自作の長編小説
「翼のキッチン」を
AmazonのKindleダイレクトパブリッシングから出版してから、1年ちょっとが経ちました。
そこで今回は
「小説を電子書籍で自主出版し、自分一人の力で売ること」
に関して
この1年の間に感じた事や、気づいたことを書いてみようかと思います。
小説を書くのが好きだ、という人は多いかと思いますが
つい最近まで、書き上げた小説を世に出すための手段としては
何百万円ものお金を掛けて
自費出版をする
という手か
文芸雑誌や出版社、各種文芸団体主催による
文学新人賞を獲ってデビューする
という
二つの道しかありませんでした。
(その他には、出版関係者の伝手を頼って売り込む
ですとか
別の道で成功して名をあげてから作家に転身する
などというルートもあるにはありますが、
これまたえらく大変だったり迂遠だったりしますよね)
自費出版はお金がかかる上に、たいがいの場合、書店には置いてもらえません。
「編集者のアドバイスが受けれるし、書店にも置いてもらえます。ほとんど商業出版と似たようなものですよ」
というようなタイプの半商業出版を謳った自費出版もありますが
甘言で作家志望者を誘い込み、大金を払わせた挙句、最終的には著者を足蹴にするような悪評が絶えませんので、私の中ではこれも却下でした。
そこで
文学賞を狙いに行くわけですが
こちらの方にも疑問が山ほどありました。
まず
賞を獲ったとしてもデビューとか出版に繋がらない賞というのがあります。
(自信には繋がるでしょうけど)
そして
悪徳出版社が作家志望者をおびき寄せ、自費出版に持ち込ませるために仕組んだという、ワナみたいな文学賞
なんてものもあったりします。
(この世は本当にオオカミだらけなんですよ!みなさん、気を付けて下さいね)
私の場合は
自分のペースで楽しくぼちぼち創作をやって行きたい
という位のスタンスであって
実の所
プロ作家として華々しく売り出してもらいたい
というわけでもないので
(自分の創作に他人が介入してくる、というのがイヤなんです)
それほどガツガツ行く気にはなれなかったのですが
現状、書きあげた物を世間の人々に読んでもらうには
プロとしてデビューするしか手が無さそうだったから
一応、
文芸雑誌や出版社主催の文学新人賞を狙っていたわけです。
文学新人賞という所は
多い所では応募者は1000人以上にのぼります。
受賞確率は0.1%未満。
99.9%以上の人が落とされてしまうという
超絶スーパー狭き門です。
一次選考や二次選考の段階で
ほとんどの作品が落とされてしまうのですが
その段階では
一つの原稿に対して複数人がじっくり読んで選考しているわけではありません。
それを担当することになった
たった一人の下読みさんの判断により
ズバズバと斬り捨てられているんです。
限られた期間内に大量の原稿を読み
当否を決定しなければならないという
下読みさんの苦労と重圧は
それはもう、大変なものがあると思いますが
一次や二次で落とされてしまった応募者も
それなりに
かなりの精神的ダメージを負う事になります。
そもそも
このシステムに関して
どうしても疑問に思ってしまうのが
たった一人の判断により
初っ端から
9割以上もの作品が斬って捨てられてしまう
これが一体
オモシロい作品を選出するシステムとして
本当に機能しているのか???
というところです。
たとえば、ですよ?
「カップ」といえば
「こういうものこそが一番良い」
というセンスを持っている人の所に
こういう作品
がやってきたとします。
この時、選者には
これの良さが、ちゃんとわかり
ちゃんと評価してもらえるものなんでしょうか?
