TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

外国文学

”SF小説の父”が空想した恐ろしき未来世界!~H.Gウェルズ「タイムマシン」のご紹介。

今回はSF小説の始祖とも称され 「タイムマシン」という言葉の生みの親でもあるイギリス人作家 ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866-1946)が29歳の時に発表した小説 「タイムマシン」(1895年)のご紹介をいたします。 ウェルズ本人が1931年度版「タイムマシ…

ダシール・ハメット「マルタの鷹」~ハードボイルドは男の美学!

今回は アメリカのハードボイルド・ミステリー作家 ダシール・ハメット(1894-1961)の1930年の作品 「マルタの鷹」 のご紹介をいたします。 マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ダシール ハメット 早川書房 Amazon 内容をかいつまんでい…

「ロビンソン漂流記」~この世をサバイバルするための知恵が満載!

今回は、イギリスの作家 ダニエル・デフォー(1660-1731) が59歳にして初めて書いた小説 「ロビンソン漂流記」(1719年刊) をご紹介いたします。 《内容》 中流家庭に生まれ、それなりの商才や経営の才に恵まれながらも 冒険心があまりにも強すぎて、安定した…

ハイネのロマンチックで素敵な詩のご紹介

今回は 愛と革命の抒情詩人 ハインリヒ・ハイネ(1797-1856)の詩の中から 私が特に「素敵だな」と思うものをご紹介いたします。 ハイネと言いますと 「♪ 春を愛する人は ~」で知られる 『四季の歌』(作詞・作曲 荒木とよひさ) という歌の中で 「愛を語るハイ…

ドストエフスキー「白夜」~ 超空想癖青年の淡く切ない恋物語。

今回はロシアの文豪 フョードル・ドストエフスキー(1821-1881)の短編小説 「白夜」をご紹介いたします。 こちら 「罪と罰」(1866年) 「カラマーゾフの兄弟」(1880年) などの長編小説で知られる大作家ドストエフスキーが 処女作発表から2年後の1848年 27歳の…

「ロビン・フッドの愉快な冒険」~民衆のヒーローは出世なんかしない方が幸せだったのかも……。

先日、アメリカの作家 ハワード・パイル(1853-1911)による 「ロビン・フッドの愉快な冒険」 を読んで久しぶりに 愉快・痛快・爽快な気分になりました! ロビン・フッドの愉快な冒険 (光文社古典新訳文庫) 作者:ハワード・パイル 光文社 Amazon ロビン・フッ…

ケルトの妖精物語には日本の昔話にソックリなものがある!~W・B・イエイツ「ケルト妖精物語」

今回は アイルランドの詩人 ウィリアム・バトラー・イェィツ(1865-1939)が アイルランドの民間伝承を拾い集め、編纂した 「ケルト妖精物語」 という本をご紹介いたします。 ケルト(Celt)というのは 紀元前5世紀ごろからヨーロッパの中西部で繫栄していたもの…

"ロボット"という言葉はここから生まれた!〜カレル・チャペック「ロボット」の感想とご紹介。

今回は チェコ(旧チェコスロバキア)の作家 カレル・チャペック(1890-1938) が1920年に出版した戯曲 「ロボット」 のご紹介をいたします。 この戯曲は1920年 日本でいうところの大正9年に出版され 翌1921年に初演されています。 1920(大正9)年 と言いますと 5…

バルザック「谷間の百合」の感想とご紹介~恋のお相手は何故か人妻ばかり……。

今回はフランスの文豪 オノレ・ド・バルザック(1790-1850) の長編小説 「谷間の百合」(1835年) のご紹介をいたします。 「近代リアリズム(写実主義)小説の傑作!」 と謳われております本作 私が読んでみた感想といたしましては 冒頭から98%位のところまで、…

「呉子」~名兵法家・呉起の人柄と人生について。

今回は 中国、春秋戦国時代の兵法家「呉子」こと 呉起(BC440-BC381) のご紹介をいたします。 呉起(ごき)とは一体、どのような人物なのでしょう? 彼の人生を、以下にまとめてみました。 ーーーーーーーーーーー 呉起の人生 若い時代 呉起は衛(えい)の国 ────…

「菜根譚」~400年の歳月に裏打ちされた処世の指南書は、ためになる言葉が目白押し!

