初夏になり、いよいよ我が家の庭まわりに生えてきている雑草たちも、無視できないほどの茂りっぷりになってきたので
そろそろ駆除しはじめないといけないのですが
中には、可憐な花を咲かせているのもちらほらあるので
「花の時期が終わってからにしようかな……」
とためらう所があったりもします。
一体どんな旅路の果てにここにたどり着き、根を下ろしているのか
雑草たちは、いつの間にか我が家の敷地内にやってきて、見事な花を咲かせています。
端っこの方に慎ましく居候してくれている分には、全く構わないのですが
彼らは旺盛な繁殖力でずいずい生い茂り
「庭」と呼ぶより「通路」と言った方がふさわしいほどの狭い敷地を覆ってしまいかねない勢いなので
可哀想ですが、やはり
やっつけてしまうより仕方がありません。
でも
彼らとて、元々は観賞用として外国から輸入された花だったりするので
花は本当に綺麗なんですよねえ……。(^^;)
この花は
蔓日々草(ツルニチニチソウ)
です。
白い斑の入った葉も、清楚な青い花も、とても美しい植物なのですが
見かけによらぬ
恐ろしいほどの生命力を持っいて
切っても抜いても除草剤を撒いても
気が付けばまた、必ず生えて来ているし
油断すると、ものすごい勢いでニョロニョロ長い蔓をいたるところに伸ばしてきます。
南ヨーロッパ原産 明治時代に渡来
毒性成分であるアルカロイドを含み、欧州では茎や葉が民間療法で止血剤などに使われていたそうです。
花言葉は
「幼馴染」「友情」「優しい」
「楽しい思い出」など
ツルニチニチソウはプランターなどに植えて、こまめに剪定していれば良いのですが
一旦地面に根っこを張ると爆発的に増えてしまうので
「絶対に地植えだけはしない方が良い!」
ということもよく言われています。
(地面に着いた蔓からも、次々根っこを生やしてくるから要注意)
こちらのオレンジ色の芥子は
長実雛芥子(ナガミヒゲシ)
です。
横浜あたりでは、道端で良くみかける花なのですが
我が家の敷地内に生えて来たのは、今春が初めてです。
ナガミヒゲシ
地中海沿岸原産 ケシ科
芥子坊主が長細い所から和名で「長実雛芥子」と付けられました。
日本には輸入穀物に紛れてやってきたと見られ
1961年に東京の世田谷区で発見されたのを皮切りに旺盛な繁殖力で2000年以後爆発的に全国に広まりました。
油断していると瞬く間に恐ろしい勢いで蔓延します。
花が終わったらすぐに摘み取らないと、一つの芥子坊主から1000-2000もの種がばら撒かれてしまいます。
花言葉は
「平静」「慰め」「癒やし」
このように
かなり厄介な植物のようなのですが
オレンジ色の花は、風に揺れているさまが
とってもカワイイんですよね。
なので
花が散って芥子坊主になった所だけ切って
花が全部終わってから駆除しようかな……
などと仏心を起こし
芥子坊主を次々に切って行った所
切り口から黄色い粘液がドクドク噴き出して来て
ものすごく
気持ち悪かった
です!!!!
