言葉について
非常に苦しい事をあらわす 「四苦八苦(しくはっく)」 という言葉があります。 これは本来仏教用語で 人間が生きる上で避けることの出来ない 生(しょう) 生まれてくることによる苦しみ 老(ろう) 老いる事による苦しみ 病(びょう) 病を得る事による苦しみ 死(…
グラスから溢れるくらいに なみなみと注がれて 下の方に溜まったお酒。 居酒屋さんや日本料理屋さんなどで、よく出てきますよね。 「盛り切り」から転じた 「もっきり」だとか 「盛りこぼし」 とか 「こぼし酒」 などと呼ばれていますけれど この注ぎ方には…
昔の本 ── 特に「論語」や「孟子」などの中国古典を読んでいると 「堯(ぎょう)」「舜(しゅん)」 なんていう ほとんど神様に近いような聖君子の名前がいっぱい出てきますよね。 漢方薬の神様「神農(しんのう)」だとか 中国医学の祖「黄帝」だとか イメージが…
猫を飼っていらっしゃる方には 良くおわかり頂けると思いますが 猫さんたちの手って こ〜んなに可愛らしいのに 爪は ほとんど凶器か!ってほどに 鋭いですよね……。 ジャキーーーン!!!!! この爪でカーテンやら家具やらを引っ掻きまくるんですから 家の中…
年齢をざっくりと表す言葉で 「アラ〇〇」 という言い方が広く使われていますが (例「アラサー」「アラフォー」など) 今回はこの言い回しに関して 個人的に感じている違和感や問題点などについて 語らせていただこうと思います。 この言い回しが初めて使われ…
威圧的に、偉そうにしている状態を表す言葉として 「笠に着る」(かさにきる) 「嵩に懸かる」(かさにかかる) と 非常に似かよった二つの言葉があります。 そこで今回は たいへんに混同しやすいこちらの言葉を、なるべくわかりやすく 視覚的にご説明しようと思…
近年 長袖の衣服を着用時 若干サイズが大きめで袖が長いため 手の甲が隠れ、指先だけが出ている そんな状態を称し 「萌え袖」 と呼ぶことがあるようです。 つまり、こういう状態。 袖口から指先だけが出ている状態が なんとなく可愛らしく見える。 そこに萌…
強くいちずに願うことを意味する 「こいねがう」 という言葉があります。 この言葉 「請い願う」とか 「乞い願う」 と書かれる事が多いですが それ以外にも 「希う」とか「冀う」とか 「庶幾う」なんて書かれ方があるなんて、ご存じでしたか? (私は全く存じ…
「紅蓮」(ぐれん) という言葉を聞いた時 みなさんは、どんなイメージを抱かれますか? この言葉、辞書で引くと 次のように説明されています。 紅蓮 1. まっかなはすの花 2. まっかな色。俗に猛火のたとえ。「──のほのお」 3. (仏教用語)紅蓮地獄。 (引用「角…
先日、JR横浜駅のホームで電車を待っていましたところ この次にホームに入ってくる予定の電車についてのアナウンスが流れてきました。 「この電車は、次は新川崎に停まります」 このアナウンスに 私は非常な違和感を抱いてしまいました。 この時のアナウン…
子供の頃(昭和時代) 最寄りの駅前に 一軒の大きな建物のなかに、小さなお店がいっぱい入っている所 があって 私の母はよくそこで買い物をしていました。 商店街という感じでもないし スーパーマーケットでもないし あの形態って 何と名称されるべきものなん…
最近、栄養素の「カロテン」の表記を見たり聞いたりして 「え、カロチンじゃないの?」 って思った人多いんじゃないでしょうか。 実は今、学校の教科書の表記も 「カロテン」 になっているんですよ。 ある年齢以上の方は 90年代前半に 大塚製薬の「ファイブ…
今回は 福井県教育委員会が編集・発行し 平凡社から出版されている 小学生向け漢字解説本 「白川静博士の漢字の世界へ」 という本のご紹介をいたします。 こちらの本は、福井県が誇る偉大なる漢文学者 白川静博士(1910-2006)の 古代漢字研究に基づき 小学校…
私は車に乗っているときに、よくFM横浜を聴いているのですが ナビゲーターさんやアナウンサーが鎌倉の由比ガ浜のことを話す時に、 そのアクセントを 「ゆいがはま(高低低低低)」 と言うのに違和感を持ち 「え?そこは、 ゆいがはま(低高高低低) じゃないの?…
エレベーターとエスカレーターとか ひきだしとしたじきとか 紛らわしい言葉って色々ありますけれど これが 使い慣れない横文字なんかだったりすると さらに混乱しますよね。 あれ?これって 「シミュレーション」 「シュミレーション」 どっちだっけ??? …
