さきほど国語辞書を眺めていて
「風聞き草」(かぜききぐさ)
という名前の植物と
「風知り草」(かぜしりぐさ)
という名前の植物がある事を知りました。
「風聞き草」に「風知り草」
──なんだかロマンチックな名前ですねえ。
こんな素敵な名前を持つ草って
一体どんな草なんでしょう?
───ということで、ちょっと調べてみました。
まず
「風聞き草」(かぜききぐさ)
の方なのですが
これはイネ目 イネ科 ススキ属に分類されている植物
「荻(オギ)」のことです。
「オギ」の語源としては
風にゆらゆらと揺らめいている様が、あたかも霊魂を招く(おぐ)ように見えるから───とも言われているのですが
この植物には「風聞き草」という別名もあったんですね。
オギは、漢字の上では
萩(ハギ)と非常に混同しやすいのですが
荻(オギ)は
草かんむりの下に、けものへん+火
と書くのに対し
萩(ハギ)は
草かんむりに秋と書きます。
漢字では
萩(ハギ)と大変紛らわしく
見た目では
ススキと非常に紛らわしい植物
───それが荻(オギ)
オギもススキも共にススキ属の仲間ですので
ススキ (イネ目イネ科ススキ属)とは、近しい親戚みたいなものなのですが
オギとススキの間には実は
微妙な違いがあるんです。
まずは生え方なのですが
オギは一本一本並行してスラスラと生えるのに対し
ススキは株ごとにまとまって、こんもりと生えています。
またそれ以外にも
オギとススキの間には
芒(のぎ)の有無という違いがあります。
芒(のぎ)というのは
稲や麦など、イネ科の植物の実の衣についている
チクチクした針っぽい突起のことなのですが
ススキには
下の写真でおわかりいただけるように
芒がついているのですが
オギにはこれがありません。
そのため、オギの穂はススキのそれよりも、フワフワとしているんですよ。
また生えている場所にも少しばかり違いがあって
ススキは、わりと乾燥した場所にも生えることがあるのに対し
オギは水辺や湿地を好むので
河川敷などに大きな群落をつくることが多いんです。
水辺でそよそよと風に靡いているオギの姿は
いかにも「風聞き草」といった風情ですよね。
そんなオギの花言葉は
「爽やかな」
───さて
「風聞き草」はオギの別名なのですが
それとは別に
「風知り草」(かぜしりぐさ)
という別名を持つ植物もあるんですよ。
風を知る草って
どんな草なんでしょうね?
それは
イネ目 イネ科 ウラハグサ属に分類されている
「裏葉草(ウラハグサ)」
またの名を
「風知草(フウチソウ)」
という植物です。
葉っぱの色にたくさんのバリエーションがあるため
観葉植物としても非常にファンの多いフウチソウ。
これは日本固有の植物で
箱根のあたりで多く見られることから
「ハコネクロア(Hakonechloa)」
という学名がつけられています。
山の尾根や崖地に生えていて
細長い葉っぱが、付け根から裏返っていることから
「裏葉草」(ウラハグサ)と名付けられ
さらに
この長い葉っぱが、風でサラサラ揺れる所から
「風知草」(フウチソウ)
とか
「風知り草」
とも呼ばれているんですよ。
こういう素敵なネーミングって
一体誰が最初に付けたんでしょう?
葉っぱが揺れる事から
「風を知る」なんて
なんだか、とってもロマンチックですよね。
ふと、旅心に誘われて
箱根(フウチソウの故郷)まで行きたくなってしまいます……。
(あぁ、温泉に浸かりたいな~……)
そんなフウチソウの花言葉は
「未来」
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