TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

哲学・思想系

「梅原猛の授業 仏教」から~人生に大切な仏教道徳4選!

先日「梅原猛の授業 仏教」という本を読みました。 日本における仏教の歴史ですとか 各宗派の成り立ち、仏教的なものの考え方などが大変わかりやすく紹介されておりまして 心に響く部分も多くもありましたので 今回はその中でも特に 「なるほど~…」 と思っ…

映画「PERFECT DAYS」の感想~お金やドラマチックさが無くとも「なんか良い」生き方。

主演の役所広司さんが 第76回カンヌ国際映画祭で 最優秀男優賞を受賞されたことで話題の映画 「PERFECT DAYS」(監督 ヴィム・ヴェンダース)を観て来きました。 「幸せってなんだろう……」とか 「よき生き方とは……」などといった所について色々と考えさせられ…

普段使いの「美」を再発見!~柳宗悦「民藝とは何か」のご紹介と感想。

大正時代の終わりごろから昭和にかけての美術界で 民芸の素晴らしさというものを 世間に知らしめる 「民藝運動」 という一大ムーブメントがありました。 先日、その提唱者 柳宗悦(1889-1961)による 「民藝とは何か」 という本を読みましたので 今回は「民藝…

願い事は「願えば叶う」ってもんじゃない。

「願い事は、強く願えばきっと叶うよ!」 なんて言葉をよく聞きますが── まあ…… わかっている人も多いとは思いますけど 願えば必ず叶う なんてわけではないですよね。 願うだけでホイホイ叶うって、そりゃ 神様か超能力者でしょ。 人類全員が「願っただけで…

人の手による芸術は、今後AIに駆逐されてしまうのか!?

近頃、AIが飛躍的大発展を遂げ 一気に身近なものとなってまいりました。 以前から 「AIが発展・普及しすぎると、人間の様々な仕事がAIにとって代わられるようになるぞ!」 と言われてはきましたが 実際に良い感じの絵画や文章を書くAIが出現し、瞬く…

気の毒なガネーシャさん~首を刎ねられ牙を折られ……

先日 「よくわかるヒンドゥー教」(瓜生中著 角川ソフィア文庫刊) という本を読みました。 ヒンドゥー教の成り立ちですとか 聖典(ヴェーダ)のこと 有名な叙事詩 「マハーバーラタ」 (パーンダヴァ5王子VS従兄弟のカウラヴァ悪玉王子100人との戦い) 「ラーマー…

「幸せ」に関しての「自由・不自由」「便利・不便」問題について考えてみた。

幸せであるためには ある程度の自由が必要。 でも 自由にはえてして 不便が付き物だったりもする。 不便すぎてサバイバル過多な状態は 幸せだと感じる余裕もなくなってきたりして…… ───というように 「幸せ」という事を考えていると 「自由・不自由」 「便利…

「作者の事情により作品の評価がそれまでと変わってしまう事」についての考察

モノ それ自体は変わらないのに ある事が判明した途端 それ以前と以後とでは 見る人の評価がガラッと変わってしまう。 そういうことって 結構ちょくちょく見かけますよね。 たとえば 一例を挙げてみますと ここに 一つの陶器があります。 これは とある巨匠…

新しい「美」の発見と、その一般への普及について考えてみました。

古今東西を通じて人間が普遍的に理想とし、求めるものとして 真・善・美 という三つの概念がありますが 今回はこの中の 美ということ について考えてみました。 美って一体、何なんでしょう? 世の中には 美しいものって色々ありますけれど 物それ自体に元々…

「魯山人陶説」~北大路魯山人の美意識や芸術観が窺える名著!

