強くいちずに願うことを意味する
「こいねがう」
という言葉があります。
この言葉
「請い願う」とか
「乞い願う」
と書かれる事が多いですが
それ以外にも
「希う」とか「冀う」とか
「庶幾う」なんて書かれ方があるなんて、ご存じでしたか?
(私は全く存じておりませんでした)
「希う」「冀う」「庶幾う」
と書いて
「こいねがう」……
これ、知らなかったら
普通は絶対
読めませんよね!
(-_-;)
「請い願う」「乞い願う」の
「請」、「乞」という字
これを一応説明いたしますと、以下のようになります。
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請
音読み セイ シン ショウ
訓読み こう うける
意味
1. こう ねがう
(例)「請願」「請求」「要請」
2. うける ひきうける。
(例)「請負」
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乞
音読み キツ コツ
訓読み こう
意味 物を頼む ねだる
(例)「乞命」(きつめい…命乞いのこと)
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な~んとなく
「請」に比べると「乞」の方には
必死さと言うか
ガツガツした印象があるように感じます……。
以上の
「請い願う」「乞い願う」
という書き方以外に
「こいねがう」の表記法には
ほとんど難読漢字の域にある
「希う」「冀う」
「庶幾う」
というのがあるんです!
これをひとつずつ説明すると
以下のようになります。
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希
音読み キ ケ
訓読み まれ こいねがう
意味
1. まれ 珍しい 少ない
(例)「希代」「希少」
2. のぞむ こいねがう
(例)「希求」「希望」
3. 薄い
(例)「希薄」
4. 「希臘(ギリシャ)」の略
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冀
音読み キ
訓読み こいねがう
意味
1. そうなってほしいと願う こいねがう
(例)「冀幸」(きこう……幸運を願うこと)
2. 地名 古代中国の冀州
現代の中国の河北省
冀は翼(つばさ)という字と似ているので
なんだか間違えてしまいそうですが
冀という字をよーく見てみると
上に乗っかってるのは「北」になっています。
(※翼の上に載っているのは「羽」)
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そして
最後にご説明するのが
庶幾う
こいねがう
この「こいねがう」から発展した言葉で
「なにとぞ、どうか……」という意味合いを持った
「こいねがわくは」
(請い願わくは/乞い願わくは/希わくは/冀わくは/庶幾わくは)
という言葉があります。
こちらの言葉
辞書などには「こいねがわくは」と
最後が「は」と清音になっているケースしか載ってない場合が多いので
「こいねがはくば」
と濁音になったらダメなの……?
と
ちょっと気になって調べてみたのですが
「願わくは」という言葉が
「願わくば」となる事も多いことから
「こいねがわくは」が
「こいねがわくば」となるのも有りのようですよ。
こちらの言葉は
「こいねがわくは神仏の御加護を給わらんことを」
などといった感じで使われています。