TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

江戸の妾(めかけ)の悪徳商売~飽きた旦那にオネショ攻撃!?

先日、北村鮭彦さん(1920-1998)がお書きになった

「おもしろ大江戸生活百科」という本を読みました。

 

江戸時代に関しての

知られているようで意外と知られていない知識が軽妙な文体で語られておりまして

たいへんに面白かったので、アッと言う間に読み終えてしまいました。

 

 

ところで

著者の北村さんのお名前なんですけど

 

「さけひこ」さんかと思っていたら

まさかの

「シャケひこ」さんで

はからずもウケてしまいました。(^^;)

さすがは元放送作家

(北村さんは放送作家として、芸術祭賞を3度も受賞されているそうですよ)

 

 

全編を通してどれも興味深い話ばかりだったのですが

中でも私が驚いてしまったのが

お妾さんにまつわる話でした。

 

お妾さんとか二号さんとかいう存在は

昔────昭和の頃までは

「社長さんのお妾さん」

なんて感じで

結構身近で聞いた覚えもありましたが

最近は、あまり聞かなくなりましたねぇ……。

 

お金持ちの旦那さんが、奥さん以外の女の人を第二夫人、第三夫人として迎える「お妾さん」

 

明治時代の一時期(明治3年)には

妻と同等の二等親として公認されたこともありますが

10年後の明治13年にはこれは取り消され

それ以後は

「奥さんも承知している存在であるので、不倫という訳ではない」

「男の甲斐性の一種」

みたいな感じで続けられてきました。

 

さて

このお妾さん

 

江戸時代には妾は奉公人の一種とみなされ

年あたり何両というお手当をもらっていたそうです。

奉公人であるからし

正妻との間は主従ということになりました。

 

大金持ちの町人妾宅を構えさせたりしましたが

 

武家の場合は

下屋敷に置くと世話係を付けたりしなきゃならず

お金がかかってしまいましたので

 

それほど金に余裕のない五百石程度の旗本

妾を本邸に置いて

使用人として使ったりしていたそうです。

 

 

妾の産んだ子がその家の当主の座につくと

その時初めて「生母」としての地位が与えられました。

 

しかし

 

もし正妻が亡くなったとしても

彼女たちは正室になる事は出来なかったんだそうです。

 

 

 

なぜなら

妾を本妻に直すことを禁じる法律

享保18(1733)年に出来てしまっているから……。

 

 

心の清らかな愛情深いお妾さんも多かった事でしょうが

中には

打算的商売上手なお妾さんも少なからずいたようです。

 

そんな彼女らにとってオイシイ奉公先

一に、中位下の大名家

つづいて大身の旗本

その次が大商人の旦那やご隠居さん

 

妾と旦那衆を繋ぐ斡旋役仲人(ちゅうにん)と呼ばれた人々がやっていて

契約が成立すると

旦那の方から、支度金がもらえたそうです。

(最低でも三両、大身ならば十両、二十両なんてことも)

 

江戸時代の1両は今のいくら? - 貨幣博物館 (boj.or.jp)

※「一両」の価値を知りたい方は、上記の貨幣博物館さんのサイトをご覧ください。(面白いです!)

仮に現在のお蕎麦1杯が500円だとすると、1両は20万3000円くらいになります。

 

 

彼女たちは

妾として迎えられた最初の内こそ

猫を被って良い子を演じていましたが

 

やがて

寝屋の睦言に

数々のおねだりを連発しはじめます。

 

旦那様の財産を

チューチューチューチュー

しぼれるだけ搾り取り

 

「も~そろそろ、良いかなー」

と思い始めた時に

都合よくお払い箱になるよう算段をします。

 

一体、をすると思います?

 

 

なんと

わざとオネショをするんです!!!!

「うまれつきの病でして、このごろはあまり症状が出なくなっていたのですけど……」

などと言いわけをしつつ

その後も何度か連発してやると

たいがいはお暇に出されそうです。

 

そこで手切金をたんまり頂いて

また次の旦那様を探しだす────と。

 

 

お妾の乙な病ひは寝小便

 

これは

「小便組」とか

「手水(ちょうず)組」

と呼ばれた妾の商法

 

武士、町人の区別なく

明和(1764年)から天明(1789年)までの間

江戸で大流行していたんだそうですよ。

 



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