今回は 美食の芸術家・北大路魯山人(1883-1959)の 陶器にまつわる講演や随筆などを 彼に師事していた平野雅章さん(1931-2008)がとりまとめた本 「魯山人陶説」のご紹介をいたします。 大変な美食家で自らも料理を良く手掛けた芸術家(書家・画家・篆刻家・陶…

ケルトの妖精物語には日本の昔話にソックリなものがある!~W・B・イエイツ「ケルト妖精物語」

今回は アイルランドの詩人 ウィリアム・バトラー・イェィツ(1865-1939)が アイルランドの民間伝承を拾い集め、編纂した 「ケルト妖精物語」 という本をご紹介いたします。 ケルト(Celt)というのは 紀元前5世紀ごろからヨーロッパの中西部で繫栄していたもの…

「呉子」~名兵法家・呉起の人柄と人生について。

今回は 中国、春秋戦国時代の兵法家「呉子」こと 呉起(BC440-BC381) のご紹介をいたします。 呉起(ごき)とは一体、どのような人物なのでしょう? 彼の人生を、以下にまとめてみました。 ーーーーーーーーーーー 呉起の人生 若い時代 呉起は衛(えい)の国 ────…

「孫子」で知られる名兵法家・孫武の「人となり」が窺える怖い話。

優れた兵法書として昔からよく知られている 「孫子」 という書物がありますよね。 これを書いたのは 中国の春秋戦国時代(BC770〜BC221年ごろ)に生きた 孫武(そんぶ)という兵法家です。 この「孫子」という書物 少し前までは 彼の子孫にあたる孫臏(そんぴん)…

「菜根譚」~400年の歳月に裏打ちされた処世の指南書は、ためになる言葉が目白押し!

無人島に一冊持っていくなら「歎異抄」 司馬遼太郎はそう言ったそうですが 私でしたらここで 「菜根譚」をぜひ推したい! 「菜根譚」(さいこんたん)というのは 今から400年近い昔 中国、明朝末期に生きた 洪自誠(こうじせい)という文人が著した 人生の教訓書…

わかりづらい「帰納法」と「演繹法」の違いをなるべくわかりやすく解説いたします。

帰納法と演繹法の違いが良くわからない。 何度説明を読んでみても覚えられないし 覚えてもすぐに忘れてしまう。 そういう方は、結構、多いのではないでしょうか。 そこで今回は 帰納法と演繹法について なるべくわかりやすくご説明をしようと思います。 《帰…

「四苦八苦」と「五陰盛苦(ごおんじょうく)」わかりやすく解説いたします。

非常に苦しい事をあらわす 「四苦八苦(しくはっく)」 という言葉があります。 これは本来仏教用語で 人間が生きる上で避けることの出来ない 生(しょう) 生まれてくることによる苦しみ 老(ろう) 老いる事による苦しみ 病(びょう) 病を得る事による苦しみ 死(…

現代にも充分通用する健康長寿の秘訣本〜貝原益軒「養生訓」のご紹介

今回は江戸時代の儒学・本草学者であった 貝原益軒(1630-1714)が83歳の時に著した健康長寿の秘訣本 「養生訓」 のご紹介をいたします。 貝原益軒とはどのような人か と言いますと 1630(寛永7)年 福岡藩の祐筆(事務官僚)貝原寛斎の5男坊として生まれました。 …

サン・テグジュペリ「戦う操縦士」から「人間と絆」について。

私は先日 サン・テグジュペリ(1900-1944)の 「戦う操縦士」(1942年刊) を読みました。 「星の王子様」で有名なフランスの作家 サン・テグジュペリによるこの本は 第二次世界大戦が始まって2年目の 1940年5月 ドイツ軍に侵攻され、敗色濃厚なフランス軍で 偵…

青山二郎「鎌倉文士骨董奇譚」~超ハイセンスでリッチな高等遊民の交遊録と美意識

今回は 装丁家、陶器の鑑定家として知られた 青山二郎(1901-1979)の随筆集 講談社文芸文庫刊の 「鎌倉文士骨董奇譚」 という本のご紹介をいたします。 鎌倉文士骨董奇譚 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:青山 二郎 発売日: 1992/12/03 メディア: …

「虎渓三笑」の故事から思った事~「継続は力」だけれども「継続させるため」には力を抜くこともきっと必要。

先日私は 「虎渓三笑」(こけいさんしょう) という言葉と その由来となる話を知り 「なるほど、良い話だなあ……」 と感じる所がありましたので ここに、それをご紹介したいと思います。 昔むかしの中国 五胡十六国時代(304-439)のお話です ── 東晋の高僧慧遠(…

