いよいよ暑い夏がやってまいりました。
気温の上昇とベタベタした湿気のせいで
意識が朦朧となってしまいそうなのですが
こんな不快な暑さの中
少しでもピリッと爽やかなものを求めたい!
そこでふと思い浮かんだのが
「粋」という概念
です。
江戸時代から戦前までに書かれたものを読んでいると
特に芸者さんあたりの描写などに
「粋」という言葉が良く出てきますが
「粋だね」って誉め言葉
昔は広く一般に支持されていたのに
今はどういうわけか
あんまり聞きませんよね。
「綺麗」とか「可愛い」とか「イケメン」とかは言うけれど
「粋だね~」って言葉
私もほとんど
人に向けて使ったことありません。
でも
暑さにグダついた夏の日にも
粋な浴衣姿なんて見たら
ちょっと空気が涼しくなる気がしませんか?
粋な人がいっぱい増えたら
暑い夏も少しはピリッと涼しくなるかも!!
という事で
私は現代に粋が復活することを望みます!!
粋という概念に関しては
哲学者九鬼周造がその考察を著した
『「いき」の構造』という本が有名です。
『「いき」の構造』は、昔、学生の頃に読んだ事があるのですが
残念ながら
今はほとんどの部分を忘れてしまっています……。(*'▽')
ただ
「横縞よりも縦縞の方が粋!」
と書かれていたのだけは覚えています。
読んだ当時は「なるほど~」と思ったんですが
今の時代のファッションに即して考えてみると
ボーダーだって
けっこうイケてますよね!
九鬼修三が考えた
粋を構成する三大要素は
「諦め」「媚態」「意気地」
だそうですが
それをもうちょっと具体的に言えば
「サッパリして拘らないこと」
「そこはかとなく漂う色っぽさ」
「体面を保つためにはやせ我慢でもすること」
ですかね。
でもそれだけじゃ
粋とまではいかない気がするなあ……。
粋って言うからには
それに加えて
「嫌みにならないスマートさ」
みたいなものも欲しいような気がします。
─── さて
これを兼ね備えたら
本当に粋になるのでしょうか?
ちょっと
具体例をあげて見てみましょうか。
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ある人が昼時に定食屋に入っていきました。
定食を注文して待つこと十数分。
他の客の料理は次々に届けられるのに
どういうわけか彼のテーブルには
料理はなかなか出てきません。
何十分待っても出てこないのだけれども
彼は腹を立てたりはせず
悠々と待ち続けます。
(このあたりが、サッパリとして拘らない&カッコつけのやせ我慢)
さすがに彼も待ちくたびれたので
「おれの焼き魚定食まだ?」
と尋ねると
店員は慌てて
「すみません!」
と謝りながら
厨房にオーダーを通しに行きました。
実は彼女、オーダーを伝え忘れていたのです。
けれども彼は
腹を立てることなく食事を済ませ
会計をします。
(サッパリとして拘らないから)
店主に怒られた店員は
半泣きになりながらレジを打ちます。
「本当に、申し訳ありませんでした」
そんな彼女に
「釣りはいらないよ、取っときな」
と言う彼。
(このあたりがそこはかとなく漂う色っぽさとさりげないスマートさ)
そして彼は去りしなにニコッと笑い
「また来るよ」
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どうですか、これ!!
結構、粋じゃないですか?
私は女ですので
男性バージョンを考えるのは実に楽しいのですが
粋の女性バージョンはこんな感じでしょうか。
例えば
銭湯帰り
洗い髪をまとめた浴衣姿の女性が
色っぽい流し目をしながら
「馬鹿をお言いじゃないよ」
なんて言うのって
何か粋じゃありませんか!?
「粋」って
なんかキリッとした所があって
特に夏の夕方から夜にかけて
ピッタリ似合う感覚だと思います。
粋の概念がまた再評価されて
「わ~〇〇ちゃん粋だね~!」
なんて言い合う日が来たらいいなあ……。
─── そんな風に思いながら
私自身は暑さで
ナマコみたいにダラダラとしているのでした。
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