TODAWARABLOG

戸田蕨です。小説書いてます。よろしくお願いします。

本の紹介

「平」に似ているけど微妙に違う「乎」という字は、「断乎」とか「確乎」に使う「コ」です。

先ほど ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の 「怪談」を読み終えたのですが 翻訳者の 平井呈一(イギリス文学者1902-1976)による解説を読んでいる時 思いもよらぬ字に 躓いてしまいました。 なんて読むんだーーー!!!! それは ハーンの「怪談」が、その辺に…

「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想」~芸術家たちの美神アルマが綴った、大作曲家マーラーとの結婚生活の回想録

今回は 作曲家グスタフ・マーラー 建築家ワルター・グロピウス 文学者フランツ・ヴェルフル という立派な方々の奥さんにして 数多くの芸術家たちと浮名を流したファム・ファタール アルマ・マーラー(1879-1964)の回想録 「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想…

大作曲家グスタフ・マーラーとその妻アルマが体験したユーサピア・パラディーノの心霊術!!

私は今、作曲家マーラーの妻 アルマ・マーラーが書いた 「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想」 という本を読んでいます。 グスタフ・マーラー―愛と苦悩の回想 (中公文庫) 作者:アルマ マーラー メディア: 文庫 アルマ・マーラー(1979-1964) と言えば すっご…

織田作之助「夫婦善哉」~恋は「惚れた方が負け」なんですかねえ……。

今回は 終戦直後に「無頼派」として一躍脚光を浴び 流行作家として活躍中に、34歳の若さで亡くなってしまった 織田作之助(1913-1947)が 戦前に発表した出世作 「夫婦善哉」(めおとぜんざい)(1940年発表) のご紹介をいたします。 金遣いの荒いボンボン育ちの…

シャミッソー「影をなくした男」のレビュー~影なんか無くったって人は幸せになれる!

今回は フランス出身の ドイツロマン派の文学者 そして 植物学者でもあった アーデルベルト・フォン・シャミッソー (1781-1838)によるおとぎ話 「影をなくした男」 のご紹介をいたします。 ------- 内容 貧乏青年ペーター・シュレミールは 仕事のつて…

ほっと安らぎたい気分のときには、絵本を開くのも良いですよね。

日々の生活で、なんとなく心に疲れを感じる時。 美味しいものを食べたり 音楽を聴いたり 綺麗な風景を眺めたりすると 心がほっと安らぎますよね。 「心のコリをほぐしたいな」 と感じる、そんな時には 絵本を開いてみる というのもお勧めですよ。 かわいらし…

直木賞のルーツ作家・直木三十五が「ウケる小説」の秘訣を惜しげもなく伝授!~「大衆文芸作法」

先日、 私は直木三十五が書いた 「大衆文芸作法」 という論文を読みました。 直木三十五と言えば エンターテインメント小説に贈られるビッグタイトル 直木賞の由来ともなっている 戦前の花形大衆小説家。 いわば エンタメ小説の レジェンド 的存在です。 こ…

飽くことなき冒険魂!~植村直己「青春を山に賭けて」のレビューと感想

冒険家の植村直己さんが 犬ぞりによる北極点到達を世界で初めて成し遂げ さらに、犬ぞりによる単独でのグリーンランド縦断を成し遂げた1978年 私はまだ子供だったため 植村さんに対するイメージは 「犬ぞりの人」 として心に焼き付いていました。 実際の植村…

新渡戸稲造著「武士道」について~ルーズヴェルト大統領を動かした日露戦争終結の影の立役者!

今回は 明治32(1899)年にアメリカで出版され 世界中の人々に日本人の精神性を理解させる一助となった 新渡戸稲造(1862-1933)の名著 「武士道」 のご紹介をいたします。 新渡戸(にとべ)稲造 と言いますと 1984(昭和59)年から2007(平成19)年までの間 5千円札に…

「芸術とは何か!?」という問いに哲学者たちがズバリ答えます~マーカス・ウィークス著「毎日使える、必ず役立つ哲学」の感想とご紹介

今回は、作家で音楽家でもある マーカス・ウィークス氏が書いた 「毎日使える、必ず役立つ哲学」(矢羽野薫訳) という本のご紹介をいたします。 こちらの本は副題に 「教えてニーチェ、 なるほどソクラテス!」 とありますように 日常生活を送る中で、ふと感…