「今日はうららかに晴れていますが、明日になると雪が降り、ことによると吹雪になるおそれがあります」 という時に使われる 「おそれ」 という言葉 ─── これ、漢字にすると 正確には「恐れ」じゃなくて 「虞れ」 だって知ってました!? (私は全く知りません…
「おざなり」と「なおざり」 この二つの言葉 字面も響きも意味もそっくり なのに 微妙〜に違いがある所が 何とも厄介ですよね。 私の手元にある 「角川国語辞典 新版」では この二つの言葉は以下のように説明されています。 おざなり(形容動詞) 漢字表記は「…
ひょんな話の成り行きから 「中国には四つの霊獣がいて……」 という話題が出た時などに 「あー、あの東西南北を護ってるっていう、あれねえ」 とは思うものの 「あれ?その場合の鳥のヤツって朱雀だっけ?鳳凰だっけ?」 とか 「そのメンバーの中に麒麟は入っ…
月にはウサギが住んでいると 言われていますが 太陽にはカラスが住んでいる って ご存じでしたか? 鳥と太陽とが結び付けられた説話は世界各地にあるようですが 太陽にカラスがいるという話は 古代の中国が発祥です。 どうしてカラスが太陽と結びついたのか…
「鬱」という字は 鬱病だとか憂鬱だとか ネガティブ方面の言葉によく使われていますので ネガティブ方面にしか使われない と 思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。 (かく言う私もまさにそんな思い込みをしておりました) ところが 大変意外なことに …
「いち早く(速く)」 という言葉に付いている 「いち」 これを 「一」 だと思っている方は 意外と多いのではないかと思いますが 実はこれは 「逸」 と書きます。 この言葉の元になったのは 「逸早し(速し)」(いちはやし) という古語でした。 意味は ① 心がす…
「醂す」という言葉があります。 手持ちの辞書(「角川 国語辞典」)には 意味は 酒で中和させて柿の渋みを抜く事 とあり 読み方は「あわす」「さわす」と書いてありました。 膨大な言葉がある中で 柿の渋みを抜く事だけに限定して わざわざこんな言葉が 用意…
先日私は 「虎渓三笑」(こけいさんしょう) という言葉と その由来となる話を知り 「なるほど、良い話だなあ……」 と感じる所がありましたので ここに、それをご紹介したいと思います。 昔むかしの中国 五胡十六国時代(304-439)のお話です ── 東晋の高僧慧遠(…
上下黒ぞっきの着流しに 顔を覆ったお十夜頭巾 チャラリチャラリと雪駄で歩く 剣の達人にして女好きの辻斬り浪人 お十夜孫兵衛 ──── 吉川英治の出世作 「鳴門秘帖」 に出て来るダークヒーロー お十夜孫兵衛ですが 彼の服装の描写でよく出てくる 「黒ぞっき」…
暦の上での月の名前と言えば 睦月・如月・弥生・卯月・皐月・水無月・文月・葉月・長月・神無月・霜月・師走 という呼び方が一般的に良く知られていますが 実はこれ以外にも 月の異名って沢山あるんですよ。 たとえば、1月をとってみましても 睦月の他に、祝…
みなさんは 淘げる(よなげる) なんて言葉があるのをご存じですか? 私は、先日辞書で見るまで 全く知りませんでした。(*_*;) 淘汰するの「淘」で「よな」と読み それに「げる」が付いて 「よなげる」 意味は ①米をとぐこと ②水に入れて、細かいものを洗い分…
先日、辞書を見ていたら 「料る」(りょうる) という言葉が出て来て 「料理をする」 という意味だったので、驚いてしまいました。 「りょ〜る!」「セニョ〜ル!」 えぇぇぇぇ〜、なにそれ? 初めて聞いた言葉なんだけど…… も、もしかして 知らなかったの私だ…
東京の小石川に六義園と言う庭園があります。 徳川5代将軍綱吉の側用人・柳沢吉保によって造られた、大変見事な大名庭園ですが この「六義園」という名前 詩経の「六義」や和歌の「六義」にちなんで付けられたものだと言われてます。 さて この 「六義(りく…
先日、散歩の途中で 道の片隅に こんな植物が生えているのを見つけました。 オレンジ色の部分が一見 「花なのかな?」 と思いましたが よく見ると 葉っぱの付け根がオレンジ色をしているんですね。 調べてみた所 これは 「ショウジョウソウ」 (猩々草) とい…
先ほど ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の 「怪談」を読み終えたのですが 翻訳者の 平井呈一(イギリス文学者1902-1976)による解説を読んでいる時 思いもよらぬ字に 躓いてしまいました。 なんて読むんだーーー!!!! それは ハーンの「怪談」が、その辺に…