我が家は読売新聞を購読しているので
私は毎日、朝夕刊に連載されている小説を読むのが日課になっているのですが
昨日、夕刊で連載されていた
中島京子さんの
「やさしい猫」
が最終回となりました。
いきなり感想言っちゃいますが
この小説
すっっっっごく
良かったです!(T∀T)
物語の序盤、来日スリランカ人青年・クマさんと、シングルマザーの保育士ミユキさんの恋の段階から、かなりハートを摑まれてしまっていた私は
毎日、ワクワクハラハラドキドキしながら楽しく読ませていただいていたのですが
物語が終わった今
いいお話だったなあ…………
という
じーんとした余韻と
あの楽しかった物語が終わってしまった……
という、一抹の寂しさに浸っているところです。
おおらかで茶目っ気のあるクマさんと可愛らしいミユキさん
この二人の人間性というか、人物造形がとても魅力的で
「この人たちには絶対に幸せになってほしい!」
って気持ちにさせられちゃうんですよねぇ。
中盤からは
クマさんの就労ビザが切れてしまった事による、波乱と苦難と困難がメインになってくるのですが
ひとたび不法滞在の身となってしまった外国人の方々が、どんなに大変な境遇に置かれ、いかに理不尽な扱いを受けるのかという所などは
私みたいな部外者からすると、あえて関心を向けなければずっと知らなかったようなことばかりで
驚いてしまう事も多かったです。
知らないままでいれば、ずっとわからないままでいた他人の痛みや辛さや困難さを、
ほとんど自分の友人や家族の事のように仮想体験することができる───
それこそが
物語のすごさなんだなと
改めて感じる事ができました。
やっぱり小説の力ってすごい。
いつの時代にも人間の生きる場所には必ずなにかしらの問題が生ずるもので
それを解決するためには
他人の痛みを我が痛みとして感じられる想像力
というものが、絶対的に必要になってくるのですから
小説があるべき意義って大きいですよね!
社会的な問題を扱ってはいるのですが
「やさしい猫」は、肩ひじ張った感じではなく、エンターテインメントとしても楽しめる、柔らかく暖かなお話でした。
毎日毎日規定枚数の原稿を書き続けるのって、きっとものすごく大変だったと思いますが
中島京子さん、そして毎日物語世界にピッタリの素敵な挿絵を描いてくださった西山竜平さん、お疲れさまでした。
素晴らしい物語を届けて下さってありがとうございます!
今、私の心の中には
クマさんの故郷スリランカの
抜けるような青空と海辺の景色が広がっています ───
関連記事のご案内
角田光代さんの「タラント」も名作でした。
川上未映子さんの「黄色い家」も感動作。
いや~小説ってホント、良い物ですねぇ。(淀川長治さん風に)
こちらは私の本になります。よろしくお願いいたします。