹かれて散っています。 自転車に乗っていたら、その光景があまりにも綺麗だったので 「あかしやの 金と赤とが ちるぞえな……」 という 北原白秋の詩が心に浮かんできました。 片恋 あかしやの金と赤とが…
上下黒ぞっきの着流しに 顔を覆ったお十夜頭巾 チャラリチャラリと雪駄で歩く 剣の達人にして女好きの辻斬り浪人 お十夜孫兵衛 ──── 吉川英治の出世作 「鳴門秘帖」に出て来る ダークヒーロー お十夜孫兵衛ですが 彼の服装の描写でよく出てくる 「黒ぞっき」…
先日、岩波文庫から出ている幸田露伴の 「幻談・観画談」を読みました。 幸田露伴(1867-1947)と言えば 「風流仏」(明治22年) 「五重塔」(明治24年) などを書いていた青年期には 尾崎紅葉と並ぶ人気作家で 「紅露時代」と呼ばれたほどの一時代を築いたお人。 …
今回は 日本画家岡倉天心が1906年に英文で著し 「The Book of Tea」 として出版された名著 「茶の本」(村岡博訳)の ご紹介をさせていただきます。 「茶の本」というタイトルではありますが こちらの本は、茶道の細かい作法を記したものではなく 茶道というも…
今回は 私が一番好きな小説家であり 心のお師匠様でもあります 吉川英治の大正14年の作品 「剣難女難」の ご紹介をさせていただきます。 小学生の頃から文学好きで 自作の文章や俳句などを熱心に投稿していた吉川英治が 初めて小説を書いて送り、当選を果た…
今回はイギリス(アイルランド)の作家 ジョナサン・スゥイフト(1667-1745)による 「ガリヴァ旅行記」の ご紹介をさせていただきます。 小人の国に漂着して、夥しい数の小人たちによって縛り付けられてしまうガリバーのイメージはよく知られていますが この物…
今回は イギリスの思想家、数理哲学者にして 核兵器廃絶やベトナム戦争反対などを訴えた平和主義者として知られる バートランド・ラッセル(1872-1970)が 1930年 58歳の時に著した 「幸福論」 (原題「幸福の獲得」)の ご紹介をいたします。 ラッセルの自伝に…
先ほど ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の 「怪談」を読み終えたのですが 翻訳者の 平井呈一(イギリス文学者1902-1976)による解説を読んでいる時 思いもよらぬ字に 躓いてしまいました。 なんて読むんだーーー!!!! それは ハーンの「怪談」が、その辺に…
今回は 作曲家グスタフ・マーラー 建築家ワルター・グロピウス 文学者フランツ・ヴェルフル という立派な方々の奥さんにして 数多くの芸術家たちと浮名を流したファム・ファタール アルマ・マーラー(1879-1964)の回想録 「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想…
私は今、作曲家マーラーの妻だった アルマ・マーラーが書いた 「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想」 という本を読んでいます。 グスタフ・マーラー―愛と苦悩の回想 (中公文庫) 作者:アルマ マーラー メディア: 文庫 アルマ・マーラー(1979-1964) と言えば …
今回は 終戦直後に「無頼派」として一躍脚光を浴び 流行作家として活躍中に、34歳の若さで亡くなってしまった 織田作之助(1913-1947)が 戦前に発表した出世作 「夫婦善哉」(めおとぜんざい)(1940年発表)の ご紹介をさせていただきます。 金遣いの荒いボンボ…
今回は フランス出身の ドイツロマン派の文学者 そして 植物学者でもあった アーデルベルト・フォン・シャミッソー (1781-1838)によるおとぎ話 「影をなくした男」 について書かせていただきます。 ------- 内容 貧乏青年ペーター・シュレミールは 仕…
日々の生活で、なんとなく心に疲れを感じる時。 美味しいものを食べたり 音楽を聴いたり 綺麗な風景を眺めたりすると 心がほっと安らぎますよね。 「心のコリをほぐしたいな」 と感じる、そんな時には 絵本を開いてみる というのもお勧めですよ。 かわいらし…
先日、 私は直木三十五が書いた 「大衆文芸作法」 という論文を読みました。 直木三十五と言えば エンターテインメント小説に贈られるビッグタイトル 直木賞の由来ともなっている 戦前の花形大衆小説家。 いわば エンタメ小説の レジェンド 的存在です。 こ…
冒険家の植村直己さんが 犬ぞりによる北極点到達を世界で初めて成し遂げ さらに、犬ぞりによる単独でのグリーンランド縦断を成し遂げた1978年 私はまだ子供だったため 植村さんに対するイメージは 「犬ぞりの人」 として心に焼き付いていました。 実際の植村…
今回は 明治32(1899)年にアメリカで出版され 世界中の人々に日本人の精神性を理解させる一助となった 新渡戸稲造(1862-1933)の名著 「武士道」の 感想とご紹介を書かせていただきます。 新渡戸(にとべ)稲造 と言いますと 1984(昭和59)年から2007(平成19)年ま…
今回は、作家で音楽家でもある マーカス・ウィークス氏が書いた 「毎日使える、必ず役立つ哲学」 (矢羽野薫訳) という本の感想とご紹介をさせていただきます。 こちらの本は副題に 「教えてニーチェ、 なるほどソクラテス!」 とありますように 日常生活を送…
明治時代の大ベストセラー小説として、幾度となく舞台化、映画化されてきた、切ない悲恋の物語 徳冨蘆花(1868-1927)の 「不如帰」(ほととぎす) 「もう、もう、二度と女なんかに生れはしない……」 先日それを読み、案の定 「浪子さん、可哀想だぁ。。。」(´;ω…
今回は、戦前のスター作家 直木三十五の生涯を 甥御さんにあたる 元㈱テレビ東京社長 植村鞆音さんが綴られた 「直木三十五伝」の 感想、およびご紹介を書かせていただきます。 直木三十五伝 (文春文庫) 作者:植村 鞆音 発売日: 2008/06/10 メディア: 文庫 …
先日、私のスマートフォンに THE SURF NEWSというサイト発の 「中国の意外なサーフィン歴史が明らかに」 という情報が入って来ました。 それは イタリア人で中国のサーフィン代表チームのコーチも務めたことがある ニック・ザネラ氏が、中国の波乗りの歴史に…
今回は井原西鶴が 1684(貞享元)年、43歳の時に世に送り出した遊里説話集 「諸艶大鑑/好色二代男」 について書かせていただきます。 これに先立つこと2年前 1682(天和2)年に出版された西鶴の小説デビュー作 「好色一代男」は それまで俳諧師であった西鶴を41…