(逆の場合もまた然りです)
たまたまその作品を読むことになった
下読みさんの文学観や好みや感覚に、当否が全て委ねられ
ほとんどの応募作品が一次や二次で落とされてしまうわけですから
文学新人賞って
ほとんど宝くじだな~と思います。
(そういう点では、多くの読者の目で評価される小説投稿サイトの方が
オモシロい作品を選出するシステムとしては遥かにちゃんと機能していると思います。
ただ、小説投稿サイトは、ライトノベル以外の書き手にとっては
ちょっと参入しづらいものがあるんですよね~……)
また、それ以外にも
理不尽さを感じてしまうのは
他所の文学賞で落選した作品を
「ウチの文学賞に送ってくるな!」
なんて言う主催者が結構ある、って所です。
いわゆる二重投稿(同時期の選考に二股掛けるような行為)ではなく
使い回し(別の所で再チャレンジ)がダメっていうわけなんですが
書き上げるだけでも年単位の時間を要する
原稿用紙数百枚分もの長編を
使い回しするなって
酷すぎやしませんか?
ところで
去年の頭ごろまで私は
古すぎてネットに繋げないパソコンと
これまた古いガラケーしか持っていなかったため
かなりの情報弱者でした。
インターネットは辛うじて
ニンテンドー3DSで細々と見ているという有様だったのです。
(容量が少ないから見れないページだらけ)
さすがに限界を感じて
ネット上を色々調べてみたところ
なんとっ!!!
今ではもう
自分一人でお金もかけずに
簡単に電子書籍の出版が出来てしまい
しかもそれを
全世界に向けて
販売することまで出来てしまう
kindleダイレクトパブリッシング
なるものがあるという事を知って
ビックリしてしまったのでした。
電子書籍というものがあるという事は知っていましたが
それが
自分で簡単に作れてしまうようなものだとは思いもしませんでした。
そしてまた、そういうものは
専用の端末が無いと読めないものかと思っていたのですが
アプリをダウンロードすればスマートフォンでも読める、なんて事も知りませんでした。
(そこの所、kindleはアピール不足だと思います)
え?なにそれ。
じゃあ、もう
文学賞に応募して
新人賞狙う意味なくない???
と、思ったので、
早速パソコンを新調し、一番の自信作だった
「翼のキッチン」を
出版してしまったわけです。
(これにて小説家デビューはアッサリ完了)
文学新人賞に応募する人はおそらく
出版社の宣伝力だとか
作家を育成する力だとか
そういう面に期待をしている部分が大きいのでは、と思うのですが
長引く出版不況とネットの台頭により、体力が落ちまくっている出版社には
新人を立派な作家に育てようとか
十分に宣伝して売り出してあげよう
などといった余裕は
残念ながら
すでに
残されておりません。
これは出版社だけに限った話ではなく
インターネットの発達により
個人個人が創作物をネット上に自由に発表することが出来るようになったため
人々を楽しませてくれる無料のコンテンツが巷に溢れるようになり
エンタメ業界に君臨していた大手の会社は軒並み痩せ細り
アーティストを養うだけの余裕が無くなっているのです。
それでも作家、漫画家、音楽家、デザイナー、タレントなどなどに
なりたい!
という人は巷に
ワンサカ溢れていますから
新人を発掘して育てるとか
宣伝費をかけて売り出す
なんていう
お金や手間のかかる事はせず
やる気があって、そこそこ出来そうな人を引っ張って来て
安いお金で働かせ、
思ったほど売れなかったらポイっと捨てる
という
「やり甲斐搾取」や
夢を追う人達を甘言で釣って、
デビューをチラつかせながら大金を払わせ
心を踏みにじり、絶望させてポイといった
極悪商法などの話は絶えません。
(-""-)
「使ってもらいたい人がいっぱ~い」
そして
「使う方は余裕が無くガツガツしている」
こういう場には往々にして
殺伐とした奴隷労働や不正、パワハラ、セクハラが横行してしまいます。
エンターテインメントって
夢を見る余裕があってこそ成り立つものなんじゃないでしょうか。
アーティスト一人一人が胸に抱いている
大切な夢とか純粋な心を守るためには
殺伐とした場からは
なるべく
距離を置くようにした方が吉。
まずは
「使ってもらいたい」
「使われてこそナンボ」
という思考を、ちょっと変えてみた方が良いかもしれませんよ。
そしてまた
今はもう、一人一人が自由に情報を発信できる時代になっていますから
ちょっと前までは幅を利かせていたであろう
「勝手な事をしたら、この業界から締め出してやる」
なんていうような圧力も
あまり意味をなさなくなってきていると思いますよ。
kindleダイレクトパブリッシングで刊行されている著作物は
産地直売の手作り品みたいなものだと思います。
編集者など、出版のプロの手が入っていませんから
中には、突飛なものや、思わず脱力してしまうようなものもあると思います。
でも、そういうのって
むしろ面白いと思いませんか?