無人島に一冊持っていくなら「歎異抄」 司馬遼太郎はそう言ったそうですが 私でしたらここで 「菜根譚」をぜひ推したい! 「菜根譚」(さいこんたん)というのは 今から400年近い昔 中国、明朝末期に生きた 洪自誠(こうじせい)という文人が著した 人生の教訓書…

ウィリアム・サローヤン「ヒューマン・コメディ」~珠玉のセリフが心に沁みる名作です。

今回はアメリカの作家 ウィリアム・サローヤン(1908-1981)の小説 「ヒューマン・コメディ」 の、ご紹介をいたします。 「人間喜劇」というタイトルでも知られているこの中編小説は 1943年 サローヤン35歳の時の作。 郷愁を感じさせる、しみじみと心暖まる物…

「マーク・トウェイン短編集」の感想とご紹介〜行間からヤンチャな人柄が滲み出ているという感じがします。

先日 アメリカを代表する文豪 マーク・トウェイン(1835-1910) の短編集を読みましたので 今回は その感想とご紹介を書こうと思います。 「トム・ソーヤーの冒険」(1876年) 「王子と乞食」(1881年) 「ハックルベリー・フィンの冒険」(1885年) などの作品で 今…

中国古代神話の聖帝たち「三皇五帝」について、わかりやすく解説いたします。

昔の本 ── 特に「論語」や「孟子」などの中国古典を読んでいると 「堯(ぎょう)」「舜(しゅん)」 なんていう ほとんど神様に近いような聖君子の名前がいっぱい出てきますよね。 漢方薬の神様「神農(しんのう)」だとか 中国医学の祖「黄帝」だとか イメージが…

ジュール・ヴェルヌ「八十日間世界一周」~19世紀のワクワク感が甦る不朽の名作冒険小説!

今回はフランスの作家 ジュール・ヴェルヌ(1828-1906)の冒険小説 「八十日間世界一周」 のご紹介をいたします。 ジュール・ヴェルヌといえば 「海底二万里」 「十五少年漂流記」 といったあたりを少年少女時代に読んで、心躍らせた方も多いのではないでしょ…

ソルジェニーツィン「イワン・デニーソヴィチの一日」~悲惨な環境を生き抜くためには「処世術」が何より大事。

今回はロシアの作家 アレクサンドル・ソルジェニーツィン(1918-2008)が 1962年に発表した中編小説 「イワン・デニーソヴィチの一日」 の感想とご紹介を書こうと思います。 現在のロシアがソビエトであった時代─── 1924年から1953年にかけての スターリン独裁…

ジョン・スタインベック「ハツカネズミと人間」の感想とご紹介〜色んな人がいるからこそ人間社会は難しい……。

今回はアメリカの文豪 ジョン・スタインベック(1902-1968)が 1937年に発表した中編小説 「ハツカネズミと人間」 について 感想とご紹介を書かせていただきます。 こちらの作品は1992年に映画化されています。主人公のレニー役はジョン・マルコヴィッチ。 二…

サン・テグジュペリ「戦う操縦士」から「人間と絆」について。

私は先日 サン・テグジュペリ(1900-1944)の 「戦う操縦士」(1942年刊) を読みました。 「星の王子様」で有名なフランスの作家 サン・テグジュペリによるこの本は 第二次世界大戦が始まって2年目の 1940年5月 ドイツ軍に侵攻され、敗色濃厚なフランス軍で 偵…

アルチュール・ランボーの詩「わが放浪」「幸福」のご紹介

今回は マラルメ、ヴェルレーヌと並んで フランス象徴派の三大詩人に数えられている 放浪の天才少年 アルチュール・ランボー(1854-1891) の詩を2編ご紹介いたします。 ランボーの詩は現在、多くの人の手によって翻訳されているのですが 今回は新潮文庫から出…

写実主義の名作フローベール「ボヴァリー夫人」の感想とご紹介〜めくるめくロマンスとガサツな日常との落差がすご過ぎ。

今回はフランスの作家 ギュスターブ・フローベール(1821-1880)によって書かれ リアリズム(写実主義)文学の先駆け的な作品と言われている名作 「ボヴァリー夫人」 の感想とご紹介を書かせていただきます。 この小説の内容を簡単にまとめてみますと 以下のよう…

スウィフト「ガリヴァ旅行記」~面白いけれども結構キモチ悪い物語です。

今回はイギリス(アイルランド)の作家 ジョナサン・スゥイフト(1667-1745)による 「ガリヴァ旅行記」 のご紹介をいたします。 小人の国に漂着して、夥しい数の小人たちによって縛り付けられてしまうガリバーのイメージはよく知られていますが この物語の全容…

シャミッソー「影をなくした男」のレビュー~影なんか無くったって人は幸せになれる!

