このまま生き残れるか!?
それとも
滅びてしまうのか!?
そんなピンチの瀬戸際にある時のことを
「危急存亡の秋(とき)」
と言いますが
この場合の「とき」って
春や夏や冬の場合だってあるだろうのに
どうしてワザワザ「秋」と書かれるのでしょうね?
この言葉の元ネタとなったのは
「三国志」のヒーローとして有名な
蜀の国の名軍師(当時は丞相)
「出師(すいし)の表」(魏との戦いに赴く諸葛亮が、国元に残る若き君主・劉禅を心配して書き、奏上した文)の中にある、以下の言葉です。
(今、この中国は三つに分かれ、我々の国も疲弊しきっております。まさに存在し続けるか滅んでしまうか、待ったなしの瀬戸際であります)
────で、どうして
「とき」が
「秋」になっちゃうんだよ?
という疑問なのですが
どうやら
秋というのは四季の中でも
特に重要なポジションにあるようなんですよ。
以下に
四季それぞれの季節の
読み方と意味を列挙してみます。
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春
読み方 シュン はる
意味 1.四季のはる 2.正月 3.性的欲望 4.若いとしごろ 5.とし としつき
夏
読み方 カ ゲ なつ
意味 1.四季のなつ 2.昔の中国の自称 3.中国最古の王朝 4.大きい さかんな
秋
読み方 シュウ あき とき
意味 1.四季のあき 2.とし としつき 3.とき 大切なとき
冬
読み方 トウ ふゆ
意味 1.四季のふゆ
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春の意味にも、秋の意味にも共通して
「とし」「としつき」
というのが出てきますよね。
ここから「一年」「年月」「年齢」をあらわす
「春秋」という言葉が生まれて来るのですが
「とき」と読み
「とき」や「大切なとき」を表すのは
四季の中でも
秋だけなのです!!!!
「秋」は
食物が実り、収穫できる
四季の中でも一番大切な時ということで
「秋」=「とき」
と、されているんだそうですよ。
絶体絶命の大ピンチに見舞われる、なんて事は
春だろうが夏だろうが
いつだってあり得るわけですが
「危急存亡の~」
という言葉を使う場合は
「時」と書いても
今どきは、それほどとやかくは言われないようですが
ほんとうは「秋」って書くのが
正解中の正解なんだそうです。
とはいえ
実際の季節との整合性で、どうしても気になってしまう場合は
ひらがなで「とき」にしても良いかもしれませんね。
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