文学のこと
今回は漂泊の俳人 種田山頭火(1882-1940)の、俳句とその人生のご紹介をいたします。 大酒と自堕落に身を持ち崩しながらも 俳句の道に全霊を注ぎ 九州から東北までの日本各地を行乞して歩いた、明治生まれの俳人 種田山頭火 漂泊の俳人であった事から 世間的…
先日 アメリカを代表する文豪 マーク・トウェイン(1835-1910) の短編集を読みましたので 今回は その感想とご紹介を書こうと思います。 「トム・ソーヤーの冒険」(1876年) 「王子と乞食」(1881年) 「ハックルベリー・フィンの冒険」(1885年) などの作品で 今…
昔の本 ── 特に「論語」や「孟子」などの中国古典を読んでいると 「堯(ぎょう)」「舜(しゅん)」 なんていう ほとんど神様に近いような聖君子の名前がいっぱい出てきますよね。 漢方薬の神様「神農(しんのう)」だとか 中国医学の祖「黄帝」だとか イメージが…
奈良時代の末に編まれた わが国最古の和歌集 「万葉集」 そこにおさめられた4516首もの歌の中には 遥か遠い時代に生きていた人々の 哀歓や息遣いが タイムカプセルの様に封印されています。 (ロマンですねえ~……) 今回は その膨大な歌群の中から私が 「素敵…
今回はフランスの作家 ジュール・ヴェルヌ(1828-1906)の冒険小説 「八十日間世界一周」 のご紹介をいたします。 ジュール・ヴェルヌといえば 「海底二万里」 「十五少年漂流記」 といったあたりを少年少女時代に読んで、心躍らせた方も多いのではないでしょ…
今回は 吉川英治の初期の長編伝奇小説 「江戸三国志」 のご紹介をいたします。 この作品は英治35歳の 1927(昭和2)年10月から 1929(昭和4)年春までの間 報知新聞(当時はスポーツ紙ではなく一般紙だった)に連載され 連載中から映画が作られるほどの 大人気作と…
我が家は読売新聞を購読しているので 私は毎日、朝夕刊に連載されている小説を読むのが日課になっているのですが 昨日、夕刊で連載されていた 中島京子さんの 「やさしい猫」 が最終回となりました。 いきなり感想言っちゃいますが この小説 すっっっっごく …
今回はロシアの作家 アレクサンドル・ソルジェニーツィン(1918-2008)が 1962年に発表した中編小説 「イワン・デニーソヴィチの一日」 の感想とご紹介を書こうと思います。 現在のロシアがソビエトであった時代─── 1924年から1953年にかけての スターリン独裁…
今回はアメリカの文豪 ジョン・スタインベック(1902-1968)が 1937年に発表した中編小説 「ハツカネズミと人間」 について 感想とご紹介を書かせていただきます。 こちらの作品は1992年に映画化されています。主人公のレニー役はジョン・マルコヴィッチ。 二…
本屋さんだけではなく、いまやネット上の世界でも たくさんの小説に出会える時代となりましたが 小説の良し悪しの判断って、 正直ちょっと良くわからない所ありますよね。 さすがに てにをはが滅茶苦茶だとか、誤字や言葉の間違いが多すぎる、なんてレベルだ…
私は先日 サン・テグジュペリ(1900-1944)の 「戦う操縦士」(1942年刊) を読みました。 「星の王子様」で有名なフランスの作家 サン・テグジュペリによるこの本は 第二次世界大戦が始まって2年目の 1940年5月 ドイツ軍に侵攻され、敗色濃厚なフランス軍で 偵…
今回は マラルメ、ヴェルレーヌと並んで フランス象徴派の三大詩人に数えられている 放浪の天才少年 アルチュール・ランボー(1854-1891) の詩を2編ご紹介いたします。 ランボーの詩は現在、多くの人の手によって翻訳されているのですが 今回は新潮文庫から出…
今回はフランスの作家 ギュスターブ・フローベール(1821-1880)によって書かれ リアリズム(写実主義)文学の先駆け的な作品と言われている名作 「ボヴァリー夫人」 の感想とご紹介を書かせていただきます。 この小説の内容を簡単にまとめてみますと 以下のよう…
師走も半ばになり、黄色や赤に色づいた木の葉が、風に吹かれて散っています。 自転車に乗っていたら、その光景があまりにも綺麗だったので 「あかしやの 金と赤とが ちるぞえな……」 という 北原白秋の詩が心に浮かんできました。 片恋 あかしやの金と赤とが…
上下黒ぞっきの着流しに 顔を覆ったお十夜頭巾 チャラリチャラリと雪駄で歩く 剣の達人にして女好きの辻斬り浪人 お十夜孫兵衛 ──── 吉川英治の出世作 「鳴門秘帖」 に出て来るダークヒーロー お十夜孫兵衛ですが 彼の服装の描写でよく出てくる 「黒ぞっき」…
