「鬱」という字は
鬱病だとか憂鬱だとか
ネガティブ方面の言葉によく使われていますので
ネガティブ方面にしか使われない
と
思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。
(かく言う私もまさにそんな思い込みをしておりました)
ところが
大変意外なことに
「鬱」という字を
使った言葉の中にも
ポジティブな意味を持っているものがあるんですよ。
なので
「鬱」という漢字を使って
ネガティブ方向の事を書こうと思いながら
ついウッカリ
ポジティブ方向の言葉を使ってしまったりしないよう
くれぐれも注意しなければいけません。
「鬱」
という漢字の意味には
一般的に良く使われている
気が塞ぐ
というものの他に
・草木が生い茂り枝や葉が多く生える
・勢いよく盛んなさま
・風通しが悪く熱気がこもって蒸れる
・湿度の高い熱気
・腐ったような匂い
・良い香りのする草
・ニワウメ(庭梅)
などがあります。
イメージとしては、なんかこう
エネルギーや熱気を溜め込んで
ムワァァァ〜ッ
としてる感じですね。(+_+)
良い香りのする草という意味では
鬱金(ウコン)
などにこの字が使われています。
ニワウメは
中国最古の詩篇「詩経」の「国風」(国ごとに伝わる歌)の最後にあたる
「豳(ひん)風」(豳国の歌)の冒頭に「七月」という長い歌があり
その中に
六月食鬱及薁
六月には鬱(うつ)と薁(いく)とを食ろう
※ 鬱…ニワウメ 薁…野葡萄
という形で
記述されています。
草木が生い茂り枝や葉が多く生え出る
という意味では
鬱蒼(うっそう)
という言葉が
良く使われていますが
それと似た感じで使われる事がある
鬱然(うつぜん)
という言葉には
1. 草木などがこんもりしている様子
という意味の他に
2. 気がうつうつと塞がるさま
という意味がありながら
その一方で
3. 物事が勢いよく盛んだ
などという意味が
あったりもします。(要注意)
また
鬱勃(うつぼつ)
という言葉にいたっては
「鬱」の字から受けるマイナス印象とは正反対に
1. 元気がさかんに起こる様子。
2. 意気が上がっている様子。
このように
ポジティブ方向の
意味合いしか
持っていません
ので
ご注意ください。
「鬱」
という字の読み方は
「うつ」の他に
「鬱ぐ(ふさぐ)」
「鬱ん(さかん)」
「鬱る(しげる)」
などがあります。
「鬱」というのは
非常に複雑な字なので
覚えるのが大変にムズカシイのですが
これを分解してみると
木と缶と木があって
ワ冠みたいなのの下に
凶みたいな「、」が4つついて「※」みたいになっている字
そしてその下に
ヒがあって
その右に
三本斜め線が入っています。
なので
「キカンキワキョウ・・・・ヒサン」
(きかん気は今日・・・・悲惨)
と覚えてみてはどうでしょうか。(ご提案)
「鬱」の字の覚え方
「きかん気は今日・・・・悲惨」劇場
この漢字
漢検では2級レベル
中学校で習う字だそうですよ。
(こんなややこしい字を覚えなきゃならないなんて、中学生も大変ですね)
今はスマホでもパソコンでも入力→変換で出てきちゃうから
手書きをしないでいると
大人でも、すっかり書けなくなっちゃいますよね……。(^^;)
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