TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

アラン「幸福論」を読んで思った事~幸福のカギって外的要因よりも、いかに「楽観主義」でいられるかという所にあるのかも。

今回はフランスの哲学者であり思想家

そして教育者であった

 アラン(1868~1951)の著書

「幸福論」のご紹介をいたします。

 

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どうしようもなく悲しい

気分が晴れない

イライラする……

 

そんな精神状態の時

 

人は往々にして

他人の言動のせいだ

とか

運命のせいだ

とか考えて

深刻に陥ってしまいがちですが

 

そんな時にアランはこうアドバイスします。

 

「それって体がしんどいってだけなんじゃないの?

ちょっと体操でもしてみたら?」

 

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 不機嫌さを引き起こしている要因って

 

元々の始まりはそんなに深刻なものではなく

 

「だるい」「眠い」「痛い」「お腹がすいた」

などという

 

ちょっとした身体的不調だったりするのかも?

 

 

けれどもそんなささいな不調が

精神に作用を及ぼして

 

不安不機嫌さを

どんどん増幅させてしまう。

 

その上

一人の不機嫌は下手をすると ───

 

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周囲の人々まで不機嫌にさせてしまう!

 

 

だから

不機嫌という状態は

なんです。

 

 でも

 

その悪の根源

実はちょっとした

体の不調にすぎないのかも?

 

そんなことを言うと

 

「いやそうじゃない。

私が悩んでいるのは誰それさんがあんなせいで

とか

「どうにもままならない状況のせいで

 

などという

反論もあるかもしれません。

 

けれども

 

悩んでもどうしようもないような物に関して

鬱々となって悩むより

 

「なぁーんだ、お腹すいてたんだ」

とか

「疲れてたからねー」

と割り切って

 

後は自分の好きな事でもやって

 

気分をスッキリリフレッシュさせた方が

 

自分のためにはよっぽど有益。

 

そうして気分が良くなれば

他の人にだって優しくする余裕が生まれます。

 

優しくされたら他の人だって

気分が良くなって

 

結果、皆が幸せになれる!

 

エブリバディハッピー!!

 

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───本書に語られているアランの考えを私なりに解釈すると

以上のような感じになるのですが

 

 

彼の考えを貫いているのは

悲観的になりがちな考えを

そんなものは百害あって一利なし!

 

とばかりに

 

ズバッ!と切り捨てた

理性的な楽観主義です。

 

信じ、希望し、微笑すること、それとともに仕事をすることが必要である。

こういうしだいで、人間の身分というものは、不撓不屈の楽観主義を規則として用いないと、まもなく最も暗黒な悲観主義が真理となる、というぐあいにできている。

 

「解きほぐす」の項より

 

私は上機嫌をおすすめする。

これこそ、贈ったりもらったりするにいちばんいいものだ。

これこそ、誰をでも、しかもまず第一に贈り主を、豊かにする真の礼儀である。

これこそ交換によって増加する宝物である。

路上や、電車のなかや、新聞の売場に撒きちらすことができる。

しかも、それによって一分子も失われないだろう?

それは君がどこへ撒いても、萌え出し、花を開くだろう。

 

「新年」の項より

 

このように語るアランの言葉に

私はかなりの共感を覚えます。

 

 

「思い悩む」という事自体が

精神を酷く消耗させる。

 

それが自分でどうにかできるようなものなら

悩んでいるより行動した方が良い

 

自分ではどうしようもない事ならば

悩んでいるだけ精神と時間の浪費です。

 

だって

どうしようもない事なのですから。

 

そんなことは

キッパリ切り捨て

 

好きな事に心を向けていたほうが

よほど有益!

 

 

楽観主義といえば

 

現実離れした理想主義のように取られるかもしれませんが

 

アランの楽観主義は

非常に合理的だと思います。

 

 

アランというのは筆名で

本名はエミール・オーギュスト・シャルティ

 

彼は哲学教授の資格を持ちながらも世俗的な名誉を嫌い

生涯を一高校教師として過ごしました。

 

1906年1月16日から毎日

便せん2枚を使って自分の思想を

「プロポ(語録)」として書き

 

1914年9月1日までの30年間

「ラ・テペーシュ・ド・ルアン」紙上に掲載し続けました。

 

 

教え子である評論家アンドレ・モーロワがまとめた伝記「アラン」によりますと

アランは

「偉大な書物の中には必ず哲学がある」

と言っていたそうですが

 

ほんとうに

その通りだと私も思います。

 

 

 

 私が読んだのは石川湧さん訳で角川ソフィア文庫から出ている「幸福論」なのですが

貼り付け用にちょっと見つからないので、岩波文庫のを載せておきます。

 

アラン 幸福論 (岩波文庫)

アラン 幸福論 (岩波文庫)

 

 

 

 

関連記事のご案内

 

 

こちらはラッセルの「幸福論」

todawara.hatenablog.com

 

 

「芸術とは何か?」を哲学者たちと考えます。

todawara.hatenablog.com

 

 

 

こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。

台風スウェル

台風スウェル

 

 

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