TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

草書体(および変体仮名)が難し過ぎる。~読めるようになるまでに立ちはだかる困難の数々。

草書体がわかるようになりたい!

掛け軸や色紙なんかにニョロニョロ書きつけられた謎の文字を

すらすらと読み下せるようになりたい!

 

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最近、そう思い立って独学で草書変体仮名の勉強をしているのですが

 

なかなかどうして

これが

一筋縄ではいかないんですよ……。(-"-; )

 

ということで今回は

「草書を理解しようとするにあたって、何がどんな風に難しいのか」

について語らせていただきます。

 

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私が現在、教科書として使用しているのは、こちらの本。

 

書道をやっている人が使うものの様ですが、ページの分量的にも厚過ぎず薄すぎず、

説明もわかりやすくて、なかなか使い良い感じです。

 

 

この本は序盤から80%くらいの所までが、漢字の草書体

終わりの方20%くらいが変体仮名

説明&一覧表になっています。

(索引は除く)

 

学習に取り掛かった当初は

読み書き出来るようになりたい

という大望を抱いていたので

 

「書いて覚えよう!」

と思っていたのですが

 

学習を初めて早々に

書く方をマスターするのは諦めてしまいました……。

 

(書いても、全く覚えられる気がしないから……)

 

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「こんなの無理ゲー」

 

いや~もう……

 

草書の学習の底知れなさといったら

ほとんど底なし沼みたいなもんですよ……

 

 

「そうは言っても仮名文字(変体仮名)だけだったら楽勝なんじゃないの?だって、昔の庶民の子供だって、寺子屋でマスターできたんだよ?」

 

なんて思うでしょ?

 

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ところがですよ

 

変体仮名(仮名文字)っていうのは、もともと

漢字の草書体

 

しかも

「あ( a )」という音で表される文字ひとつだけを取って見ても

「安」「阿」「愛」「悪」「亜」

5種類もあるんです!

 

ちなみに

「い( i )」

「以」「伊」「移」「意」

 

「う( u )」

「宇」「有」「憂」「雲」「羽」

といった具合で

 

こんなのがそれぞれ50音ずつあります。

 

ですから

漢字───しかも旧字体の漢字草書体でどう書かれるか

という

そこの所がわからないと

変体仮名はわからないんです。(T_T)

 

それに

文章というのは、たいがい

漢字仮名とを混ざり合わせて作られますよね。

 

ですからやっぱり

 

まずは漢字の草書体

ザクッとでも理解しておかないと、いけない

という事になるんです。

 

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「春夏秋冬」



というわけで

 

まずは、結構な数の漢字の草書体を覚えることから取り掛かったわけなんですけど

 

これがまた

大変なクセ者なんですよ……。(-_-;)

 

たとえば

 

同じ字

全く別の形をした草書体複数ある

というパターンがあったり

 

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本来、全く別の字であるにもかかわらず

草書にすると

ほとんど区別がつかないほどソックリになってしまう

なんてケースもあったりして……

 

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そして

 

元の漢字とは

全く似ても似つかないシロモノもたくさん……。

 

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そんな感じですから

 

書いても書いても

全く覚えられん!

 

 

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もう、お手上げ


なので

もう

 

書けるようになる

というのは

将来的な目標として

 

ここはひとまず置いておくこととして

 

とりあえず

読めるようになる事を

第一目標とすることに

チェンジしました。

 

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一体どうしてこの字がこんな風になってしまうのか

 

なんて事をいちいち考えてしまうと

そこで躓いてしまい

全く先に進めなくなってしまうので

 

つべこべ考えることはやめにして

この字はこれ!

視覚的印象で捉えるようにした方が

(遅々とではありますが)

覚えるのには効率が良かったです。

 

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いちいち深く考えない方が良いかも!

 

そうやって

 

テキストを最初から最後まで通して読む、というのを何度も繰り返し

 

オボロゲながら

な~んとなく掴めてきたかな……

と思った所で

 

実践練習として

昔の人が書いた草書の文を読んでみると

 

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月渓筆「筏士(蕪村)」画賛

 

部分部分は、チョコチョコ判別できるようになったものの

 

ほとんどの所が

まだ全然読めない!!

 

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───これは一体

なぜかと言いますに

 

実際に書かれたものというのは、たいがい

テキストで習った文字よりも

さらに一層崩れているので

 

かなりワケがわからないんです……。

 

字の大きさもバラバラだったりするし

二文字が一文字のようにくっついていたり

 

とにかく

クロバット過ぎる!!

 

さらに

 

先ほど言ったように

仮名にしても、一つの音に対して何通りもの書き方があり

その使用法には、ほとんど法則性が無いので

判読がヒジョ〜~~に難しいんです。( ;∀;)

 

これはもう

なるべく多くのものを読むようにして

慣れて行くしかないんでしょうねえ……。

 

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伝 紀貫之筆 「高野切 第一種」

 

この

ワケのわからん草書体

および

非常にややこしい変体仮名

 

昔の人はいとも簡単に使いこなしていたわけですから

 

昔の日本人って

みんな天才だったんじゃないでしょうかねえ。

 

 

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1900(明治33)年

帝国教育会国語改良部により

「一つの音韻に対しては一つの字のみとすること」

という事が決定され

 

小学校で教えられる仮名は

現在私たちが使っている平仮名とすることが決められました。

 

その後、

1908(明治41)年に、先の規則が撤回され

26の変体仮名が一時的に復活したものの

 

1922(大正11)年には再び変体仮名は廃止され

 

今では

書道の場以外では

ほとんど使用されなくなっています。

 

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そういうわけで

 

現在、草書体や変体仮名を日常的に使うことは、ほとんど無くなったわけですけれど

 

街なかに佇む古い石碑の文字だとか

 

フラッと入った日本料理屋さんで

柱や壁に飾られている、古い短冊の俳句とか

 

そういうのがスラスラ読めて、ちゃんと意味が分かるようになったら

 

きっと、今よりちょびっと

楽しいだろうなぁー

って思うんですよね……。

 

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こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。

 

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