塀際に咲いていたピンクの花は
アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)
( 隣にまるで白い花のように見えているのは蔓日々草の葉っぱです)
明治時代に観賞用として輸入されました。
花の色によって
白系「ツキミソウ」
赤系「ユウゲショウ」
黄色系「マツヨイグサ」
と呼ばれているのですが
黄色系統の花が「ツキミソウ」と呼ばれる事もあります。
アカバナユウゲショウの花言葉は「臆病」
このお花
あまりに可愛いので、摘んでコップにさしておいたんですが
すぐにしおれてしまいました。
とても可憐な見た目なのですが
地面の下ではぶっとい根っこを伸ばしていて、ずいずいと繁殖域をひろげて行くという
見かけによらず
たくましい花です。
そして駐車場の周りに咲いていたのが
アカバナユウゲショウの兄弟分
マツヨイグサ(待宵草 )
です。
毎年除草剤を撒いているような所に、めげずに生えてきているせいか
普通のマツヨイグサよりは、かなり小さめサイズになっています。
南アメリカ原産
江戸時代の嘉永年間(1848年〜1853年)に
観賞用として輸入されました。
花言葉は「浴後の美人」「気まぐれ」
待宵草と言えば
「待てど暮らせど来ぬ人を
宵待ち草のやるせなさ……」
で知られる
竹久夢二の「宵待草」を思い出します。
私昔、この曲のオルゴールを持ってたんですよ。
たしか、根津の竹久夢二美術館で買ったように記憶しているのですが
まだ実家にあるかなあ……。
こちらのYouTubeは高峰三枝子さん歌唱による「宵待草」です。
大正ロマン溢れる雰囲気にウットリしてしまいますねえ。
このように
とてもロマンチックで
人々に好印象を抱かれているマツヨイグサですが
Wikipedia情報によると
昭和30年代頃には同属のオオマツヨイグサと共に、空き地などに大群落を形成するなど一大勢力を築いていたところが
近年、同属のメマツヨイグサに押され気味……なんてことが書かれていて
まるで
反社会勢力の内部抗争のようですね。(-_-;)
そしてこちらは
家の前に咲いていた
ハルジオン(春紫菀)
です。
「貧乏草」なんて呼ばれることもありますが
ほわほわとした花が可愛らしくて
個人的にはとても好きな花です。
子供の頃にはおままごとの時、この花をよく目玉焼きに見立てていました。
ハルジオン(春紫苑)
「ハルジョオン」とも呼ばれています。
北アメリカ原産
キク科ムカシヨモギ属
1920年代(大正〜昭和初期)観賞用として輸入されて以降、雑草と化し、全国に勢力を拡大しています。
ソックリさんのヒメジョオンとの見分けが難しいのですが
ハルジオンはヒメジョオンより、やや花が大きくて
花びらが細くてホワホワしています。
ハルジオンときて思い出すのが
久々に聴いて
感動の余り
鳥肌!!!!
ユーミンの歌って
曲が良いのも勿論なんですけど
歌詞がなんとも素晴らしいんですよね。
夕焼けから次第に夕闇に変わっていく風景を
「煙突も家並みも切り絵になって」とか
「かなしいほど紅く夕陽は熟れていく」
とか表現するあたり
恐ろしい位に卓越したセンスだと思います。
この曲が収録されているアルバム
「紅雀」
私、中学生の頃から大っっっ好きなんですよ~。(T∀T)
ユーミンの曲は、ほとんど全部好きなんですけど
その中でも「時のないホテル」と1、2を争うくらいの、大好きなアルバムです。
ハルジオン&ヒメジョオンのコンビは
葉、茎、新芽、蕾など
ほとんどの部分を天ぷらやお浸しなどにして食べることが出来るという
結構エライ植物です。
が
ハルジオンもヒメジョオンも
あまりに勢力を拡大させ過ぎているために
要注意外来生物に指定され
日本生態学界からは
日本の侵略的外来種ワースト100に選定されてしまっています。
そんな風に
雑草として迷惑がられている彼らなのですが
鑑賞目的で輸入されたものも多くあるだけに
その姿はじゅうぶんに美しく、愛らしく
花の盛りに駆除してしまうのは、ためらわされてしまうところがあります。
(それも彼らが生き抜いていくための戦略かもしれませんが……)
それにしても
花壇やプランターにきちんと植えられ
管理されている花と、そうでない花
それぞれの立場に思いをはせて見ると
なんだか複雑なものを感じてしまいます。
管理されている庭の花は
人間から大切に保護されて、一見良いように見えますが
人間の都合により、季節ごとに植え替えられ
時には根っこごと撤去されたりもします。
一方、花壇からはみ出た植物たちは
雑草扱いとなって駆除の対象にもなってしまうのですが
花の立場からしてみれば
人間に生殺与奪のすべてを握られているよりは
雑草となっても自分の力で逞しく
好きな所で生きて行く方が幸せなのかもしれません。
従来からある生態系を乱したり
畑や庭にまでしつこくはびこってくる彼らは
厄介な存在であることは確かなのですが
どんな環境でも
逞しく生き抜いていく
その生命力や
生きるための工夫からは
見習うべきものが多くあるようにも感じます。
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ヒメツルソバも花は可愛いけど厄介ですよ。
ツタは素敵だけど、絶対に地植えしない方が良いですよ。
こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。