岡倉天心「茶の本」のご紹介〜茶の湯の美は老荘思想と禅にあり。

今回は 思想家岡倉天心が1906年に英文で著し 「The Book of Tea」 として出版された名著 「茶の本」(村岡博訳) のご紹介をいたします。 「茶の本」というタイトルではありますが こちらの本は、茶道の細かい作法を記したものではなく 茶道というものを通して…

「ラッセル幸福論」のご紹介~とっても実用的な幸福への処方箋

今回は イギリスの思想家、数理哲学者にして 核兵器廃絶やベトナム戦争反対などを訴えた平和主義者として知られる バートランド・ラッセル(1872-1970)が 1930年 58歳の時に著した 「幸福論」(原題「幸福の獲得」) のご紹介をいたします。 ラッセルの自伝によ…

新渡戸稲造著「武士道」について~ルーズヴェルト大統領を動かした日露戦争終結の影の立役者!

今回は 明治32(1899)年にアメリカで出版され 世界中の人々に日本人の精神性を理解させる一助となった 新渡戸稲造(1862-1933)の名著 「武士道」 のご紹介をいたします。 新渡戸(にとべ)稲造 と言いますと 1984(昭和59)年から2007(平成19)年までの間 5千円札に…

「芸術とは何か!?」という問いに哲学者たちがズバリ答えます~マーカス・ウィークス著「毎日使える、必ず役立つ哲学」の感想とご紹介

今回は、作家で音楽家でもある マーカス・ウィークス氏が書いた 「毎日使える、必ず役立つ哲学」(矢羽野薫訳) という本のご紹介をいたします。 こちらの本は副題に 「教えてニーチェ、 なるほどソクラテス!」 とありますように 日常生活を送る中で、ふと感…

「貞観政要」~賢帝太宗に見る理想の帝王学~平和と安定の実現はまず、トップが身を慎むところから。

突然ですが みなさんは 王様とか帝王になれたらいいな~ なんて夢想することありませんか? 王様って 好きな事なんでもやりたい放題で 贅沢三昧が出来そう! そんなイメージですよね。 でも実際の所 一国の君主ともなれば そんな気ままや贅沢は 許されません…

「一遍上人語録」「播州法語集」の感想~努力・善行など一般的に「良い」と言われている事にも思わぬ落とし穴がある。

今回は 鎌倉時代中期に活躍した時宗の開祖 一遍上人の教えをまとめあげた 「一遍上人語録」と「播州法語集」の感想 を書かせていただきます。 -------- 《一遍智真上人の生涯》 1239年(延応元年) 伊予の国松山に生まれました。 生家は瀬戸内海きって…

アラン「幸福論」を読んで思った事~幸福のカギって外的要因よりも、いかに「楽観主義」でいられるかという所にあるのかも。

今回はフランスの哲学者であり思想家 そして教育者であった アラン(1868~1951)の著書 「幸福論」のご紹介をいたします。 どうしようもなく悲しい 気分が晴れない イライラする…… そんな精神状態の時 人は往々にして 他人の言動のせいだ とか 運命のせいだ …

トルストイ「人生論」を読んで思った事~理念は立派だけど一般人にはハードル高過ぎる。

今回はロシアの文豪 レフ・トルストイ(1828-1910)の著書 「人生論」(1889年刊)のご紹介をいたします。 ロシアの文豪トルストイ!と聞くと 条件反射的に 「取っ付きにくそう!!」 なんて思われてしまう向きもあるかもしれませんが 親しみやすく、面白い作品…

自分を苦しめるようなプライドは「誇り」や「矜持」じゃなく、ただの「見栄」。

これは、私が日頃愛読しているブログの主さんの事なのですが 普段すごく面白い人なのに 時々ものすごいネガティブ思考に襲われてしまうみたいで 読んでいて ちょっと心配になってしまいました。 私からしてみたら あんなに面白い文章が書けるなんて あなた、…

柳生宗矩「兵法家伝書」からの教え〜心は常に平常心を保つべし。決して感情に影響されるべからず。

生きていると 色々理不尽なことや不愉快なことに行き当たったりして 心がザワザワ波立つことが避けられませんよね。 もう、どうしようもない位に腹が立ったときなど その怒りの勢いで ついつい人にキツい事を言ってしまったり とんでもなく乱暴な事をやって…