今回は フランス出身の ドイツロマン派の文学者 そして 植物学者でもあった アーデルベルト・フォン・シャミッソー (1781-1838)によるおとぎ話 「影をなくした男」 のご紹介をいたします。 ------- 内容 貧乏青年ペーター・シュレミールは 仕事のつて…

唐代の詩人、李益の「江南曲」にも出て来る中国伝統のサーファー「弄潮児」について

先日、私のスマートフォンに THE SURF NEWSというサイト発の 「中国の意外なサーフィン歴史が明らかに」 という情報が入って来ました。 それは イタリア人で中国のサーフィン代表チームのコーチも務めたことがある ニック・ザネラ氏が、中国の波乗りの歴史に…

ゴーリキー「どん底」の感想とご紹介~人の世を「どん底」にしてしまうものは、多分、人の心なんだと思います。

今回はロシア(ソビエト)の文豪 ゴーリキーの名作戯曲 「どん底」 のご紹介をいたします。 今どきは「ゴーリキー」などと言いますと プロレスラーみたいな姿をした 紫色のポケモンを思い浮かべる人の方が多いようですが こちらの「ゴーリキー」は文筆家で社会…

「サキ傑作集」の感想~予測不能のアッと驚く展開がクセになってしまいそう。

今回はイギリスの小説家 サキ(本名ヘクター・ヒュー・マンロー1870-1916)の短編小説を集めた 岩波文庫の 「サキ傑作集」河田智雄訳 のご紹介をいたします。 まず感想から述べさせていただきますと これ めちゃめちゃ面白いです! 短編の名手サキの「傑作集」…

モリエール作「ドン・ジュアン」ダイジェスト~世界一有名な色男の末路は、かなり悲惨なものでした。

今回は ルイ14世時代のフランスで 王様お気に入りの芝居座長として活躍していた モリエールの戯曲「ドン・ジュアン」 の、ご紹介をいたします。 女性をメロメロにさせる物語上の色男と言えば わが国では 光源氏や在原業平 そして現代ではちょっとマイナーに…

「貞観政要」~賢帝太宗に見る理想の帝王学~平和と安定の実現はまず、トップが身を慎むところから。

突然ですが みなさんは 王様とか帝王になれたらいいな~ なんて夢想することありませんか? 王様って 好きな事なんでもやりたい放題で 贅沢三昧が出来そう! そんなイメージですよね。 でも実際の所 一国の君主ともなれば そんな気ままや贅沢は 許されません…

ウィリアム・サローヤン「ディア・ベイビー」の感想~人生って切ないですね。人間って愛おしいですね。

今回はアメリカの作家 ウィリアム・サローヤン(1908-1981) の短編作品をあつめて ちくま文庫から出されたこちらの本 『ディア・ベイビー』 のご紹介をいたします。 ディア・ベイビー (ちくま文庫) 作者: ウイリアムサローヤン,関汀子 出版社/メーカー: 筑摩…

邦題も内容もゾクゾクするほどカッコイイ!!「翼よ、あれがパリの灯だ」リンドバーグによる大西洋単独無着陸横断飛行の手記

今回は チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ(1902-1974)が 1927年5月 世界初のアメリカ~ヨーロッパ間単独無着陸横断飛行を成し遂げた時の事を記した 「翼よ、あれがパリの灯だ」(1953年) のご紹介をいたします。 1902年 ミシガン州デトロイトの弁護士の…

トーマス・マン「ヴェニスに死す」の感想~美に殉じた芸術家の物語ですが、現代だったらまず間違いなく不審者として通報されてしまう事でしょう。

今回は ドイツ人のノーベル文学賞作家 トーマス・マン(1875-1955)による1912年発表の作品 「ヴェニスに死す」 の感想を書かせていただきます。 ※ネタバレあり。 1971年に映画化もされているこの物語 ──── ベニスに死す [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクショ…