先日、近所を散歩している途中で
綺麗に色づいている草の実をみつけました。
暑くもなく寒くもなく
金木犀のアンズみたいないい香りが街中に漂っていて
秋の今ごろって、本当に良い季節ですよね。
日本には春夏秋冬
それぞれクッキリと
特徴のある四季があるので
人それぞれに
「桜の花が咲く春が好き」
「青い空!ギラつく太陽!夏最高!」
「紅葉が錦織りなす秋が一番」
「イルミネーションや星空が寒空に冴える冬がいい」
などなど
好みも様々かと思います。
ところで
アニメやゲームの世界などでは近頃
様々なものが美少女や美青年などに
擬人化されたりしておりますが
実は日本では平安時代の昔から
四季が美少女に擬人化されていた
ってご存じですか?
実はそれって
四季の女神様たち
の事なのですが
綺麗な女神さまたちがそれぞれに
春の女神 佐保姫(さおひめ)
夏の女神 筒姫(つつひめ)
秋の女神 竜田姫(たつたひめ)
冬の女神 宇津田姫(うつたひめ)
という具合に揃っているんです。
これってまるで
4人組のアイドルグループ
みたいじゃないですか?
でも、この中で
夏の筒姫と冬の宇津田姫に関してはほとんど情報が無く
ちょっと謎めいた存在です。
ですから
知名度や人気が圧倒的なのは
春担当の佐保姫と
秋担当の竜田姫☆
という事で
実質的には
この2人だけがコンビのようにして語られる事が多いようです。
春の女神、佐保姫は
佐保山の神です。
現在は佐保川北方に広がる丘陵地帯になっていて
昔から桜の名所として知られていたようです。
白くたなびく春霞を衣として纏う美少女神で
春につくられる綺麗な和菓子の名前にもなっています。
その佐保姫と対になっているのが
秋の女神、竜田姫です。
彼女は平城京の西にある
竜田山の神様。
現在、竜田山という地名はないのですが
生駒山地の最南端、信貴山の南に連なる大和川北岸の山々がそう総称されています。
紅葉が美しい事で知られています。
佐保姫は和菓子になっていますが
竜田姫の方は
晩御飯やお弁当のおかずとして大人気の
竜田揚げの語源となっています。
竜田揚げの特徴は
衣が片栗粉だけである
という所。
カラッと揚がった白い衣が竜田川の白波
その間から垣間見える鶏肉の色が紅葉
という風流な見立てからそう名付けられたのだそうです。
から揚げと
どこが違うんだ?
といえば
「から揚げ」という場合には
衣に小麦粉を使ったり片栗粉を使ったりと
調理法にもう少しバラエティーが広がるので
「竜田揚げ」は「から揚げ」という大きなジャンルの中の一種類
という事になります。
ちなみに北海道の「ザンギ」も唐揚げの中の一種になりますが
大分の「とり天」は
てんぷらのように小麦粉を溶き卵や水で溶いてつけたもの
という事なので
粉を粉のまま衣にする
から揚げファミリーとは別物になります。
また
「フライドチキン」は
肉の方には味を付けず
小麦粉の衣に卵や牛乳や水やハーブやスパイスなどで
洋風の味付けをして揚げるというものなので
これもまた
から揚げファミリーとは別物という事になります。
おっとっと
すっかりから揚げの話になってしまいました。
ここで
春と秋の美少女神に話を戻しますと
彼女たちは二人とも裁縫と染色が得意ということで
共に
裁縫の神であり
染め物の神であったりもします。
「佐保」が古都の春を
「竜田」が秋を偲ばせる歌枕となり
やがて神格化されていった女神さまたちなので
彼女たちは
では
そのような季節を司る神様は出てこないのか
と言うと
いらっしゃいま~す!
夏の女神様
夏之売神(なつのめがみ)
またの名を
夏高津日神(なつたかつひがみ)
と
秋の女神様
秋毘売神(あきびめのかみ)
という
姉妹の神様です。
「古事記」に登場するこちらのお二方は
お父さんが
羽山戸神(はやまとがみ)…山裾の肥沃な土地の神
お母さんが
で
夏の太陽や稲の生育を神格化した
夏之売神が
8人きょうだいの5番目の子供
秋の収穫に関する神とみられる
秋毘売神が
6番目の子供となっています。
彼女たちの情報はあまりにも少なすぎて
趣味も人柄もあまり良くわからないのですが
実は
二人のお母さんである穀物神
大気都比売神(おおげつひめのかみ)には
もしかして
もしかすると
あの暴れん坊神様
須佐之男命(すさのおのみこと)に殺されちゃった神様と同一人物かもしれない
という疑惑があったりします……。
やりたい放題やらかし過ぎて
ついに高天の原を追放されてしまった須佐之男命が
お腹が空いたので
彼はそこで料理を振る舞ってもらったのですが
実はその食材は
大気都比売神が鼻や口やお尻から出して調理していたものだったと知ってしまい
「おぇぇぇ~!汚い物食べさせやがって~!!」
と逆上し、彼女を切り殺してしまいました。
その時
大気都比売神の頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、下半身から麦と大豆が次々に生まれてきたんだそうです……。
名前が全く同じなので
この人が姉妹のお母さんかも……?
という可能性があるのですが
彼女たちのお母さんになる
羽山戸神の奥さんになって8柱の神を生む
というエピソードは
この須佐之男命との話より後に出て来るので
もしかすると違う人なのかもしれません。
と
ここまで
春、夏、秋の神様は結構出てきてるのに
冬の神様が少ないじゃないか~
と思われるかもしれませんが
ご安心ください。
冬の神様も
ちゃんといらっしゃいます!
天之冬衣神(あまのふゆきぬのかみ)
という神様で
「古事記」によると
須佐之男命から5世の孫の
男性の神様です。
お父さんは
淤美豆奴神(おみづぬのかみ)…水神
お母さんは
布帝耳神(ふてみみのかみ)…衣類の神
そしてお子さんが
出雲大社に祀られている
国つ神の代表である
大国主神(おおくにぬしのかみ)
です。
天之冬衣神(あまのふゆきぬのかみ)
という名前は
「天上界の冬の着物の神様」という意味で
お母さんと同じ衣類の神様です。
「冬衣」は「増ゆ衣」にも通じるため
「服がいっぱい!」という意味とも考えられているようです。
ファッション方面にご利益がありそうな神様ですね。
この神様のエピソードとしては
須佐之男命に命じられて
高天の原にいる天照大御神(あまてらすおおみかみ)に草薙剣を献上しに行った
という話があるそうですよ。
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