江戸時代の
享和3年(1803年)2月22日正午
怪しげな乗り物が漂っている
のが発見されました。
「ありゃ何だべ!」
地元の人々によって浜辺に引き上げられたその乗り物は
丸い形をしていて直径は3間(5.4m)ほど
上半分はガラス張り
下半分は鉄板を筋のように張ったもので出来ていて
継ぎ目の部分は松脂のようなもので塗り固めてあったそうです。
中には
見た事もないような恰好をした美女が乗っていました。
顔はピンクで眉と髪は赤色
そして
白い付け髪を背中に長く垂らしていました。
言葉は全く通じないながらも
60センチ四方の箱を大事そうに抱えながら
彼女はニコニコ笑っていたそうです。
他には
敷物が2枚とビンに入った3.6ℓほどの水
お菓子のようなものと肉の練りもの風の食料があり
船内のあちこちに
図形の様な謎の文字が記されていました。
村の人々が騒然としながらそれを見つめている中
物知りの古老が言いました。
「この女はおそらく異国の王女じゃ。他国に嫁がされたものの、不倫をした事がばれて相手の男は殺されたんじゃ。
じゃが、この女は王女だから殺すわけにはいかない。
仕方が無いので、虚舟(うつろぶね)に乗せて海に流し、生死を天に任せたんじゃろう。きっとそうに間違いない!」
古老はさらに続けて言いました。
「この箱の中身は不倫相手の男の生首じゃ。
ずっと昔、近くの浜に同じように異国の女が流れ着いた事があったんじゃが、その時にも、舟の中にはまな板のような物の上に男の生首が置かれていたという事じゃ~」
人々はその後
これをどうしたら良いかと議論を重ねたのですが
下手に役人に訴え出たりすると
面倒くさい事になりかねない。
ということで
再び沖に引き出し
流してしまったのでした。
この話は
滝沢馬琴が
文政8年(1825)に文人達に呼びかけ
毎月1回集まって珍談奇談を披露し合った
兎園会(とえんかい)での話をまとめた
「兎園小説」(とえんしょうせつ)
という書物の中に出て来る話なのですが
天保年間(1830-43)に出された
雑事見聞集「梅の塵」にも
この話の事が
日付が3月24日
場所は原舎浜(はらとのはま)
と微妙な違いはありながら
先ほどの話と
ほとんど同じような内容で紹介されているため
実際にあった話なのだろうと言われています。
この不思議な話を
私はこの本で知 ったのですが
著者の中江さんは
この女性について
「はっきり断定はできないがUFOに乗った宇宙人という可能性は高い」
という趣旨の事を言っておられます。
宇宙人か!!
はたまた
未来人か!!
正体は不明ですが
ニコヤカな笑みをたたえた美人というあたり
親書を持って来た使者
って感じがしませんか?
この女性
終始、微笑みながらも
大事そうに抱えていた箱には
決して人々を近寄らせなかったんだそうです。
もしかしたら
「一番偉い人に取り次いでください」
って言いたかったんじゃないでしょうか。
言いたいことが全然通じないまま
海に流されちゃいましたが……。( ;∀;)
それにしても古老が言っていた
「ずっと以前にも同じような事があった」
という言葉も
なんだか気になる所ですよね……。
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