私は今
美食の芸術家
北大路魯山人(1883-1959)による随筆
「魯山人の食卓」
という本を読んでいるのですが
その中で魯山人が
家庭でも簡単に作れる雑炊のレシピ
を披露してくれていましたので
今回はそれをご紹介しようと思います。
漫画「美味しんぼ」に出て来る
食通・海原雄山のモデルにもなった
天下の美食家・北大路魯山人が
自信を持って
「これはウマい!」
と、お薦めしているメニューなので
「作り方が難しいんじゃないの~?」
とか
「材料が高級品ばっかりなんじゃないの~?」
などと思われる向きもあるかもしれませんが
今回、ここにご紹介いたしますメニューは
非常にお手軽に作れる!
しかも
材料は
手に入れやすいものばかりです。
※こちらのメニューはすべて
「魯山人の食卓」内にある
「鍋料理と雑炊の話」という項の
「夜寒に火を囲んで懐かしい雑炊」
という章に書かれてあります。
最初にご紹介するのは
牡蛎雑炊です。
作り方は
まず、普通のお粥をこしらえます。
火にかけたお粥の中に、水を切った牡蛎のむき身を入れ
5分くらいたったら鍋を火からおろします。
牡蛎の分量はだいたい
お粥の4分の1くらい。
火の通し加減については
魯山人はこのように言っています。
かき雑炊の粥は、サッと煮えたアッサリした粥が、かきの風味とよく合う。かきは煮過ぎないこと
もしセリが手に入れば
それをみじん切りにして振りかけると、なお良いそうです。
せりは火からおろしてふりまぜること。
セリの分量は
お粥の10分の1くらい。
これにて完成!
そのまま塩を振りかけ、かき混ぜて食べても良し。
そば出汁くらいの麺つゆを掛けても
醤油を落として食べても良し。
焼き海苔はカキとよく合うので
粗く揉んで振りかけて食べると
なおgood!だそうです。
この熱々の牡蛎雑炊を
ふぅふぅいいながら食べる妙味は
初春の楽しみの一つである。
と
魯山人は語っています。
お次にご紹介しますのは
非常にリーズナブルに出来るメニュー
納豆雑炊です。
魯山人もこのように言っています。
納豆が嫌いとあっては話にならないが、納豆好きだとすれば、こんなに簡単に、こんなに調子の高い、こんなに廉価な雑炊はないといったくらいのものである。
作り方は
火にかけたお粥に、その4分の1か5分の1の量の納豆を加え
5分もしたら火からおろします。
(これで完成)
納豆は何の手も加えないまま
そのままのものを混ぜても良いのですが
普通に食べる時と同じように
醤油、からし、ネギの薬味を入れて
充分に粘るまでかき混ぜたものを入れると、なお良いです。
さらに
雑炊の上から煎茶のうまいのをかけて食べるのもよい。
通人の仕事である。
との事ですよ。
納豆は
水戸方面の小粒納豆があれば申し分ないそうですが
普通の納豆でも結構美味しく出来ることを
私は太鼓判をおして
保証する。
魯山人はそのように言っています。
頼もしいですね!!('∀')
さて
お次にご紹介しますのは
お正月明け、お餅が余ってしまった時などに助かりそうなメニュー
餅雑炊です
餅の雑炊は、正月の餅のかけら、鏡餅のかけらなどを適宜に入れてお粥を煮ることである。
出来たお粥に焼いた餅を入れてもよい。
粥と餅のなじみがおいしい雑炊なのである。
塩で食べても良し
そば出汁くらいの出汁で食べても良し。
味噌汁を掛けても良いし
納豆を加えるとさらに美味しいそうです。
そして
焼きのり、炒りごま、七味、薬味ねぎなどを、好みに応じて加えれば申し分なしといえる。
米で米を食べる感じになるのですが……
でも
お茶漬けに入ってるアラレって、いい感じにご飯にマッチしてますものねえ。
お粥+餅も
やってみたら、きっと美味しいんでしょう。
(なにせ魯山人が「申し分なし」と言ってる位ですから)
最後にご紹介しますのは
なめこ雑炊です。
なめこは缶詰でよいから、缶から出したらザッと水洗いする。
缶六、七十銭のものを五人前に使えば適宜といえよう。
薄く味付けしたお粥の中になめこを入れ
温める程度に火に掛けます。
煮過ぎると
なめこの癖が出て良くないそうです。
これを茶碗6、7分目に取り
その上から
あらかじめ作っておいた
餡掛けうどんの餡を掛けて食べます。
餡掛けうどんの餡の作り方については書かれてはいなかったのですが
おそらく
希釈した麺つゆを火にかけて
水溶き片栗粉でとろみを付ければ良いんだと思います。
この雑炊は
なかなかしゃれたもので、ぜいたく者ほどよろこんでくれるもの。
なんだそうですよ。
そして
餡の上に
すりしょうが一つまみ添えて出すことを忘れてはならない。
だそうです。(美味しそう~!)
この他にも
「猪肉雑炊」「鶏肉雑炊」
「蟹雑炊」「焼き魚の雑炊」
の作り方が紹介されていました。
興味のある方は
こちらの本をご覧になってみて下さい。
傲岸不遜な偏屈爺さん
みたいに言われている魯山人ですが
彼の書く文章は、すんなり真っすぐな感じで、非常に読みやすかったです。
雑炊の話は次のように締められていました。
雑炊の要は、種の芳香を粥にたたえて喜ぶこと。
熱いのを吹き吹き食べるあんしんさ。
なんとなく気ばらぬくつろぎのうまさなど、今や雑炊の季節ともいいうる。
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青山二郎と魯山人
todawara.hatenablog.com
こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。