TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

本の紹介

草書体(および変体仮名)が難し過ぎる。~読めるようになるまでに立ちはだかる困難の数々。

草書体がわかるようになりたい! 掛け軸や色紙なんかにニョロニョロ書きつけられた謎の文字を すらすらと読み下せるようになりたい! 最近、そう思い立って独学で草書や変体仮名の勉強をしているのですが なかなかどうして これが 一筋縄ではいかないんです…

「大正時代の身の上相談」のご紹介&新聞の人生相談コーナーについて語ります。

先日、ちくま文庫から刊行されている 「大正時代の身の上相談」 (カタログハウス編) という本を読みましたので 今回はそのご紹介を兼ねて 新聞の人生相談コーナーについて書こうと思います。 インターネットの 掲示板やお悩み相談サイト amazonレビューや食…

「呉子」~名兵法家・呉起の人柄と人生について。

今回は 中国、春秋戦国時代の兵法家「呉子」こと 呉起(BC440-BC381) のご紹介をいたします。 呉起(ごき)とは一体、どのような人物なのでしょう? 彼の人生を、以下にまとめてみました。 ーーーーーーーーーーー 呉起の人生 若い時代 呉起は衛(えい)の国 ────…

「菜根譚」~400年の歳月に裏打ちされた処世の指南書は、ためになる言葉が目白押し!

無人島に一冊持っていくなら「歎異抄」 司馬遼太郎はそう言ったそうですが 私でしたらここで 「菜根譚」をぜひ推したい! 「菜根譚」(さいこんたん)というのは 今から400年近い昔 中国、明朝末期に生きた 洪自誠(こうじせい)という文人が著した 人生の教訓書…

ウィリアム・サローヤン「ヒューマン・コメディ」~珠玉のセリフが心に沁みる名作です。

今回はアメリカの作家 ウィリアム・サローヤン(1908-1981)の小説 「ヒューマン・コメディ」 の、ご紹介をいたします。 「人間喜劇」というタイトルでも知られているこの中編小説は 1943年 サローヤン35歳の時の作。 郷愁を感じさせる、しみじみと心暖まる物…

「戦国の魔術師」と謳われた忍者・加藤段蔵の気の毒さ加減。

先日、PHP文庫刊の 「忍者の掟〜戦国影の軍団の真実」 (戸部新十郎著) という本を読みました。 著者の戸部新十郎さん(1926-2003)は かつて直木賞候補にもなった事があるという、時代小説の作家さんです。 この本の中には 「忍者とは一体何者なのか?」 「そ…

読売新聞朝刊連載小説・角田光代さん「タラント」の感想。

毎日楽しみに読んでいた朝刊連載小説 角田光代さんの「タラント」が、今日、遂に完結しました。 本当に素晴らしい物語で、読んでいる時には何度も心が震え、終章を読み終えた時には涙が滲んでいました。 この先書籍化されて、より多くの人の元に届けられるべ…

漂泊の俳人・種田山頭火の俳句とその人生

今回は漂泊の俳人 種田山頭火(1882-1940)の、俳句とその人生のご紹介をいたします。 大酒と自堕落に身を持ち崩しながらも 俳句の道に全霊を注ぎ 九州から東北までの日本各地を行乞して歩いた、明治生まれの俳人 種田山頭火 漂泊の俳人であった事から 世間的…

「マーク・トウェイン短編集」の感想とご紹介〜行間からヤンチャな人柄が滲み出ているという感じがします。

先日 アメリカを代表する文豪 マーク・トウェイン(1835-1910) の短編集を読みましたので 今回は その感想とご紹介を書こうと思います。 「トム・ソーヤーの冒険」(1876年) 「王子と乞食」(1881年) 「ハックルベリー・フィンの冒険」(1885年) などの作品で 今…

ジュール・ヴェルヌ「八十日間世界一周」~19世紀のワクワク感が甦る不朽の名作冒険小説!

今回はフランスの作家 ジュール・ヴェルヌ(1828-1906)の冒険小説 「八十日間世界一周」 のご紹介をいたします。 ジュール・ヴェルヌといえば 「海底二万里」 「十五少年漂流記」 といったあたりを少年少女時代に読んで、心躍らせた方も多いのではないでしょ…

吉川英治「江戸三国志」のご紹介〜ローマ王家の宝剣をめぐり正邪が入り乱れる伝奇浪漫小説!

