超ド級〜!!
という時の
「ド」
これ、漢字では
「弩」
と書きます。(「超弩級」)
弩(ど)というのは
本来
何をあらわしている言葉なのかと言いますと
「いしゆみ」「おおゆみ」と呼ばれる
飛び道具系の武器 ──
現代では
「クロスボウ」とか「ボーガン」などと呼ばれている
弓と銃の合いのこのような武器を
昔の中国や日本では
「弩」と呼んでおりました。
それでは
「超弩級」の「弩」は
それの事なの?(・∀・)
と言いますと
さにあらず( `ー´)ノ
実はこれ
1906(明治39)年2月10日に進水して
同年12月2日に就役した
イギリス海軍の戦艦
ドレッドノート(Dreadnought)
をあらわしているのです。
Dreadnought
というのは
英語で恐怖や不安をあらわす
Dreadという言葉と
ゼロということをあらわす
Nought
を組み合わせて作った合成語。
「恐れを知らない」
というような意味なのですが
この戦艦が、それまでの戦艦に比べてあまりに際立って強力だったため
「めっちゃ大きい」
「めっちゃ強力」
という意味をも帯びてくるようになりました。
そのため
「戦艦ドレッドノート級にスゴイ」
ということを
「弩級」
「それよりもっとスゴイ」
ということを
「超弩級」
と言い表すようになったんです。
それまでの戦艦は
レシプロ機関(ピストンエンジン)で動かしていたのですが
蒸気タービン機関を搭載することにより
格段にスピードアップ!
中間砲や副砲を装着せず
単一口径の連装主砲塔を5基搭載することにより
本艦1隻で
従来艦2隻分の戦力を実現!
砲の命中率もめざましく向上!
── というわけで
ドレッドノート(弩艦)の出現によって
それまでにあった世界中の戦艦が
建造中の最新鋭艦を含めて全〜部
時代遅れのオワコンと化してしまったのでした。
(しかしそのため、世界で一番戦艦を保有していた英国海軍が、世界で一番オワコン艦を抱え込んでいる事になる……という皮肉な現象も……)
そして、これを機に
世界中の国々が
弩級艦を超える
超弩級艦づくりに邁進する事となっていくのです!
第一次世界大戦の頃
(1914-1918)になると
主役はすでに超ド級艦
という時代になってしまったので
さすがのドレッドノートも
主力艦の座からは
降りてしまっていました。
とはいいながら
1915年3月18日には
ドイツの潜水艦を体当たりで撃沈!
という
大活躍ぶりを見せています。
しかしながら
1916年5月
ついに「遅い」ということで
艦隊についていく事が難しくなってしまったため
テムズ川の第三戦艦の旗艦というポジションに落ち着く事となりました。
1918年
イギリス本国艦隊に復帰するものの
第一次世界大戦後には予備役を経て
1920年3月31日 退役
1922年 T・ウォード・アンド・カンパニーに売却され
1923年 解体となりました。
それにしても
イギリスから遠く離れた日本で
今なお
「超ド級」
なんて使われ方でその名を残しているだなんて……
本人(本艦?)が知ったら
さぞかし
どビックリすることでしょうね。(^^;)
…………ところで。
この
どびっくり
どエライ
どアホー
などと言う時に使われている
「ど」という言葉
こちらの言葉も
戦艦ドレッドノート由来なのか……?
と思いきや
実は
こちらの「ど」
戦艦ドレッドノートとは
全くの無関係なんですよ。
これは、もともと関西方面で
「ののしる」ようなニュアンスや
「まさにそれ!」というような感じを
強調の意味合いを込めて使われていた接頭語でして
ドレッドノートが出現するずーーーっと以前の、近世以来から
俗語として使われてきた言葉なんです。
非常に似たような言葉でありながら
ルーツは全く違う所にある
なんて
どえりゃー意外ですよねえ……。
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