スーパーで売られているような
有名メーカーのクッキーではなく
ちょっと焦げ目が付き過ぎたようなクッキーもあるかもしれないけれど
そんな所から、今までになかったような
全く新しい美味しさが見つかる可能性だって
大いにあるんじゃないかと思います。
文学賞を狙う人の心の中には
「〇〇賞受賞」という称号に対して
優れた小説が書ける実力がある事を誰にでもわかりやすい形でアピールできる証明書であるように考え
だからこそ
その称号をどうにかして手にしたい!!
と思うような所があるかと思います。
(私にはありました)
確かに文学賞は、実力を示す立派な証です。
それを勝ち得た人は間違いなくスゴイです。
でも
自主出版で本を出し
それをお客さんに買ってもらえる
読んでもらえる
という事だって
立派に
実力の証と言えるのではないでしょうか。
出した本は、このまま放置しているだけでは永遠に売れてはくれませんので、
宣伝することが必要になります。
最近は、出版社から出した本でも充分に宣伝してもらえる保証はないようで
編集者からネット上などでの自力宣伝を要請される、などとという話もよく聞きます。
つまり、今の時代は
商業出版、自主出版、どちらにしても
著者自身の発信力というものが必要不可欠
になっているんです。
そこで、私も
ブログを始めました。
(それがこのブログです)
小説書きのブログって
どんな感じにしたらいいんだろう?
と悩んだんですが
私は作家さんのエッセイを通じてその方のファンになる事が多いので、
エッセイ的な内容と
勉強と趣味のために読書をしているのですが
読み終えたそばから内容をパーッと忘れていってしまうので
その備忘録的に
本の紹介を書いています。(一石二鳥!)
宣伝媒体として始めたブログなので
なるべく集客という事を意識して
好きなブロガーさんのブログや、アフィリエイトブロガーさん達のブログ論などを参考にさせていただきました。
なるべく多くの方に読んでもらえ、楽しんでもらえたらいいな~
と思いながら書いております。(^^)
ところで
物書きさんで
「筆一本で生活費を稼ぐぞ!」
という志を持っている人の場合には
有料ブログで独自ドメインにして、広告収入が入るようにした方が良いかも?
と思ったりはします。
と言いますのも
これもネット環境が整ってから初めて知ったのですが
今の時代
小説家よりもブロガーの方がよほど
「文章で稼げている」
みたいなんですよ!!(+_+)
これを知った時には、
正直ちょっとショックでした。
集客に一生懸命なアフィリエイトブロガーさん達のブログ論は、とても参考になる面が多いのですが
「〇か月で何万pv達成したよ~!」
というような絶好調報告は
無駄にイライラや焦りの原因になるだけなので
あんまり気にし過ぎない方が良いですね……。(^^;)
ヒトはヒト
自分は自分。
ブログが新しい最初の半年ぐらいは、アクセスは少なくても当たり前だから、気にしなくても大丈夫!
めげずに続けていれば、そのうち、アクセスはだんだん増えていきます。
もともとモノを書くことが好きな小説書きの人にとって
ブログを書くという事自体は
わりと楽しくできるのでは?