今回は 吉川英治の初期の長編伝奇小説 「江戸三国志」 のご紹介をいたします。 この作品は英治35歳の 1927(昭和2)年10月から 1929(昭和4)年春までの間 報知新聞(当時はスポーツ紙ではなく一般紙だった)に連載され 連載中から映画が作られるほどの 大人気作と…

読売新聞連載小説・中島京子さん「やさしい猫」の感想

我が家は読売新聞を購読しているので 私は毎日、朝夕刊に連載されている小説を読むのが日課になっているのですが 昨日、夕刊で連載されていた 中島京子さんの 「やさしい猫」 が最終回となりました。 いきなり感想言っちゃいますが この小説 すっっっっごく …

現代にも充分通用する健康長寿の秘訣本〜貝原益軒「養生訓」のご紹介

今回は江戸時代の儒学・本草学者であった 貝原益軒(1630-1714)が83歳の時に著した健康長寿の秘訣本 「養生訓」 のご紹介をいたします。 貝原益軒とはどのような人か と言いますと 1630(寛永7)年 福岡藩の祐筆(事務官僚)貝原寛斎の5男坊として生まれました。 …

ソルジェニーツィン「イワン・デニーソヴィチの一日」~悲惨な環境を生き抜くためには「処世術」が何より大事。

今回はロシアの作家 アレクサンドル・ソルジェニーツィン(1918-2008)が 1962年に発表した中編小説 「イワン・デニーソヴィチの一日」 の感想とご紹介を書こうと思います。 現在のロシアがソビエトであった時代─── 1924年から1953年にかけての スターリン独裁…

ジョン・スタインベック「ハツカネズミと人間」の感想とご紹介〜色んな人がいるからこそ人間社会は難しい……。

今回はアメリカの文豪 ジョン・スタインベック(1902-1968)が 1937年に発表した中編小説 「ハツカネズミと人間」 について 感想とご紹介を書かせていただきます。 こちらの作品は1992年に映画化されています。主人公のレニー役はジョン・マルコヴィッチ。 二…

「方」「央」「幸」「勤」……漢字の由来って結構怖い!~学習本「白川静博士の漢字の世界へ」の御紹介

今回は 福井県教育委員会が編集・発行し 平凡社から出版されている 小学生向け漢字解説本 「白川静博士の漢字の世界へ」 という本のご紹介をいたします。 こちらの本は、福井県が誇る偉大なる漢文学者 白川静博士(1910-2006)の 古代漢字研究に基づき 小学校…

菊池寛「藤十郎の恋・恩讐の彼方に」の感想~文豪と呼ばれる人の作品はやっぱりズバ抜けています。

本屋さんだけではなく、いまやネット上の世界でも たくさんの小説に出会える時代となりましたが 小説の良し悪しの判断って、 正直ちょっと良くわからない所ありますよね。 さすがに てにをはが滅茶苦茶だとか、誤字や言葉の間違いが多すぎる、なんてレベルだ…

「いまだ解けない日本史の中の怖い話」のレビュー&「綿吹き病」のこと。

先日 「いまだ解けない日本史の中の怖い話」 (三浦竜著 青春出版社刊) という本を読みました。 この本では 奈良時代の怨霊話から始まり 江戸、明治にいたるまで 日本の歴史の暗黒面を怪しく彩る ドロドロとした怨念話だとか 呪詛、外法などの超能力話だとか…

サン・テグジュペリ「戦う操縦士」から「人間と絆」について。

私は先日 サン・テグジュペリ(1900-1944)の 「戦う操縦士」(1942年刊) を読みました。 「星の王子様」で有名なフランスの作家 サン・テグジュペリによるこの本は 第二次世界大戦が始まって2年目の 1940年5月 ドイツ軍に侵攻され、敗色濃厚なフランス軍で 偵…

美食の巨人・北大路魯山人直伝、超簡単&リーズナブルに作れてしまう絶品雑炊!