徳冨蘆花「不如帰」の薄幸のヒロイン、浪子さんの面影を求め、逗子を歩いてきました。

明治時代の大ベストセラー小説として、幾度となく舞台化、映画化されてきた、切ない悲恋の物語 徳冨蘆花(1868-1927)の 「不如帰」(ほととぎす) 「もう、もう、二度と女なんかに生れはしない……」 先日それを読み、案の定 「浪子さん、可哀想だぁ……」(´;ω;`)…

「直木三十五伝」~甥御さんが伝える文豪・直木三十五の素顔とその生涯

今回は、戦前のスター作家 直木三十五の生涯を 甥御さんにあたる元㈱テレビ東京社長 植村鞆音さんがお書きになった本 「直木三十五伝」の ご紹介をいたします。 直木三十五伝 (文春文庫) 作者:植村 鞆音 発売日: 2008/06/10 メディア: 文庫 その名の冠せられ…

唐代の詩人、李益の「江南曲」にも出て来る中国伝統のサーファー「弄潮児」について

先日、私のスマートフォンに THE SURF NEWSというサイト発の 「中国の意外なサーフィン歴史が明らかに」 という情報が入って来ました。 それは イタリア人で中国のサーフィン代表チームのコーチも務めたことがある ニック・ザネラ氏が、中国の波乗りの歴史に…

井原西鶴「諸艶大鑑/好色二代男」から~長山太夫が恋人の敵討ちを果たすお話「惜しや姿は隠れ里」のご紹介

今回は井原西鶴が 1684(貞享元)年、43歳の時に世に送り出した遊里説話集 「諸艶大鑑/好色二代男」 をご紹介いたします。 これに先立つこと2年前 1682(天和2)年に出版された西鶴の小説デビュー作 「好色一代男」は それまで俳諧師であった西鶴を41歳にして小…

ゴーリキー「どん底」の感想とご紹介~人の世を「どん底」にしてしまうものは、多分、人の心なんだと思います。

今回はロシア(ソビエト)の文豪 ゴーリキーの名作戯曲 「どん底」 のご紹介をいたします。 今どきは「ゴーリキー」などと言いますと プロレスラーみたいな姿をした 紫色のポケモンを思い浮かべる人の方が多いようですが こちらの「ゴーリキー」は文筆家で社会…

与謝野晶子自選「与謝野晶子歌集」のご紹介〜散りばめられた雛罌粟の花の記憶

今回は 与謝野晶子(1878-1942)が自らの歌を選び 昭和13年(60歳の時)に刊行した 「与謝野晶子歌集」 のご紹介をいたします。 本名は「志よう」。大阪の和菓子屋「鳳」家の三女として生まれました。 与謝野晶子と言えば 「みだれ髪」 での情熱的、官能的な歌や…

「サキ傑作集」の感想~予測不能のアッと驚く展開がクセになってしまいそう。

今回はイギリスの小説家 サキ(本名ヘクター・ヒュー・マンロー1870-1916)の短編小説を集めた 岩波文庫の 「サキ傑作集」河田智雄訳 のご紹介をいたします。 まず感想から述べさせていただきますと これ めちゃめちゃ面白いです! 短編の名手サキの「傑作集」…

「富岡日記」~日本の近代製糸業の立ち上げ期に全力で頑張った武家娘お英ちゃんの手記

明治から昭和にかけて 我が国の主要な輸出品であった生糸。 その生産の現場を描いたものといえば、まず思い浮かぶのが 「ああ野麦峠」 などで劣悪な環境下 過酷な労働に従事させられていた若い女工さん達の姿ですが 今回ご紹介いたしますのは 現場がそこまで…

モリエール作「ドン・ジュアン」ダイジェスト~世界一有名な色男の末路は、かなり悲惨なものでした。

今回は ルイ14世時代のフランスで 王様お気に入りの芝居座長として活躍していた モリエールの戯曲「ドン・ジュアン」 の、ご紹介をいたします。 女性をメロメロにさせる物語上の色男と言えば わが国では 光源氏や在原業平 そして現代ではちょっとマイナーに…

堤中納言物語~ホントウは「堤中納言兼輔」とは全く関係のない10編の短編小説集

今回は 平安時代から南北朝時代までにつくられたお話10編を 1冊の本にまとめた短編物語集 「堤中納言物語」 をご紹介いたします。 「堤中納言物語」と言えば 毛虫好きの風変わりなお姫様の話 「虫愛ずる姫君」 が収載されている事で良く知られているのですが…

「貞観政要」~賢帝太宗に見る理想の帝王学~平和と安定の実現はまず、トップが身を慎むところから。

突然ですが みなさんは 王様とか帝王になれたらいいな~ なんて夢想することありませんか? 王様って 好きな事なんでもやりたい放題で 贅沢三昧が出来そう! そんなイメージですよね。 でも実際の所 一国の君主ともなれば そんな気ままや贅沢は 許されません…

鶴屋南北「東海道四谷怪談」~怨霊パワーで悪人どもをやっつける!お岩&小平の最恐タッグ!!

