威圧的に、偉そうにしている状態を表す言葉として
「笠に着る」(かさにきる)
「嵩に懸かる」(かさにかかる)
と
非常に似かよった二つの言葉があります。
そこで今回は
たいへんに混同しやすいこちらの言葉を、なるべくわかりやすく
視覚的にご説明しようと思います。
「笠に着る」
というのは
権力を後ろ盾にしたり
自分の優位的な地位を利用したり
かつて自分が施した恩を利用したりして
威張ったり勝手な事をすることです。
「虎の威を借る狐」
と同じような感じですね。
ここで言う「笠」は
帽子みたいに頭に被るかたちのカサになります。
※ 私たちが普段使っているような、柄を持って差すようなカサは「傘」と書きます。
雨や直射日光から守ってくれる笠を
権力の庇護下にあるという事に例えています。
ところで
なぜ「笠を着る」ではなく
「笠に着る」になっているんでしょう???
ちょっと不思議な所ですね。
ちなみに
同じように「~に着る」という言い方をする言葉としては
「恩に着る」というのもあるのですが
こちらの「着る」は
「~を身に引き受ける」「身に負う」という意味合いで使われています。
「笠に着る」を
四コマ漫画にしてみると
こんな感じになります。
自分自身の力や徳ではなく
バックに付いているものの威光で得意げになっちゃってる感じ
「ドラえもん」でいえば
スネオ的な感じのする言葉ですね。
次に
「嵩に懸かる」
のご説明をいたします。
「嵩(かさ)」というのは
物の大きさ、体積、容積、多さなどの事です。
「ダウンコートは嵩張るから、クローゼットがギュウギュウになっちゃう」
とか
「最近のポテトチップは空気で嵩増しされてる気がする」
なんて時に使われる、あの「嵩」です。
「懸かる」には、頼るとか依存するなどの意味があります。
「嵩に懸かる」の意味は
以下のようになります。
1. 優勢に乗じて勢い込む
勢いに乗じて物事をする
2. 優位の立場を利用して相手を威圧する
権力で威圧する。
「笠に着る」と比べると
「嵩に懸かる」の方は
自分自身の勢いや強さでグイグイせめ立てて来る感じ
「ドラえもん」で言えば
ジャイアン的な感じのする言葉ですよね……。
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