先日、岩波文庫から出ている幸田露伴の 「幻談・観画談」 を読みました。 幸田露伴(1867-1947)と言えば 「風流仏」(明治22年) 「五重塔」(明治24年) などを書いていた青年期には 尾崎紅葉と並ぶ人気作家で 「紅露時代」と呼ばれたほどの一時代を築いたお人。…
今回は 私が一番好きな小説家であり 心のお師匠様でもあります 吉川英治の大正14年の作品 「剣難女難」 のご紹介をさせていただきます。 小学生の頃から文学好きで 自作の文章や俳句などを熱心に投稿していた吉川英治が 初めて小説を書いて送り、当選を果た…
今回はイギリス(アイルランド)の作家 ジョナサン・スゥイフト(1667-1745)による 「ガリヴァ旅行記」 のご紹介をいたします。 小人の国に漂着して、夥しい数の小人たちによって縛り付けられてしまうガリバーのイメージはよく知られていますが この物語の全容…
ところで 私などもまあ 小説本をkindleから出したりしているわけなのですが(完全なる無名作家です) 文芸などの活動をされている方はプロアマ問わず 「無名のくせに」 なんていう言葉に カチンと来た経験を 大なり小なりお持ちなのではないかと思います。 で…
先ほど ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の 「怪談」を読み終えたのですが 翻訳者の 平井呈一(イギリス文学者1902-1976)による解説を読んでいる時 思いもよらぬ字に 躓いてしまいました。 なんて読むんだーーー!!!! それは ハーンの「怪談」が、その辺に…
小説をお書きになっている皆さん、 執筆中に 「ど~にもこ~にも気が散って集中できないっ!」 って事ありませんか? (私はしょっちゅうです) ただ今、2冊目の本を刊行すべく 書き上げた長編小説の推敲作業をしているのですが 飽きるわ気が散るわで なかなか…
日々暮らしていると どうにも憂鬱になってしまって どうしようもない時ってありますよね。 あまりにもテンションの低下したそういう時って 「元気出しなよ!」(^O^)/ なんて励まされるのも 却って疲れが増してしまう感じで むしろ どっぷりブルーな気分に浸…
今回は 「万葉集に収録されている変な歌」の第2弾 をお届しようと思います。 前回の歌に引き続き、今回もまた かなりのお下品ネタとなってしまう事をご了承ください。 <(_ _)> それではご紹介します。 万葉集 巻十六に収められている No.3828のこちらの歌で…
人はだれしも 幸せになりたいと願っているのでしょうが みなさんは「幸せ」って どういう状態だと思いますか? 私は今のところ 幸せって 心が穏やかで、満ち足りている状態 なんじゃないかな……と 漠然とですが思っているところです。 でも、この 「心が満ち…
今回は 終戦直後に「無頼派」として一躍脚光を浴び 流行作家として活躍中に、34歳の若さで亡くなってしまった 織田作之助(1913-1947)が 戦前に発表した出世作 「夫婦善哉」(めおとぜんざい)(1940年発表) のご紹介をいたします。 金遣いの荒いボンボン育ちの…
大正から昭和の始めくらいに撮られた写真を見ると 着物の上にエプロン風の前掛け をしている幼児が映っていることがありますよね。 大変に愛らしいこのスタイル 大正から昭和の初めごろまで広く愛用されていたもので 「西洋前掛け」というそうです。 小学校…
今回は フランス出身の ドイツロマン派の文学者 そして 植物学者でもあった アーデルベルト・フォン・シャミッソー (1781-1838)によるおとぎ話 「影をなくした男」 のご紹介をいたします。 ------- 内容 貧乏青年ペーター・シュレミールは 仕事のつて…
日々の生活で、なんとなく心に疲れを感じる時。 美味しいものを食べたり 音楽を聴いたり 綺麗な風景を眺めたりすると 心がほっと安らぎますよね。 「心のコリをほぐしたいな」 と感じる、そんな時には 絵本を開いてみる というのもお勧めですよ。 かわいらし…
先日、 私は直木三十五が書いた 「大衆文芸作法」 という論文を読みました。 直木三十五と言えば エンターテインメント小説に贈られるビッグタイトル 直木賞の由来ともなっている 戦前の花形大衆小説家。 いわば エンタメ小説の レジェンド 的存在です。 こ…
今回は 私が最も尊敬している小説家 吉川英治の作った詩歌 をご紹介いたします。 吉川英治と言えば 「宮本武蔵」や 「三国志」 「新・平家物語」などの 大河小説を書いた作家として有名ですが 彼の文芸創作への入口となったのは 幼い頃から親しんでいた俳句…