私は今 美食の芸術家 北大路魯山人(1883-1959)による随筆 「魯山人の食卓」 という本を読んでいるのですが その中で魯山人が 家庭でも簡単に作れる雑炊のレシピ を披露してくれていましたので 今回はそれをご紹介しようと思います。 漫画「美味しんぼ」に出…

アルチュール・ランボーの詩「わが放浪」「幸福」のご紹介

今回は マラルメ、ヴェルレーヌと並んで フランス象徴派の三大詩人に数えられている 放浪の天才少年 アルチュール・ランボー(1854-1891) の詩を2編ご紹介いたします。 ランボーの詩は現在、多くの人の手によって翻訳されているのですが 今回は新潮文庫から出…

青山二郎「鎌倉文士骨董奇譚」~超ハイセンスでリッチな高等遊民の交遊録と美意識

今回は 装丁家、陶器の鑑定家として知られた 青山二郎(1901-1979)の随筆集 講談社文芸文庫刊の 「鎌倉文士骨董奇譚」 という本のご紹介をいたします。 鎌倉文士骨董奇譚 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:青山 二郎 発売日: 1992/12/03 メディア: …

写実主義の名作フローベール「ボヴァリー夫人」の感想とご紹介〜めくるめくロマンスとガサツな日常との落差がすご過ぎ。

今回はフランスの作家 ギュスターブ・フローベール(1821-1880)によって書かれ リアリズム(写実主義)文学の先駆け的な作品と言われている名作 「ボヴァリー夫人」 の感想とご紹介を書かせていただきます。 この小説の内容を簡単にまとめてみますと 以下のよう…

色づいた木の葉舞い散るこの季節、北原白秋の詩を想います。

師走も半ばになり、黄色や赤に色づいた木の葉が、風に吹かれて散っています。 自転車に乗っていたら、その光景があまりにも綺麗だったので 「あかしやの 金と赤とが ちるぞえな……」 という 北原白秋の詩が心に浮かんできました。 片恋 あかしやの金と赤とが…

吉川英治「鳴門秘帖」について〜お十夜孫兵衛の着物が「縮緬ぞッき」って一体どういう事!?

上下黒ぞっきの着流しに 顔を覆ったお十夜頭巾 チャラリチャラリと雪駄で歩く 剣の達人にして女好きの辻斬り浪人 お十夜孫兵衛 ──── 吉川英治の出世作 「鳴門秘帖」 に出て来るダークヒーロー お十夜孫兵衛ですが 彼の服装の描写でよく出てくる 「黒ぞっき」…

幸田露伴「魔法修行者」のご紹介〜室町から戦国期にかけて実在した「飯綱使い」の魔術師たち!!

先日、岩波文庫から出ている幸田露伴の 「幻談・観画談」 を読みました。 幸田露伴(1867-1947)と言えば 「風流仏」(明治22年) 「五重塔」(明治24年) などを書いていた青年期には 尾崎紅葉と並ぶ人気作家で 「紅露時代」と呼ばれたほどの一時代を築いたお人。…

岡倉天心「茶の本」のご紹介〜茶の湯の美は老荘思想と禅にあり。

今回は 思想家岡倉天心が1906年に英文で著し 「The Book of Tea」 として出版された名著 「茶の本」(村岡博訳) のご紹介をいたします。 「茶の本」というタイトルではありますが こちらの本は、茶道の細かい作法を記したものではなく 茶道というものを通して…

吉川英治「剣難女難」~娯楽小説のお手本とも言うべき面白さ!

今回は 私が一番好きな小説家であり 心のお師匠様でもあります 吉川英治の大正14年の作品 「剣難女難」 のご紹介をさせていただきます。 小学生の頃から文学好きで 自作の文章や俳句などを熱心に投稿していた吉川英治が 初めて小説を書いて送り、当選を果た…

スウィフト「ガリヴァ旅行記」~面白いけれども結構キモチ悪い物語です。

今回はイギリス(アイルランド)の作家 ジョナサン・スゥイフト(1667-1745)による 「ガリヴァ旅行記」 のご紹介をいたします。 小人の国に漂着して、夥しい数の小人たちによって縛り付けられてしまうガリバーのイメージはよく知られていますが この物語の全容…

「ラッセル幸福論」のご紹介~とっても実用的な幸福への処方箋

今回は イギリスの思想家、数理哲学者にして 核兵器廃絶やベトナム戦争反対などを訴えた平和主義者として知られる バートランド・ラッセル(1872-1970)が 1930年 58歳の時に著した 「幸福論」(原題「幸福の獲得」) のご紹介をいたします。 ラッセルの自伝によ…