と思うのですが
アクセスが伸びない~とか
減っちゃった~とか
そういうのが、精神的にじわじわ来るんですよねえ。
そういう所は、なるべく気にしないようにして
ひたすら、地道にコツコツ……
が肝要……。
あるコンサルタントの方がブログで仰っていたのですが
集客のためのブログは
開設から1年後くらいを目安に
1か月で10000pv集められる位に育てば上出来
真面目に頑張っていれば
そのあたりまで行く事は決して無理な事ではない
って話ですよ。
(私のブログも、2020年5月のGoogleアップデートで無慈悲攻撃を受け、一時はアクセス半減の大ダメージを受けたんですが、お陰様でなんとか回復基調に戻ることが出来た感じです。元々ようやくヨチヨチ歩きを始めたくらいのものだったので、傷が浅く済んだのかも……)<(_ _)>
いろんなブログを見て回って感じる事なのですが
「アーティストとして、大きな組織に良いように使われる事無く、独立独歩で稼げるようになる」
という
その仕組みを真剣に考えている点においては
小説書きの皆さんよりも、漫画家さんや音楽家の方々の方が
一歩どころか、三歩も四歩も先に進んでいるという印象を受けます。
小説書きの皆さんは、ど~うしても
「出版社から声を掛けてもらって紙の本を出す」
という事に過大なロマンを抱いてしまいがちな部分があるようで
下手をすると
それこそが最終目標
みたいに考えちゃっているような所、ないですか?
でも、もし
「出版社から声を掛けてもらって紙の本を出す」
という夢が叶ったとしても
自分と作品を売り出すための発信力を
自前で確保しておくことは
今どきはもう
絶対的に必要不可欠です。
たぶん出版社からも、その辺はかなりあてにされることと思いますよ。
創作で生きて行こうとする場合
創作活動をどうやってお金に繋げていくか
というのは
結構、重要な課題となってくるわけですが
漫画家さんの場合は
ブログで短い漫画を連載したりするほかに、ラインスタンプを売ったり、キャラクターのグッズを作って販売したりと
自分でお金を稼ぐ手は色々あるみたいです。
それでは
小説家は、なにが出来るのかな……?
と考えてみますに ────
うーーーーん……
そもそも
小説本を売る事自体が激ムズですから
なかなか、ちょっと難しい感じはしますが (・_・;)
でも
「猫」や「河童」のグッズを売ってるかも!?
なんて風に思います。
何作も作品を持っている方は
その中からコレという一押しコンテンツを選んで、アピールしてみるのも手かもしれませんよ。
(読者さんにとっても、まず、どれから読んだら良いのかという、目安的なものになりますし)
私はSNSは苦手なので、実はLineすらやっていないのですが
(別に、人ギライってわけではないんですが、なんだか煩わしそうで……)
本腰を入れて小説を売ろうとするなら
ほんとはやった方が良いんでしょうねえ……。
あと、今は
noteというブログみたいなのがあって
これは、書いた記事に値段をつけて売ることが出来るし
応援のためのチップを貰ったり贈ったりすることもできる、というものなんですが
クリエイター界隈で、これを利用されている方は、かなり多い印象です。
有名な作家さんなども、これにエッセイを書いて売ったりしています。
「プロの小説家としてメジャーデビューしたい」
と思っている人だけではなく
「自分の好きなものを、好きなペースで書いていきたい」
と思う人も
今の時代、小説書きとして最低限必要なものは
やっぱり
自前のブログ(活動拠点であり宣伝媒体でもある)
と
一押しのコンテンツ(作品)
なんじゃないかなと思います。
書きあげた作品を世に出して売る事も
それを宣伝する事も
やろうと思えば自前でやれるわけですから
従来のように
「いくら頑張っても賞が獲れないから、小説の道は諦める」
なんて必要は、もうないんです。
(別の仕事をしながら、無理をしない範囲で副業的にぼちぼち創作を続けていく、という手だってあります)
そうとなれば
超絶狭き門である文学新人賞に挑んで
貴重な歳月と神経をただただ消耗させているよりは
ブログを開設してコツコツとアクセスを伸ばし、発信力を高める
その一方で
渾身の自信作があれば、それを
kindleで自主出版して売る
という方が
はるかに建設的なんじゃないかな~と
私は思いますヨ!
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