今回は 1825年(文政8年)に 鶴屋南北(当時71歳)が 江戸中村座のために書き下ろした芝居台本 「東海道四谷怪談」 をご紹介いたします。 「四谷怪談」と言えば お岩さんが出て来ることで非常に有名な怪談話ですが 「お岩さんという女性が伊右衛門という夫に浮気…

直木三十五「南国太平記」~幕末薩摩藩のお家騒動を描いたダイナミックな群像劇

今回は 戦前の大衆小説の花形作家 直木三十五の代表作 「南国太平記」 のご紹介をいたします。 ------- 内容 時は幕末 舞台は南国薩摩藩。 藩は目下 老藩主島津斉興(なりおき)とその愛室お由羅の方が率いる 保守派 と 40歳になっても家督を譲ってもら…

ウィリアム・サローヤン「ディア・ベイビー」の感想~人生って切ないですね。人間って愛おしいですね。

今回はアメリカの作家 ウィリアム・サローヤン(1908-1981) の短編作品をあつめて ちくま文庫から出されたこちらの本 『ディア・ベイビー』 のご紹介をいたします。 ディア・ベイビー (ちくま文庫) 作者: ウイリアムサローヤン,関汀子 出版社/メーカー: 筑摩…

邦題も内容もゾクゾクするほどカッコイイ!!「翼よ、あれがパリの灯だ」リンドバーグによる大西洋単独無着陸横断飛行の手記

今回は チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ(1902-1974)が 1927年5月 世界初のアメリカ~ヨーロッパ間単独無着陸横断飛行を成し遂げた時の事を記した 「翼よ、あれがパリの灯だ」(1953年) のご紹介をいたします。 1902年 ミシガン州デトロイトの弁護士の…

恋多き才女がどうしても書き残しておきたかった、若き日の美しい恋の思い出「和泉式部日記」

今回は 平安時代中期の女流歌人・和泉式部による恋物語 「和泉式部日記」 のご紹介をいたします。 -------- 「和泉式部日記」 あらすじ 恋人だった為尊(ためたか)親王が26歳という若さで亡くなってしまった後 和泉式部は傷心と追憶の日々を送ってい…

「ジャンボ旅客機99の謎」のレビュー~ベテラン整備士が明かす「飛行機のバキュームトイレに腸を吸い込まれてしまった乗客がいた」という話

今回は タイ国際航空でリペアマン・スーパーバイザーをしておられる エラワン・ウイパー氏の著書 「ジャンボ旅客機99の謎」~ベテラン整備士が明かす意外な事実~ という本のレビューと その中から特に 意外!! と思われるであろう事実をいくつかご紹介いた…

「一遍上人語録」「播州法語集」の感想~努力・善行など一般的に「良い」と言われている事にも思わぬ落とし穴がある。

今回は 鎌倉時代中期に活躍した時宗の開祖 一遍上人の教えをまとめあげた 「一遍上人語録」と「播州法語集」の感想 を書かせていただきます。 -------- 《一遍智真上人の生涯》 1239年(延応元年) 伊予の国松山に生まれました。 生家は瀬戸内海きって…

トーマス・マン「ヴェニスに死す」の感想~美に殉じた芸術家の物語ですが、現代だったらまず間違いなく不審者として通報されてしまう事でしょう。

今回は ドイツ人のノーベル文学賞作家 トーマス・マン(1875-1955)による1912年発表の作品 「ヴェニスに死す」 の感想を書かせていただきます。 ※ネタバレあり。 1971年に映画化もされているこの物語 ──── ベニスに死す [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクショ…

宇宙人か!?未来人か!?1803年に茨城の海岸に謎の美女を乗せて漂着した円盤「うつろ舟」のこと

江戸時代の 享和3年(1803年)2月22日正午 常陸国(茨城県)「はらやどり浜」の沖合に 怪しげな乗り物が漂っている のが発見されました。 「ありゃ何だべ!」 地元の人々によって浜辺に引き上げられたその乗り物は 丸い形をしていて直径は3間(5.4m)ほど 上半分…