今回もまたまた
お奉行様根岸鎮衛(やすもり)が集めた江戸時代の巷話集
「耳嚢」から不思議なお話
をご紹介いたします。
今回はなんと
根岸鎮衛本人が怪しい未確認飛行物体と遭遇した!?
とも取れる内容となっております。
参考文献は角川ソフィア文庫から出版されている
「耳袋の怪」です。
「鬼火の事」
大御番(旗本で編成された部隊)の在番だった時
箱根宿に泊まったことがあった。
それは夏のことだったので
同僚たちは旅宿に寄り
酒などを飲みながら涼んでいた。
その時
向こうの山から
一つの火が
丸く空中に上がったのが見えた。
「あれは何だ!」
人々が不思議に思っていると
それは二つに分かれて飛び回り
またある時は一つになり
そしてまた
いくつにも分散したりする……。
皆は面白がりながら見ていたのだが
やがて
このあたりにまでやって来るような様子なので
驚きながら
「何であろう!?」
と大声で話し合っていた。
─── その時
旅の僧が座敷にやって来て
「早くお入りなされ!!
後になると害が出てきますぞ!!」
と、ことのほか恐れながら
早々に戸などを立てたため
皆もなんだか恐ろしくなって
部屋の内に入ったという……。
─── 後にこの話を聞いた
石川翁によると
「それは恐らく
天狗火などと言うものでしょうな」
との事である。
(完)
───これ
UFOっぽくないですか……!?
いやー……
絶対にUFOでしょう……。(◎_◎;)
ただ
いささか気になってしまうのは
話の出だしの方では
明らかに
根岸鎮衛が自分自身の体験を語っている感じなのに
終わり近くになると
なぜか「~という」と伝聞調になっている所なんですよね……。
体験なのか
伝聞なのか
どっちなんだ!!
はっきりさせてくれ!!
根岸鎮衛という人は
時代の立役者たちに認められながらも
政争とは無縁のまま活躍したという
幸運な人なのですが
若い頃にはかなりヤンチャだったのか
全身入れ墨だらけだった
なんていう噂もあるそうです。
酸いも甘いも噛分けた
豪傑肌の名奉行
だったらしいですよ。
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「耳嚢」に書かれた、怪談「播州皿屋敷」の元ネタとなった騒動。
根岸鎮衛はこんな奇病についても書いています……。
こちらは私の小説です。よろしくお願いいたします。