「椰子の木」
と一口に申しましても
その種類には
ココヤシとかナツメヤシとかトックリヤシとか
さまざまなものがあるのですが
中でも
非常に紛らわしく間違えやすいのが
ビロウ
と
ビンロウ
この二つなのではないかと思います。
ということで
今回は
大変に紛らわしい二種類の椰子の木
「ビロウ(蒲葵)」
と
「ビンロウ(檳榔)」
の
違いについてご説明いたします。
《ビロウ(蒲葵、枇榔)》
この木は
ヤシ属ヤシ科ビロウ属に属し
東アジアの亜熱帯の海岸付近に自生しています。
その北限は九州地方で
一番多く自生しているのは琉球諸島。
沖縄では
「クバ」
という名で親しまれています。
葉っぱの形は
手のひら状をしており
葉先が細かく裂けて垂れ下がる、というのが大きな特徴です。
ビロウのこの葉っぱ
大変にお役立ちの優れもので
食べ物を包んだり
乾燥させたものを編んで
カゴや笠や団扇にしたり
屋根などの建材に使われたりもしています。
また
ビロウの木の芯は食べる事もできるんですよ。
なんでも、タケノコのような感じだとか。
沖縄ではビロウ(クバ)の木には
神様が宿るといわれており
聖なる植物とされています。
このビロウ
日本では古代
「あじまさ(あぢまさ)」
と呼ばれていました。
漢字が伝来してきた時
中国で「檳榔(ビンロウ)」と呼ばれている植物が
「意味合いとしては、あじまさに近いんじゃない?」
と思いこんだ日本人は
これに中国語の
「檳榔(ビンロウ)」
という漢字&音をあててしまいました。
やがて
本物の「ビンロウ」の存在を知った日本人は
「あじまさとビンロウは全然違う植物だった!」
ということをさとったのですが
これまでずっと(平安時代ごろまで)
「檳榔」と書かれ
「ビンロウ」と呼ばれてきた植物が
はたして
「ビロウ(あじまさ)」のことなのか
それとも
「(本当の)ビンロウ」のことなのか
どっちを言ってるんだかわかんない!
という事態が生じてしまったのです。
そのため
ビロウはやがて
「蒲葵(ホキ)」とか
「枇榔(ビロウ)」
と書きあらわされるようになりました。
これにて一件落着。
さて
一方の
《ビンロウ(檳榔)》
こちらは
ヤシ属ヤシ科ビンロウ属に属しています。
分布している所は
アジア太平洋地域および東アフリカの一部。
寒さに弱いため、日本の本土では育つことができません。
幹がスラッと真っすぐで細く
葉っぱは、鳥の羽のような形をしています。
柔らかい新芽は食用に
幹は建材などにも用いられています。
しかし
何といっても
有名なのがその種子
檳榔子(ビンロウジ)
です。
ビンロウの種子は
東南アジアの広い地域で
噛みタバコのような使われ方をしています。
(英語では「Betal nuts ベテルナッツ」と呼ばれています)
カットしたビンロウの実に石灰を塗り付けたものを
キンマという植物の葉でくるみ
ポイッと口に入れ
ガムのように噛み噛みします。
そのお味はといいますと
苦くて渋くて
かなりマズいそうです……。
やがて
口の中に真っ赤な唾液がダダ〜ッと溜まってきて
しばらくすると
気分がハイになり
酔っぱらったような感じになってきます。
噛み残った繊維質のものはペッと吐き出すのですが
唾液がとにかく真っ赤になりますので
地面に吐かれた唾の跡は
まるで血痕のようだとか……。
(※国によっては地面にビンロウの唾を吐くと罰せられてしまうそうですよ!)
なんだそりゃ~……
ヤバそう~。
絶対体に悪いでしょ~……
って思いますよね……。
はい。
体に悪いです!
依存性があるばかりではなく
発ガン性まであるそうです。(^^;)
いや~~~
それにしても
同じヤシの実と言っても
こういうの( ↓ )とは、ずいぶんと違うもんですねえ……。
「ヤシの実のジュース飲む?」
って言われて
ビンロウのジュースなんか出された日にゃ~……
ちょっと、どーしよ、って感じですよねえ……。
さて
そんなビンロウやビロウを含んだ
ヤシの木の花言葉は
「勝利」
だそうですよ!
いかにも
降り注ぐ太陽燦々!
ってイメージですね。(^_^)
関連記事のご案内
タンメンとタンタンメンとワンタンメンの違いについて。
ビーフシチューとハヤシライスとビーフストロガノフの違いについて。
「おざなり」と「なおざり」の違いについて。
「オプチミスト」と「オポチュニスト」の違いについて。
こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。