先日、散歩をした折に
木の枝に沢山の花をぶら下げているこのような植物を見つけたので
「わぁ、綺麗!」
と写真に収めてきました。
暦の上ではすでに初冬の12月なのですが
晴れ渡る青空を背景にした、黄色いラッパ状の花からは
南国的なエキゾチックさが感じられます。
家に帰ってから、この植物について調べてみましたところ
これは
ナス科 キダチチョウセンアサガオ属(ブルグマンシア属)に属する
キダチチョウセンアサガオ
(木立朝鮮朝顔)
という植物だという事がわかりました。
園芸名では
「エンジェルトランペット」
と名付けられているそうです。
原産地は中南米の高地
日本には明治時代になってからやって来ました。
花の咲く時期は春から秋で、
花の色には白、黄色、ピンク、オレンジ、紫などがあるそうです。
下向きに垂れ下がって咲くラッパ状の大きな花は
夜になると甘い芳香を放つので
ガーデニング好きな方々の間でも
大変に人気の高い植物だということです。
花言葉は愛敬
そして、偽りの魅力、変装など……
うーーーむ。
美しい花なのに
随分とシニカルな花言葉がつけられていますねえ……
エンジェルトランペットは
キダチチョウセンアサガオ
という名前からおわかりいただけますように
チョウセンアサガオとは
親戚関係にあたります。
エンジェルトランペットは木で
花を下向きに咲かせますが
チョウセンアサガオは草で
花は上向きに咲く、という違いがあります。
共に「チョウセン」という地名が付けられていますが
これは
「日本の物によく似ているけれども少し違う、外国から入って来たモノ」
というほどの意味合いであって
特に朝鮮半島を意味しているわけではないそうです。
(チョウセンアサガオの原産地は南アジアです)
チョウセンアサガオは
仏様たちが出現する時に、天から降って来る花──であるところの
という
美しい異名を持っています。
チョウセンアサガオが中国経由で我が国に渡来したのは
江戸時代の1684年
当初は薬草として入って来たそうです。
(チョウセンアサガオには強力な毒性があります)
それで曼陀羅華なんて
素敵な異名が付けられたんですかねえ?
ちなみに
春ごろ道端でよく見かける
ムラサキケマンにも
曼陀羅華という異名が付けられているそうです。
ムラサキケマンも神経性の毒を持つ毒草なのですが
こちらは
薬として使われるようなことは事は無いそうです……。
世界で初めて
全身麻酔による手術(乳癌手術)を成功させた
江戸時代の外科医
華岡青洲(1760-1835)は
チョウセンアサガオから抽出した毒性成分から
麻酔薬「通仙散」を作り出したんだそうですよ。
麻酔薬を作る過程では
実母と妻とが進んで実験台になることを買って出て
結果
お母さんは死んでしまい
奥さんは両目を失明……。
その後、青洲は自らを実験台にしながら
「通仙散」を完成させました。(壮絶!)
そのため、今では
チョウセンアサガオの花は
日本麻酔科学界のシンボルマークとなっています。
有吉佐和子さんの小説
「華岡青洲の妻」は
昭和41年のベストセラーですが
この小説により、それまであまり知られていなかった
華岡青洲の名が
広く一般に知られるようになりました。
こちらの物語は
何度もドラマ化、映画化されています。
エンジェルトランペット
(キダチチョウセンアサガオ)も
チョウセンアサガオの仲間ですので
実は
同様の毒を持っています。
含まれている成分は
チョウセンアサガオと同じく
アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミンなどで
これらを摂取すると
嘔吐、けいれん、呼吸困難、めまい、聴覚性幻覚、急性痴呆、行動異常
などなどの症状が引き起こされてしまうそうです。
木の汁はもちろんのこと
花や葉も全部危ないそうです。
(絶対に食べちゃダメ!)
汁が目に入ったり傷口に入ったりした時には
流水で良く洗い流しましょう。
吉田秋生さんの漫画
「BANANA FISH」には
この植物の仲間から生成されたという設定の麻薬が出て来るそうですよ。
(それくらい危険!)
チョウセンアサガオやエンジェルトランペットのつぼみは
野菜のオクラに激似だそうです。
東京都福祉保健局のホームページによると
つぼみをオクラと
間違えて食べたという例が
実際にあるそうです。
また
根っこをゴボウと間違えて食べたり
種をゴマと間違えて食べた
なんてケースもあるそうですよ。(・_・;)
(その結果は嘔吐、瞳孔散大、呼吸の乱れ、けいれん、呼吸困難など)
恐ろしいっ!!
(◎_◎;)
子供さんの手の届くところにあると
おままごとなんかで使ってしまうかもしれないから
良く良く注意した方がいいですね。
ワンちゃんや猫ちゃんなども
間違って口にしたりする事のないよう
遠ざけておいた方が良いと思います。
こちらがチョウセンアサガオの果実。↓
エンジェルトランペットにも同じようなトゲトゲの実がなるそうです。
エンジェルトランペット──天使のラッパ
と言うと
なんとなく
愛らしいものがイメージされてくるのですが……
実の所
に記されている天使のラッパは
トンでもなく
恐ろしいもの
だったりするんですよ。
世界の終末後に行われるという
神による「最後の審判」──
天使が吹くラッパは
そこに到るまでの行程が開始したことをしらせます。
その際には
天使たちがラッパを吹くたびに
もんのすごい災いが起きる事になっています。(*_*)
その内容はと言いますと ──
1人目の天使がラッパを吹くと
血の混じった雹と火が地上を攻撃し、
地上と木々の3分の1、および全ての草が焼ける。
2人目の天使がラッパを吹くと
山のような巨大な塊が海を直撃し
海の3分の1は血になり、海の生き物の3分の1は死に、船の3分の1は破壊される。
3人目の天使がラッパを吹くと
苦よもぎという名の巨大彗星が、川と水源の上に落ち
水の3分の1が苦くなって、人がいっぱい死んでしまう。
4人目の天使がラッパを吹くと
太陽の3分の1、月の3分の1、星の3分の1が破壊され、昼も夜も暗くなる。
5人目の天使がラッパを吹くと
1つの星が地上に落ち、底無しの淵に通じる穴をあけ、そこからイナゴたちが呼び出される。
イナゴは額に神の印が付いていない人々に襲いかかり、サソリに刺されるような苦痛を5か月間与え続ける。
6人目の天使がラッパを吹くと
4人の御使が解き放たれる。
彼らは2億人もの騎兵隊を率いていて、その馬の口から発射される火&煙&硫黄で人間の3分の1を殺戮する。
7人目の天使がラッパを吹いた後
ついに世界に
終末が訪れてしまう…………
いや~~~……
あなたたち
本当に
天使なんですか?
って言いたいほどの
暴れっぷりですよね……。
天使さん達には
できれば
来ないで
いただきたい……。
そして絶対に
ラッパだけは
吹かないでいただきたい。
なんて
思ってしまいますねぇ……。 (-_-;)
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